2016/05/08

今週の為替相場を考える(5月9日~5月13日)

2016年5月8日(日曜) 今週の為替相場を考える(5月9日~5月13日)

日本はゴールデンウィークの連休も終わり、新たな相場の流れを模索する時期に来ている。

受ける印象は勝ち組なしの、不美人投票へ。かつての輝ける優等生の米ドルもやや陰りを見せ、ライバル通貨も弱く、資源国通貨も原油高にも関わらず伸び悩む。

為替相場のベースアイディアとなる米国発の材料を見ると、米国のGDPとCPIは予想外に弱く、6日の米雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが鈍く、米利上げにイエロー信号が点灯し、米金利も低下気味。

FOMCメンバーの発言から賛否両論ではあるが、6月15日のFOMCでは利上げ期待度が低下、金利先物では年内1度の利上げに落ち着く可能性など、弱気なムードが広まりつつある。

前回4月27日のFOMCでは「成長ペースの鈍化+個人消費の鈍化」を指摘していたが現状は改善されず。このような状況では積極的なドル買いよりも、むしろ、英国民投票、米大統領選の動きや、今後の米国発の指標などの、流れの変化を見守ることになりそうである。

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◎【USDJPY 予想105.50~109.00】

5月26~27日の伊勢志摩サミットで、世界経済の安定=株価対策(結果としての円安)で、合意を得ることできるのであろうか? 6月16日の次回日銀金融政策決定会合で、追加緩和をするのであろうか? 結果は不明ながら相場の変動要因となることは間違いなく、リップサービスからは円売り要因。

日本のGDPはマイナスへ逆戻り、CPIは前年比とコアも、2013年中旬以来のマイナスへ落ち込み、IMFの見通しでは来年はマイナス成長に陥るリスクが指摘されていた。そのような状況で4月28日に日銀は期待外れとなる金融政策の据え置き決定。結果は予想外の株安+円高を招いてしまった。

7月の参議院選挙を迎えることになり、日銀の追加緩和(含む政府の財政出動)期待が強まり、目の前の材料では積極的に円高を続けることは難しいと思われるが、潜在的な円高傾向は残念ながら払拭できずにいる。

4月29日に米国は為替操作国の監視リストに日本をノミネートし、イエローカードが出されている状態では、為替介入や円安を押し通すことは期待薄。

頼みの綱は、多くのETFを作りそれを購入する株式対策=円安を目指す動きで、小手先の対策でどこまで、円高の流れを食い止めることができるのだろうか? 112円台を超えない限り心配の種は尽きない。

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◎【USDCAD 予想1.2700~1.3000】

原油高による潜在的なカナダドル買いの流れは変わらず。盛り上がった期待から膨らんだポジション調整を継続中。

カナダは、原油価格(WTI)は堅調に推移しているが、4日の貿易収支が-34.1億カナダドルと悪すぎ、6日の雇用統計でも就業者数が予想外のマイナスへ。

カナダのアルバータ州で発生した森林火災はオイルサンド生産に打撃を与えており、カナダ第2四半期の成長がゼロになる可能性や、カナダ中銀の金融政策にも影響を与える可能性が指摘されている。

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◎【EURUSD 予想1.1350~1.1550】

ユーロは、難民問題やギリシャ問題はテーマになっていないのか、最近は話題にも上らない。ドラギECB総裁率いるECBの緩和パッケージの再評価が独連銀から得られたことは評価できるが、独議会がドラギ総裁に超低金利政策への説明求めるなど、独政府とECBの確執は懸念される。

4月29日に米財務省が発表した、為替操作国の監視リストにドイツも入っているが、日本と違いテーマに上ることはなかったが、潜在的には気になる。

3日に欧州委員会は成長見通しを発表し2月との比較では、ユーロ圏GDP前年比、2016年1.7→1.6%、2017年1.9→1.8%、CPI前年比、2016年0.5→0.2%、2017年1.4%と下方修され、EURUSDが1.16台の高値から急落し流れは忘れることができない。

1.1350~70で下げ止まると1.15台を再トライする可能性が高いが、割り込むと1.1200~50の上昇地点へ逆戻りする可能性も。

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◎【GBPUSD 予想1.4350~1.4700】

英国民投票でクリアな判断ができるまで、EUR相場が崩れない限り、レンジ内での紆余曲折を繰り返すことが予想される。

ポンドは、積極的にポンドを売り材料は見当たらないが、6月23日のEU離脱を問う国民投票の行方が引き続き最重要で、相場変動の材料に使われやすい。

世論調査の結果は世界中のサポートを得て、残留支持派が優勢との判断に、原油高の影響もありGBP買いの流れが続いていたが、1.4800台の大台を前に反転急落しているが、1.4350~1.4400で底値感が強まることを期待。

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◎【AUDUSD 予想0.7300~0.7500】

豪州は、5月3日に豪中銀は予想外の利下げを実施、スティーブンス豪中銀総裁は「利下げはディスインフレと、通貨高の抑制に対応」と説明。

その後の豪ドル安は顕著で、6日の豪中銀四半期インフレ報告でも、2016年のインフレ見通しを2~3%→1~2%に引き下げ、基礎的インフレ率の低下について長引く可能性を指摘、豪ドル売りの傾向が続いている。

上昇の出発点となる0.7280~00をボトムに下げ止まることができれば反発の余地が強まるも、割り込むと0.7100まで続落の可能性が残る。

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