2020/02/02

今週の為替相場を考える(2月3~7日)

今週の為替相場を考える(2月3~7日)

為替相場の現状を振り返ってみると、新型肺炎の感染拡大で中国経済へのリスクと、資源価格の低下にAUD+NZD+CADは弱く、逆にリスク回避にJPY+CHFが選好される流れは変わらず。その中でもGBP+EURは健闘している。

新型肺炎の感染拡大に春節の祭日を拡大させるなど火元の中国経済はもとより、世界経済への悪影響を危惧した流れは止まらず。その影響に過去2週間の株価は世界的に下落。年初来で見るとダウHI28,872.8→LW28,169.53(-703.27ドル)、日経平均株価はHI23,782.49→LW22,892.95(-889.54円)と下げているが、米国では米大統領選、日本では東京オリンピックを控え、これを上昇傾向の中の調整と市場参加者の多くは見ているようである。

債券利回りも大幅に低下し、年初来で見ると米10年債利回りはHI01.944→LW1.502%まで軟化する中で、2年債利回りは最安値を更新している。英10年債HI0.879→LW0.473%、独10年債HI-0.16→LW-0.45%となっている。

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USDJPY
無責任と思われるかもしれないが、JPYロングが少なく、ましてや年初来のJPYショートの状態では特に、リスク回避通貨としてのJPY買いは避けられず。新型肺炎の感染拡大の度合いや、それが経済に及ぼす程度次第で、株価や債券利回りの変化と共に円高、円安が決まってくる。

週足では200週MA=109.64を割り込み続落し、25週MA=108.29で下げ止まっている。日足では200日MA=108.45を下回り、1月8日にイラン革命防衛隊が、イラクの米軍基地にミサイル攻撃を行ったと発表直後につけた瞬間の安値107.65をボトムと考えてみたいが? 現状は嫌いなスキャルピング(本来はアメリカインディアンが白人の頭の皮を剥ぐ行為と記憶しているが?)を続けることも選択肢。

EURUSD
ECBは緩和的政策で変わらず、弱いユーロ圏経済、特にドイツ経済の弱さがが気になる中で、フランスとイタリアの第4四半期GDPは予想外マイナス成長で、ユーロ圏は前期比0.1%と7年ぶりの低水準となったが、なぜか? EURUSDはEUR高へと動きクロスでもEURは強い(特にEURAUD)。

1月23日のECB理事会では、①現行水準かそれ以下にとどめる、 ②QEは必要な限り継続とのガイダンスも繰り返す。ラガルドECB総裁は、①成長見通しのリスクは以前ほど深刻ではない、②インフレ期待の指標は安定と市場に安心感を与えようとしていたが、③非常に緩和的な政策が長期に渡り必要、④成長見通しのリスクは依然として下向きとあった。

今週は、ラガルドECB総裁発言が多数予定されているが、新型肺炎の感染拡大を受けてなにか新たな変化があるのだろうか? あるとしたら他国との比較となるが、欧州経済も中国との貿易関係に度合いは高く、この要因を除いても中期的には追加緩和は避けられないとの予想が多い。

今週は先週のEURUSD急伸の原因はテクニカルを除き明確でない以上、積極的に動きにくい。25日MA=1.111、200日MA=1.1126と、1.1110~30を上限にして上げ止まることが予想されるが、週足では先々週の陰線と、先週の陽線がほぼ同じで、今週の方向制を確認してから動きたい。


GBPUSD
1月31日、英国はEUと47年を経てついに離脱。今後どうなるかは不透明ながら、英FTSEは先週3.95%の下落し、債券利回りは低下するなどのリスク回避へと動いている。

1月22日の英CBI製造業受注指数は2014年4月以来の高水準、1月24日のPMIも予想外に強い中、BOEは30日に7対2と予想外にタカ派で据え置き多数で決定。インフレレポートも今後2年間のGDPとインフレ見通しを下方修正しながらも結局は、英国がEUを離脱したご祝儀相場なのか? GBPUSDは1.30をボトムに小幅上昇するなど底堅さが目立っている。

今週は、1.29~1.33のレンジを大きく抜け出すと予想できず、12月末の1.3284を上限として、1.31~1.3250~80のレンジを予想したい。


AUDUSD
豪州と中国経済と関連性が強い中で、中国内での新型肺炎の感染拡大に伴う経済活動の低迷状態はいまでも続いており、大規模火災の影響も否定できず、資源価格も低迷気味で、昨年末までのAUD高期待は一変し強さは見られず。NZDもつれ安傾向が強い。

23日の豪雇用統計は失業率が低下し新規雇用者数も予想外に拡大していることは慰めで市場は無視していた。4日の豪中銀は政策金利0.75%を据え置くことは固いと思われるが、声明文を注目したい。また、7日にはロウ豪中銀総裁は半期に一度の議会証言に臨み波乱材料となり安い。

続落傾向が続く中、先週末に0.6680台まで下落していたが、昨年8月上旬と9月下旬の安値0.6670台と並んでいることで、当然ながらこの水準を試すことが予想され、それを受けた動きがどうなるのかを注目したい。ダメ元でプレミアムを払いオプションでAUDコールを買い上値を狙う以外は、ロングから入ることは難しい。


USDCAD
12月31日の超薄商いの中で付けた1.2952をボトムに1.3030~80の狭いレンジ(大枠1.3~1.31)で、原油価格も下げ渋りCAD高期待が続いていた。急変したのは1月22日にカナダ中銀は政策金利を予想通り1.75%に据え置くも、将来の利下げに含みを持たせた発言となり、ポロズ総裁から「利下げへの扉が閉まっているとは言っていない」、「明らかに開いているが、指標が今後どう展開するか次第」との発言や、成長見通しの引き下げ(2019年第4四半期1.3→0.3%、2020年第1四半期1.7→1.3%、2020年全体で1.7→1.6%にすべて下方修正)にCAD売りへと急変。

29日にトランプ大統領が新NAFTA(USMCA)に署名し、メキシコはすでに署名済みで、カナダが批准すれば発行するも、原油価格の下落もあるのかUSDCADの上昇は止まらず、元の1.31~1.33のレンジに逆戻り。ただし、IMMポジションを見てもCADロングの上昇に変化は見れず。

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