2018/05/13

今週の為替相場を考える(5月14日~18日)

今週の為替相場を考える(5月14日~18日)

米利上げ期待は変わらず流れはドル高ながら、主要通貨ペアではドル買いりの流れも一服。テクニカルではドル売りへと反発も期待されるが大きな流れの変化に結びつくかは不明。

先週の相場変動要因が今週も継続する可能性に先週の動きを振り返って見たい。経済指標・金融政策では、英インフレと成長見通しは下方修正されGBP売りへと動き、米CPIと輸入物価指数は予想を下回りドル売りの流れへと変化へ。

ただし、緩和縮小と利上げ次期がずれ込むECBとBOE、2019年後半にずれ込み見通しとなったRBNZ(NZ中銀)と、GBPUSDとNZDUSDの弱点は変わらず。相変わらずで物価2%目標の達成時期を示せぬBOJと、弱い経済指標にも利上げ期待は変わらず潜在的な円売り材料は残るも110円台の重さを忘れることはできず。

米10年債利回りは3.0%台の高値から低下するも2.95台を維持し、逆に2年債利回りは2.539%へと高値を更新中でドルの支援材料となり、CMEのFedWatch Toolでは6月13日のFOMCの利上げ確率を100%と同じで、9月26日のFOMCの追加利上げ確率は73.6%と前日と変わらず、利上げにかんしては強気ムードに変化は見られず。

国際情勢の変化では、米国のイラン核合意脱退と今後の制裁への動きと、イスラエルのシリア・イラク軍攻撃拡大の地政学的リスクの中でも株価は堅調に推移。米中韓主導の北朝鮮問題の対応が進む中で、米朝首脳会談の日程が決定し結果を見るまでは円相場を動かしにくい。イタリア反移民を唱える連立政権樹立の可能性にもEURは底堅く推移する一週間となった。

今週はNAFT再交渉の再開の有無とその結果による、メキシコドルとカナダドルの変化と、17日からのEU首脳会議、トランプ大統領発言に注意。米国発の最重要となる経済指標は少ない反面、他の主要国の指標やイベントの結果によって為替相場大きく変動するリスクがあり、15日の英雇用統計(GBP)、17日の豪雇用統計(AUD)、18日のカナダCPIと小売売上高(CAD)を注目したい。

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USDJPY (予想レンジ 108.50~110.00)前週のレンジを世襲する可能性を意識。

弱い米CPIと輸入物価指数に米金利の3.0%台から低下するも2.95%台を確り維持し、米追加利上げ期待も変わらず、米株や日本株も予想外に強く、M&A絡みの円売り要因は消えず、潜在的な円売り圧力は残る。

一方、中東の地政学的リスクのヘッジによる円高期待は残り、米中首脳会談=北朝鮮情勢を見守る動きに積極的な取引も控え気味ながら、110円の大台を意識した輸出企業のドル売り・円買い圧力も強く、オプション絡みの動きも108.50、110.00近辺に集中しやすくなっている。

テクニカルでは、4月24日から続く109円台をボトムとした動きは、5月2日に200日移動平均線を超えられず、過去2日110円の大台を試しながらも失敗し反落、200日線は110.16にあり今週の上値で大きなポイントになることは間違いなさそう。逆に2週にわたり一時108.65の安値をつけながらも結局は109円台で終了していることもあり、終値ベースで109円を割り込んで終わるか108.50円を割り込むとベアセンチメントが強まる可能性も残る。

一方、週足では前週比で3月26日の週から続く上昇傾向を維持しながら、2週続けて110円台を失敗したこともあり、上昇傾向が続くなか22週MA=108.74も安値水準として意識したくなる。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【円】前週-1,405→-5,462(-4,057)
円の四日天下! 70週(約1年半)と長期間に渡る円ショートからロングに転換し円高への期待感が膨らんだのも束の間、4日の短命で円ロングは終了し、2週連続のショートで元の円先安期待相場に逆戻り。ただし、USDJPYは集計日ベースでは109円の大台は超えられず。

USDJPYオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.65→-0.25、 1M=-0.7→-0.55、 3M=-1.0→-0.90、6M、9M、12Mも総じてドルプット・円コールが低下し、円の先安を期待する動きへ。


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EURUSD(予想レンジ1.1850~1.2000)1.2000の大台を回復することができるか? 3週大陰線の三羽烏から転換線から底打ち期待も若干残るも、先週の高値1.1970を超えられなければ逆に反落の可能性も。

先週は底固いと思っていた、1.1900の大台はGBPUSD売りの影響を強く受け割り込み1.1850台まで下落したが、イタリアの政局不安を除けば特にユーロ圏発の売り材料も見当たらず。

市場ではEURUSDが低下する中で、EURロングのポジションの減少幅が意外に少ないことで、更なるEUR売りを意識する旨も多いが、値動きからは過度に意識することもできず。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【ユーロ】前週120,568→120,505(-63)
2週続いた大幅減少から先週は-63コントラクトに縮小。ロングNO.1の座は変わらず、何とか12万コントラクトのロングポジションを維持してはいるも、EURUSDを集計日ベースで比較すると大幅減少前の週4月17日1.2368→先週1.1864と500ポイント近い大幅下落に、先行きの懸念はぬぐい切れず。

EURUSDオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.55→-0.30、 1M=-0.40→-0.35、 3M=-0.35→-0.25へ低下、9M、12Mは変わらず。EURプット・ドルコールが低下気味でEURの先安感がやや弱まっている。


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GBPUSD(予想レンジ 1.3450~1.3650)ハト派のBOE四半期インフレ報告にまたしてもポンドの弱気ムードが高まるも、3週大陰線の三羽烏から転換線?

過去3日間下値をトライしながらも終値ベースでは1.3500の大台を何とか維持。1.3450~1.3650のレンジを抜け出した方向へ動きが強まる可能性も。

先週は英四半期インフレレポートでは、英国の成長とインフレ見通しが下方修正され年内の利上げ観測までが大幅に後退しGBP売りが加速するも、カーニー総裁は年末までに金利が上昇する可能性が高いと逆にタカ派。

GBPUSDは1.3500の心理的ポイントでオプション勢やテクニカルにも重要なポイントを終値ベースで維持しており、そろそろ悪材料出尽くし期待を持ちたい反面、今後の指標の推移と6月21日のBOE金融政策委員会まで一進一退する可能性も捨てきれず。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【ポンド】前週26,372→8,988(-17,384)
3週連続で大幅減少。市場センチメントは急変と言うより、ポンドロングの切りが続いている状態で、GBPUSDを集計日ベースで比較すると大幅減少前の週4月17日1.4285→先週1.3546と700ポイント近い大幅下落で、年初1月9日の1.3540のスタート地点へ逆戻り。これでポンド売りが収束することができるのか?

GBPUSDオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比
1W=-0.23、 1M=-0.31、3M=-0.43と変わらず。長いところも変化は見られず。過度なポンド先安警戒感が小緩む可能性も。

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