2019/12/01

今週の為替相場を考える(12/2~12/6) 

今週の為替相場を考える(12/2~12/6) 

いつもながら相場変動の材料の主役は米中通商協議で、脇役としてブレグジットとFRBの金融政策。その影響を受け株価と債券利回りが変動し、為替相場もそれに追従と言う流れは変わらず。

10月11日にトランプ氏と劉鶴副首相は米中通商協議の第一段階の合意に達し、10月15日の約2500億ドル相当の中国製品に対しての関税25%から30%への引き上げを先送りした。その後も交渉を継続し、紆余曲折を経て12月15日の1560億ドル相当の中国製品に15%の関税発動が中止となることが期待されていた。

11月28日にトランプ氏が「香港人権・民主主義法案」に署名したことで、中国政府は断固とした報復措置を取ると表明し制裁も辞さない考えを表明している。ただし、来年の大統領選でトランプ氏が再選されないことを期待しているのか中国側は予想外に冷静で、現時点で聞こえてくるのは「香港人権・民主主義法」を起草した人物を中国本土および香港、マカオへの入国を禁止するリストに載せることを検討とあるだけ。

それらを意識してなのかは不明ながら、中国株や新興国株は続落する中でも米株は底堅く、米中対立の急変というリスクを抱えながらも世界経済への楽観的見通しは変わらず。

JPYがリスク回避通貨としての地位を失っているなら話は別ながら、現時点で米中通商協議の決裂リスクを抱えながらも、USDJPYは110円の大台手前で上げ止まっているも109円台を維持し上昇気味。JPYは他通に対しても弱く、特にNZDJPYは8月初旬の高値を超え、GBPJPYも10月中旬の高値を超えているのは、なにか別の要因ではと疑いたくもなる。

米中通商協議の行方でどうなるかは不明であることを前提として、現時点ではFRBの緩和策終了期待が強く、主要国中銀もFRBにフローする動きもある反面、BOJだけが特異ではないだろうか。黒田総裁は「現時点でさらに追加緩和をするということは考えていない」と言うが、「緩和方向を意識した政策運営が適当と考えている」とあり、政策の違いがJPY安を誘導している。



※※※※※※※※※※※※※※※


USDJPY (109.20~80、ワイドレンジ108.09~110.00)
トレンドにのるならJPY売り、一発逆転を狙うならJPY買い。

直近の3日間はトランプ氏が「香港人権・民主主義法案」に署名したことによるリスクに上値が抑えられているが、予想外にJPY高方向の圧力は鈍い。200日MA=108.92を超え、200週MA=109.83 、75週MA=110.05、もちろん110.00のサイコロジカルにも大きなポイントとなっている。いずれにしも米中通商協議の行方が見えてくるまでは決め打ちできず。


GBPUSD (1.2800~1.3020→上昇 )
基本は総選挙の結果待ちながら、過去6週間続く1.2770~1.3010のレンジからリスクは上向き。

12月15日の総選挙を前にして、GBPは世論調査に一喜一憂する流れを変えられず。前回2017年の総選挙で93%の選挙区で的中したといわれているユーガブがMRP方式モデルを使った議席獲得予測では与党保守党359議席と過半数達成(労働党211議席)を信じればGBP高が続くことを期待したい。ただし、直近では投機筋がGBPロングになっている可能性もあり、高値では買いにくい。


USDCAD (1.3250~1.3320)
1.3300を中心に1.3250~1.3350のレンジ相場がどこまでつづくのか?ポロズ・カナダ中銀総裁は「カナダの現在の金融情勢は適切」とあり12月利下げ見送り期待にCAD売り圧力は弱まるが、下げ幅も限定的。200日MA=1.3278割れは買い、1.3300台は売りと極狭いレンジに収束中。USMCAがどうなるかによるが、6月下旬から続く高値1.3383を上抜けするまでは戻り売りを期待したい。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※