2018/06/15

2018年6月15日(金曜)昨日14日、海外市場の動き

2018年6月15日(金曜)昨日14日、海外市場の動き

ECBは年内の量的緩和(QE)解除を示すも利上げは来年夏までまで持ち越しへ。利上げした米国との金利差拡大と、強さが際立つ米小売売上高+輸入物価指数+新規失業保険申請件数にドルは全面高。

結果、EURUSDは-1.9%近く下落しEURは全面安。その影響に、AUDUSD-1.34%、GBPUSD-0.83%、USDCHF+1.2%、USDCAD+0.92%とUSD全面高で円は奮闘中でUSDJPYは+0.26%の上昇幅にとどまり、EURJPY-1.65%、AUDJPY-1.1%など円はクロスで全面高。

新興国通貨安も目立ち、USDARSは+6.54%と暴騰、USDTRY+1.4%、USDMXN+1.0%、USDZAR+1.04%とドル高が上昇中。

米株は強弱混在で、ダウ-25.89(-0.10%)と小幅低下するも、逆にNasdaqとS&P500は小幅上昇。米10年債利回りは一時2.936%と前日から軟化、2年債は逆に2.57%と上昇へ。原油価格(WTI)は67.04(+0.59%)と上昇へ。ECB理事会を受けには欧州株は上昇し、債券利回りは低下しEUR売りが加速。

EURUSDは、アジア市場の1.1790をボトムにECB理事会の重要なイベントを前にして早期緩和縮小の期待感に欧州市場は1.1830台まで上昇。ECB理事会は現状維持を予想通り決定。声明では、「9月以降の量的緩和は、月間ペースは300→150億ユーロに縮小」、「買い入れ規模を12月末まで月間150億ユーロに縮小」した後、「年内に終了する方針」を決定。これを受け直後に一時EURUSDは1.1810台→1.1850台へと上昇する場面も見られた。

しかし、金利は「現在の水準に少なくとも2019年夏までとどまる」、「買い入れ策を終了させても早急に急激な政策引き締めには動かない」とあり、早期利上げ期待は示されず、ドラギ総裁から「利上げ時期の議論はしなかった」とあり、「見通しに対し存在するリスクを示し過小評価したくない」と慎重な姿勢を示したことで、EUR売りが加速。

EURUSDは、早期利上げ観測の後退、ドラギ総裁の慎重発言、スタッフ見通し2018年成長見通しの下方修正に、米国市場に入っても強い米小売売上高にEUR売り圧力は止まず、オプションカットからフィキシングにかけて下げ止まり1.1610~50近辺で一時揉み合うも、ロンドンクロージングタイムから売りが再加速、5月30日の水準近くとなる1.1570台まで大幅下落。

USDJPYは、前日のFOMC利上げと利上ペース拡大による米金利の上昇期待による円ロングポジションの巻き戻しと、株安+米金利の低下にアジア市場の110.35を高値に欧州市場に入ると一時109.90台まで下落。ECB理事会後のEURUSD急落にEURJPYは下落するも、ドル全面高の流れにアジア市場の高値110.35を上抜け110.50の売りとオプション絡みの動きに110.25~50のレンジで揉み合うも、110.50を上回り買いが強まり110.69まで続伸するも、新興国通貨は弱くJPYは対クロスで全面高、USDJPYの上昇幅も他と主要通貨と比較すると限定的。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

【北米】
IMF=米輸入関税措置は世界の貿易体制への脅威で、報復措置を招きいずれ米経済に悪影響を及ぼすと警鐘。2018年の米成長率見通し2.9%→2.9%へ据え置くが2019年は力強い成長になると想定しつつも、税制改革や財政支出拡大によって2020年以降のリスクが高まる可能性。長期米成長率見通しは1.7%。トランプ政権の示す約3%の予想を大きく下回る。

ポンペオ米国務長官は北京で習近平国家主席と会談=朝鮮半島の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」に向けた米国の決意を伝えた。米政府が極東地域の「永続かつ安定した平和的体制」を望む。南シナ海における中国の活動について「緊張を高めると同時に争いを複雑かつエスカレートさせ、貿易の自由な流れを阻害し、地域の安定を脅かす恐れを指摘。中国国営の新華社通信によると、習国家主席はポンペオ長官に対し、米国と北朝鮮が朝鮮半島問題の政治的解決に向けたゆまぬ努力を続けることを望む。政治的解決を支えるため、中国が引き続き建設的な役割を果たしていく意思を示す。

 カナダのフリーランド外相=ライトハイザーUSTR代表と会合しNAFTAの再交渉を継続する方針で合意。米、カナダ、メキシコがNAFTA再交渉でこれまでのところ意義ある進展を遂げたことで見解が一致

ポンペオ米国務長官=中国、日本、韓国は朝鮮半島情勢が新たな局面に入ったとの認識を共有するも、北朝鮮が完全に非核化するまで制裁措置は解除されないとの見解で一致

ポンペオ米国務長官と中国の王毅外相と共同記者会見=中国は国連安保理決議の順守に向けたコミットメントを再確認。北朝鮮による完全な非核化実施なくして制裁措置の緩和はないとの立場を非常に明確に示した

【欧州】
ECB理事会=政策金利(リファイナンス金利)0.0%、上限金利(限界貸出金利)0.25%、下限金利(中銀預金金利)-0.4%の据え置きと、債券買い入れを300億ユーロ9月期日まで継続。声明では、「量的緩和(QE)は、9月以降月間ペースは300→150億ユーロに縮小」し、データが理事会の中期インフレ見通しを確認するものとなれば、「買い入れ規模を12月末まで月間150億ユーロに縮小」した後、「年内に終了する方針」を決定。金利は「現在の水準に少なくとも2019年夏までとどまる」、「買い入れ策を終了させても早急に急激な政策引き締めには動かない」→ 欧州株は上昇し、債券利回りは低下

ドラギECB総裁=利上げ時期の議論はしなかった。見通しに対し存在するリスクを示し過小評価したくない。決定は全員一致、インフレに著しいい改善が見られた

ECBスッタフ予想=今年と来年のユーロ圏のインフレ率の見通しを引き上げたが、今年の成長率見通しは下方修正。インフレ率予想=2018年1.4→1.7%へ上方修正、2019年1.4→1.7%へ上方修正、2020年1.7→1.7%。成長率予想=2018年2.4→2.1%に下方修正、
2019年1.9→1.9%、2020年1.7→1.7%→ 原油高や為替相場の動向を受け輸入価格が上昇し、これが徐々に消費者物価に反映され始めている。一方、保護主義を巡る懸念などが経済成長に対する重しとなっており、ECBの成長率見通し引き下げにつながったものとみられている。   

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※