2015/09/27

今週の為替相場を考える (9月28日~10月2日)

今週の為替相場を考える (9月28日~10月2日)

四半期決算月となる9月も今週水曜日で終わり、10月がスタートする。決算による特殊要因で相場変動が高まる可能性は高く、いつもながら、EURとGBPの変動が大きくなることが予想される。

9月17日のFOMCでは利上げは見送られたが、10月28日のFOMCで再び議題に上ることは間違いない。先日のイエレンFRB議長の講演でも、議長を含めFOMCメンバーの大半は年内の利上げを支持とあり、ドル買いへ動いたことは記憶に新しい。その、イエレンFRB議長の講演が今週も控えている。

イエレンFRB議長の発言は、9月30日(水曜)、日本時間10月1日の早朝午前4時に予定され、翌10月1日(木曜)の午後11時30分にはドラギECB総裁の発言もあり、共に注意が必要だが、先週の発言を翻すことは考えにくい。

9月27日(日曜)のスペインのカタルーニャ自治州の州議会選挙の結果を確認する必要もある。分離独立を掲げる政党が過半数を握れば、約1年半後に一方的にスペインからの独立を宣言すると可能性が報道されていた。先にリンデ・スペイン中銀総裁が「カタルーニャ自治州が独立した場合には、ユーロ圏から自動的に離脱するとともに、ECBからの支援が受けられなくなると認識」との発言もあり、まずはこの結果を注目したい。

次に、習近平中国国家主席の初訪米から帰国後の中国経済で、どのような変化があるのか? 週末の二日間は中国国慶節で休場となり、週前半の中国株と人民元相場は当然気になる。そして、経済指標では、10/2(金)の米雇用統計は今週を締めくくる最重要イベントであることは間違いない。

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ドル相場
ドル相場と連動性の高い、米2年債利回りは、9月17日のFOMC前の0.82%から0.66~0.74%へ低下し、米10年債利回りも2.1~2.2%前後で落ち着いており、ダウ平均株価も16,000~16,500ドルで安定している。

先週一週間を通してみると、9月17日のFOMC金利据え置きによる影響を受けながらも、EURUSDは0.93%下落、GBPUSDは2.28%下落、AUDUSDは2.38%下落、USDCADは1.49%上昇、USDJPYは0.49%と、イエレンFRB議長のタカ派発言もあり、ドルは主要通貨に対して上昇を維持している。

今週は米雇用統計という波乱材料が待ち受けているが、最近の新規失業保険申請件数は低下を続け雇用の改善傾向が示されると思われる。仮に強い数字となれば、先のイエレンFRB議長のタカ派発言もあり、10月28日のFOMCで利上げ期待が残り、12月16日のFOMCでは利上げの可能性がより高まる。

先週はノルウェー中銀が予想外の利下げを実施、今後の再利下げの可能性をも示唆し、EURNOKが上昇していたことは記憶に新しい。ECBの追加緩和の目は消えず、日銀の10月追加緩和の思惑も消えず、豪中銀は自国通貨安と低金利の維持を表明、NZ中銀は追加利下げの可能性を指摘したままである。

唯一利上げ可能なBOEも、どうも意見を統一することはできず、まずは、FRBの利上げ後の影響を判断してからと、高みの見物に思えてならない。このような対照的な相反する金融情勢や、中国や新興市場国の不安定な経済情勢を考えれば、現行の為替相場にある程度織り込まれながらも、ドル高基調は変わらずと考える。

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EURUSD 予想 1.1100~1.1350(ダウンサイド・リスクがやや高い)
先週のドラギECB総裁の議会証言では「新興国の経済成長の鈍化、ユーロ高、商品価格の下落」がリスク要因で、QEの延長にはこれらを見極める必要があると発言し、追加緩和期待が萎んでいた。また、複数の中銀総裁からは、現時点ではQEの引き上げや延長をめぐる協議はないと指摘が多い。スペイン・カタルーニャ自治州選挙でサプライズがなければ、テクニカルでは上値の重い状態は変わらないが、1.1100~1.1350のレンジ内での取引が続く可能性が高くなっている。ただ、このレンジを抜け出してのクローズとなると話は場別で、特にサプライズの期待はダウンサイドのブレーク。

GBPUSD 予想 1.5050~1.5450(ダウンサイド・リスクがやや高い)
前週、BOEチーフ・エコノミスト・ハルディーン理事の「金融政策の引き締めよりも、緩和が必要となる可能性がある」との発言が頭から離れない。先週は、カンフリBOE副総裁は、物価上昇圧力は見受けられないが「次回の金利変更はそれでも引き上げの可能性が強く、利上げは緩やかかつ限定的」と、次の一手は利上げであることを示唆しているが、シャフィクBOE副総裁は、先進国の将来的な利上げによる波及の影響を危惧しており、現状では将来の利上げ期待によるポンド高は期待できにくい。先週は、200日MV=1.5320台割り込み、一時的に9月4日の安値1.5161を割り込んだことで、1.5150~1.5550の動きの荒いレンジ相場が続く中で、ダウンサイド・リスクがより高いと思われる。

AUDUSD 予想 0.6900~0.7300
習近平中国国家主席の訪米から、どのような変化が生じるのか? 中国発の材料に左右されがちな豪ドル相場だけに注目したい。関係者の発言通り、GDPは7.0%台を維持、人民元と株価の安定を図ることができるのであろうか? そうなれば、中国経済の安定=豪ドル高との発想になるのだが。週後半は 国慶節連休に突入する中、前半戦の中国株と人民元相場が非常に気になる。期待が裏切られれば、0.6900を割り込み下落へ、期待通りとなれば、0.73の大台を回復する可能性も。

USDJPY 予想 118.50~122.00
黒田シーリングの124円台越えを試すこともできず、118円台の買いをブレークすることもできず、118.50~121.50円のレンジを抜け出せず。極端な円高期待も薄れ、米利上げ観測と、日銀の追加緩和期待に円安思考は変わらず。逆に、中国と新興市場国リスク拡大による円高懸念も強く、戸惑いムードが続く。先週と変わらず、攻めるなら円クロスが選択肢。

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