2017/08/20

今週の為替相場を考える(8月21日~8月25日)

今週の為替相場を考える(8月21日~8月25日)

最近の為替相場は、金融政策の違いから「米債利回+米株の動向」と連動しながら、利上げや緩和縮小が可能な通貨が強く、逆の通貨が弱い図式のから流れから、中銀の金融政策の見通しに不透明感が強まり変化し、それぞれ国によりネガティブ材料が目立っています。

今週の材料からは、「北朝鮮リスク(米韓軍事演習スタート)」と「欧州テロリスク(バルセロナテロ事件)」、「トランプ政権へ変化(バノン首席戦略官の退任)」、そして、「カンザスシティ連銀経済シンポジウム(やや期待度は低下気味ならも、もしもを期待)」では注意が必要です。

米国では、トランプ大統領の周辺では重要な側近が次々と去り、財政均衡の動きやインフラ投資への懸念が広まっています。米株は2週連続で値を下げ、米10年債利回りは2.22%で推移、FFレートに連動性が高い2年債利回りも1.3%近くと7月の1.43%台から低下しています。8月16日のFOMC議事を見ると、9月緩和縮小スタートの可能性は残しながらも、12月の再利上げではメンバー間の意見相違に今後の強いインフレ指標待ちとなっています。ちなみに、直近のCMEのFedWatchでは37.6%と低く、その可能性がさらに低下しているのが現状です。

ユーロ圏では、9月24日の独総選挙を前にしてメルケル首相や政党の支持率が低下し、マクロン仏大統領の支持率の歳出削減に6月64%→36%(先週のデータ)へ低下しています。今週24~26日の米ジャクソンホールで、カンザスシティ連銀経済シンポジウムの開催を前にして、16日には当日の発言で期待されたドラギECB総裁による「緩和縮小の開始宣言」の期待感はなくなり、9月7日の理事会でガイダンスを変え、来年から縮小を開始するとの見通しは崩れています。17日のECB理事会議事要旨では「ユーロの過度の上昇に対する懸念」が表明さるなど、EURUSD高への懸念が今後の相場の下落圧力へとつながる可能性が気になります。14日にはタカ派の代表格である独連銀理事のドンブレット氏が「ユーロ圏のインフレ兆候は抑制されており、緩和的な政策は正当化される」とのサプライズ発言もありました。それでもEURUSDは1.18近辺で推移している現実は、強いとみていいのでしょうか? それとも、これから崩れると判断するのでしょうか? 迷うところです。

豪州では、ロウ豪中銀総裁が先の半期に一度の議会証言で「次回の変更は利上げ」とするも、「家計債務が高水準にあり、金融引き締めはしばらく先」と発言、15日の中銀議事録では「潜在成長率を上回る成長を遂げる兆しがあるが、家計債務や豪ドル高が見通しのリスク」とあり、やんわり豪ドル高をけん制しています。「家計債務は可処分所得の190%に膨らんでおり、早期利上げは検討していない」と、ここでも早期利上げを否定していますが、AUDUDは以外にも底堅さを維持しているように思えてなりません。

日本では、北朝鮮リスクの当事国になりうる強い懸念が残る中で、最近でもリスク回避のヘッジ通貨としての動きが主流になっていますが、事態の変化で急変する可能性もあり注意が必要です。米韓合同軍事演習(21~31日)で、北朝鮮がどのような行動にでるのでしょうか? それともでないのでしょうか? この有無が今週のドル円相場の変動に大きくかかわってきます。また、8月25日の日本の消費者物価指数では、予想は強めの数字が期待されていますが、この結果も注目したいと思います。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】



◎USDJPY【予想レンジ 続落←108.00~111.50→続伸】

先週は2日連騰で一時111円直前まで上昇しながらも、3日続落で前週の安値を更新し一時108.60まで下落するなど、テクニカルベースでは円高への圧力が続き、108.50~111.00円のレンジの下限を試す動きとなっています。ファンダメンタルズでは、25日のCPIを注目していますが、よほど強い数字にでもならなければ短時間での変化で終わりそうです。北朝鮮リスクですが、米韓合同軍事演習の開催日に当たり何らかの変化は覚悟しなければなりません。結果として、108.50~111.00のレンジを抜けると、次は108.00~111.50のレンジとなり、108円を割り込むと円ブル派が強気で攻めてくることでしょう。

StockRSIのDailyでは、K=65.74、D=50.87とニュートラルゾーンにあり、先週は買いへ変化しながらも今週は逆にやや売り圧力が強まっています。移動平均線では、7月21日に200日MAを割り込んでから続落中で、現時点では112.44に位置し、36日MAも111.47で共に遥か上方に位置し、この水準を上回るまでは円安の反転を確認できそうにありません。

IMM通貨先物では、【円】→-95,813→-77,492(18,321)と、ネットショートポジションはNO.1を維持しながらも4週連続し減少、市場の円の先安センチメントが急速に変化しています。

USDJPYオプションのリスクリバーサルでは、1週間は前週-1.5→-1.0へ低下、1か月-1.50→1.15%へ、6か月も-1.80→-1.48%。先週とは様変わりで先週末の北朝鮮リスクヘッジの巻き戻しに低下気味で、円先高期待がやや弱まっています。


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◎EURUSD【予想レンジ 1.1600~1.1850】


4週間にわたり1.1600~1.1900の300ポイントのレンジに入り、過去3週間では1.17台前半は下髭で下値の買い圧力が強いことが示されています。ただし、17日のECB理事会議事要旨では「ユーロの過度の上昇に対する懸念」が表明され、9月のECB理事会での緩和縮小の示唆期待は弱まり、しばらくは様子見のレンジ相場、または、下値リスクがやや高くなることが予想されます。

StockRSIのDailyでは、K=6.83、D=8.32と売られすぎゾーンありますが反発の動きは見られず、6月中旬~下旬にかけての動きに類似しています。200日MA=は1.0930で先週同様に遥か下の水準に位置し、最近の動きでは36日MAで下げ止まる動きが続いています。その線も1.1625と徐々に接近し重要なポイントになっています。WeeklyベースのMA=終値1.178(高値のMA=1.1886~安値のMA=1.1670)のレンンジ内での推移が続き、こちらも重要となっています。

IMM通貨先物では、【ユーロ】93,685→79,267(-14,418)は、ネットロングポジションはNO.1を維持しながらも、8月1日の108,840コントラクトをピークに4月25日以降では10.8万台で頭打ちとなっています。

EURUSDオプションのリスクリバーサルでは、1週間は前週-0.60→-0.30へとユーロプットを継続、1か月0.00→0.05%とユーロコールが復活、3か月0.00→0.00%と変わらず、6か月-0.05→-0.10とユーロプット拡大、長いところはユーロプットが続き、ユーロの先安感が強まっています。



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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2800~1.2920~50】


GBPUSDは、8月3日のBOE金融政策委員会後の四半期インフレレポートで「成長見通しと賃金の伸びを下方修正」してからは弱含みでの推移続いています。前週の1.2950~1.3050のレンジの下限を割り込み、先週は強い小売物価指数+強い雇用統計+強い小売売上高にも上昇力は鈍く、大枠1.2840~1.2920のレンジで推移し、上昇へ変化するには目先は1.2920を超えることが必要となります。

StockRSIのDailyでは、K=4.03、D=4.05と売られすぎゾーンで推移していますが過去4日間は1.2850~00前後で推移し、実際には買いへの変化は見られません。200日MA=1.2645にあり下方に位置し、26日MA=は1.3001にあり先週はこの水準を割り込んでから売り圧力が強まっています。安値・高値ベースの26日MAは1.2691~1.3048にありこの水準では逆に上値が重くなると思われます。

IMM通貨先物では、【ポンド】-25,160→-31,860(-6,700)と、ネットショートポジションは円に次ぎNO.2で、前週よりショートが拡大気味。ロングへの変化を期待しながらも、なかなか実施できずにいます。

GBPUSDオプションのリスクリバーサルでは、GBPプットで変わりません。1週間は-0.10→-0.20%とプットが拡大、1か月は-0.40→-0.40%と変わらず、3か月、6か月はプットがやや拡大していますが、9か月、12か月は前回と変わらずと、期間により強弱が変化しています。


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