2018/07/22

今週の為替相場を考える(7月23~27日)

今週の為替相場を考える(7月23~27日)

ファンダメンタルズ+テクニカル的なドル高の流れの変化は、今週も続くのか、それとも、本流のドル高が復活するのでしょうか?

今週の為替相場は、トランプ大統領の本心と今後の影響は不明ながら、大統領が繰り返して主張する「ドル高懸念、米利上げ懸念、中国・EUの通商政策の懸念」に今週はどうしても意識せざるを得ません。

FRBは「大統領が勝手なことを言うな!」と思っていることは間違いありませんが、トランプ大統領の拡張的な経済成長の恩恵を受け、予想外に好調な貿易摩擦の激化による世界経済の低迷が明確になれば話は別ですが、最近の強い米成長や米インフレに年内2度の利上げ観測は大きな変化は見られません。

仮に第2のリーマンショックが発生してもドル需要が高まることで「ほっておけばドル高傾向が続く」可能性を主張しているエコノミストも見受けられます。

一方、英国はブレグジットを来年3月に控え、最近のメイ政権内の政治的対立を見れば、可能性は低いものの「ハードブレグジット」のリスクは片隅に残しておく必要がありそうですが、市場はポンドショートポジションが積みあがっているのがやや気になります。

最悪のリスクを織り込んだGBP売りの流れが進行形で、最悪のケースを除けば、8月のBOE利上げの可能性はブレグジット交渉次第で否定できず、結局は弱含みながらも事態が改善すればGBP高が再燃することを視野に考えたいと思います。

さて、本題に戻り今週の為替相場の動きを考えると、突然の変化に相場が変化することが多くなっています。結果として、どうしてもテクニカル面に頼らざるを得ない面が高いと思われ、私自身も最近の取引ではドル高を意識しながらも、テクニカ面を十分に考慮した取引に特化しています。

また、市場の相場観(?)を判断する意味では、FXオプションのリスクリバーサルの変化も参考になります。



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今週の相場の予想レンジ



USDJPY (予想レンジ 111.00~112.50、または、110.50~112.00)

先週のトランプ大統領のサプライズ発言による113円台の円安からの急落は非常に刺激的で、それも一時的な失言ではなく翌日にも繰り返されたことで、111.50を割り込んだ流れは、円ベア派にとっては、円ショートを膨らませた直後の円高で非常にショッキングな出来事であることは間違いなく、週末の報道にあった日銀が7月の政策変更を議論との報道と合わせて考える必要があります。

米株や米債利回りの影響を考えるといくら米経済が好調で追加利上げの期待は変化ないと考えていても、今週の円高傾向がどこまで続くのか確かめる必要があり、110.00の大台、110.30、111.00のいずれのポイントでボトムアウトすることができるか? 一方、トップサイドは111.8、112.10、112.50を上抜けすることができるのでしょうか? 基本的にこれらを上限・下限にしたレンジでの取引を予想します。

テクニカルでは、短期はドル売りへと変化しており、今週の流れも111.50円の上回って推移するか、逆に下回って推移するか、111.50円の水準の上下位置によって変わってきます。


IMMポジションからは、【円】前週-39,832→-58,650(-18,818)
5週連続で売り越しが続き、今回の-18,818コントラクトの売り越し額は、6月19日の週に円安が一気に加速した週に次ぐ変化で、円先安ムードが拡大していますが、集計日後のトランプ大統領の「ドル高けん制発言」と中国・EUとの貿易摩擦の動きが気になります。

オプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比オプションの1mのリスクリバーサルから、市場がどのような方向性を考えているかを判断でき、先週-0.50→-0.85%とドルプット・円コールが拡大し、先行き円高方向が意識されています。3か月~12か月も拡大傾向にあり先週の円安方向から流れが変わり、7月9日の水準へ逆戻りしていることがわかります。



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EURUSD (予想レンジ 1.1670~1.1800 貿易交渉の行方で予想外の変化も)

今週は25日の米国とEUの通商協議がどうなるのでしょうか? 26日のECB理事会は政策金利の据え置き見通しで変化は予想できにくいのですが、通商協議の結果をうけたドラギ総裁の記者会見を注目したいと思います。メイ政権内の対立にブレグジット交渉の行方が心配される中で、EURGBPの買いも強く基本的には底堅い動きとなっています。長期では上昇の流れの期待は消えず、短期は上昇傾向にあり、EURUSD1.1750を超えられるかが大きなポイントで、1.1800の壁が大きく立ちはだかっていることに変わりありません。

IMMポジションからは、【ユーロ】前週24,357→21,407(-2,950)
ユーロの買い越し額は4月24日の151,476をピークに減少が続き、今回はわずか21,407にとどまっています。2017年5月9日から63週間続いている流れが、次回以降で変化するのか? ポジションが無くなり買へと再反発するのか注目したいと思っています。

オプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比オプションの1mのリスクリバーサルは、-0.70→0.65%と6月末から大きな変化は見られず、3か月~12か月も大きな変化もなく、現在の水準から方向性は感じられません。


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GBPUSD (予想レンジ 1.2980~1.3220)

先週は1.30の心理的な壁を割り込み1.2957までの下落しながらも大口の買いに支えられ1.31台を復活しています。今週もメイ政権内の対立の有無を意識しネガティブな材料に備える必要もあり大幅な上昇は考えにくい反面、新たな懸念材料が出なければ、市場はGBP売りポジションの解消に動きやすく逆に底堅い動きを期待したくなります。

IMMポジションからは、【ポンド】前週-40,403→-38,752(1,651)
5週連続で売り越し状態が続いていますが、今回は前週比でわずかながら増加しており、ポンド売り圧力も若干ながら弱まっています。ただ、可能性は低いのですが、英国の政局混迷に何も合意できずに英国はEUから離脱する「ハードブレグジット」のリスクを意識したポジションができているように思われます。

オプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比オプションの1mのリスクリバーサルは、-0.79→-0.84%とポンドプット・ドルコールの拡大傾向は止まらず、市場参加者はブレグジット交渉の混迷=GBP安を意識した流れを継続中に思われます。

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