2020/05/10

今週の為替相場を考える(5月11~15日)

今週の為替相場を考える(5月11~15日)

欧米やオセアニア諸国ではロックダウンの緩和や解除に向けた動きが強まり、米国では先週の段階で30州以上が外出規制の緩和やレストラン・小売店の営業再開に動きだしている。

先週末には、クドローNEC委員高は、追加の新型コロナウイルス経済対策を巡る議会との協議を中止した。複数州による経済活動再開の行方を見極めるため、今月は新たな刺激策を検討しないとある。また、FRBは今週の米債購入計画では一日80億ドル→70億ドルに減額。これだけを見れば米政府は、現状では新たな経済対策を打ち切り、次のステップに動き始めており、ドル需要も相当に改善していることがわかる反面、ドル高の流れを変えることができるかは疑問。

先週は米失業率が14.7%、非農業部門雇用者数が-2050万人と過去最悪のデータとなったが、共に予想よりマシとの判断に、ドル買いや株高へと動いたことを考えれば、市場参加者は最悪のデータをすでに織り込み次のステージに向かって動き始めているのでは? 梯子を外されなければいいと願うだけ。

忘れてならないのは米中の対立リスクで、新型コロナウイルスの発生源を材料とした通商の緊張は、通商合意の履行をめぐり先週末にハイレベル電話会談を開催し表向きは友好的な発言にとりあえずは一安心。ただ、トランプ大統領は不満気味で共にポリティカルな要素を強め米国は11月の大統領選を控え、習国家主席は国内の反対勢力を抑えるために共に弱気になれない実情がある。結果、いずれ円相場にとっても影響を与えてくるのではと考えるのも自然。

5日に独連邦憲法裁判所はECBが各国の国債を買い入れる量的緩和政策が一部違憲との判断を示し、独連銀に証明を求めできなければ3か月以内に債券買い入れを停止するように命じた。ただし、市場は予想外に楽観的で、欧州司法裁判所の判断を尊重する意向らしい。

ユーロ圏財務相は8日に、5400億ユーロの新型コロナウイルス対策のうち、救済基金である「欧州安定メカニズム(ESM)」を活用し加盟各国のGDPの2%に相当する信用枠を設定することを最終承認したが、新型コロナ対策についてはまだ合意に至らず。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

さて、今週の為替相場は、

USDJPYは、新型コロナウイルスの回復期待では根拠の統計データが他国と異なりどのように相場に織り込むかは難しい。直近の株価の上昇と円相場の連動性は乏しく、日米金利も大きな変動もない。かといって、ロシアやアフリカ、中南米を除くと新型コロナウイスルのロックダウン解除に向けた動きも強い。目先はリスク回避の円買いの主張も乏しいが、いざ経済問題となると気になるのは米中間の政治的な対立で、そうなれば円に焦点が当たる可能性は否定できず。

その中で、106.50~107.50のレンジから直近では、106~107.00のレンジに底値を切り下げており、107円を超えて107円台が定着するまでは円高リスクを残した動きを期待したい。

EURUSDは、ユーロ圏財務相は不完全ながら新型コロナウイルスで影響を受けた国に対する救済基金の活用の一部を決めた。メルケル独首相はパンデミックの第1段階は過ぎ去ったといい、ロックダウンを措置の緩和、プロサッカーのブンデスリーガの今月後半の再開、学校も州ベースで段階的に再開へと動く。他の主要国でも同様の動きが見られ、現状はユーロを積極的に売る新たな材料は見当たらず、1.0700~1.0900のレンジに入りやすいのでは?

AUDUSDは、中国経済の回復と資源価格の上昇期待や低水準の中で他国と比較して金利も高く、新型コロナウイルスのロックダウン解除の動きもあり底堅く推移し、すでに3月中旬をボトムに上昇トレンドが続いている。直近では0.6350をボトムに上値を試す動きを継続中で0.6580が一つのポイントとなっている。ただし、注意しなければならないのは米中間の対立が収まっているのか?それとも新たな火種となっているのか? 後者の場合では逆にAUD売りへ大きく舵を切り替える可能性も残る。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※