2018/08/26

今週の為替相場を考える(8月27~30日)

今週の為替相場を考える(8月27~30日)


先週のまでの動きを振り返ると要因は別として8月15日を境いとし通貨ペアで多少異なるものの結果的に、多くの主要通貨(除くUSDJPY)でドル買いからドル売りの流れへと変化していることがわかります。

このドル売りの流れが今週も続くのでしょうか? それとも再びドル買いへ逆戻りするのでしょうか? これが今週のテーマともいえるでしょう。他国独自の要因は別として米国に限定して月末最終週の今週の動きを考えてみたいと思います。

なお、「今週の主な材料」で相場変動になりうる要因を説明していますので合わせてご覧ください。

相場の変化は8月15日前後に発生しており一体何が起きたのでしょうか? トルコ危機が続く中で、「カタールがトルコへ150億ドル融資」を発表、トルコ政府が積極的に通貨防衛に動きだしトルコリラ売りからの変化が確認できた日でもあります。そして、中国商務次官が米国を訪問し協議をすることが発表された日で、トランプ大統領とクドローNEC委員長が不思議にもドル高の称賛発言もこの日前後です。

結局のところ、トルコリラ相場は反転し買い戻し傾向が続き、米中次官級会議では結論が出せず、予定通り米中では160億ドルの制裁と報復関税が共に発動されています。トランプ大統領も「人民元安+ユーロ安」の非難を復活へ。週末にはドル売り傾向が収まった後に、ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演で、「強い米経済、強い雇用、利上げ継続」が指摘された反面「インフレ率が目標の2%を上回って加速する兆候はない」との発言に、来年の利上げ期待が後退しドル売りが再開したのも忘れることができません。

つまり、乱暴な言い方で適正でないかもしれませんが結果だけを見ると、新興国通貨の危機=ドル買い、危機解消=ドル売りへと動き(ZARとBRLは不安ですが!)、米中通商協議の再開=ドル売りへと動き、米中追加制裁発動+通商協議の継続=ドル売りが止まらず。来年の米利上げ期待の縮小=ドル売りへと動き、トランプ大統領のFRBの利上げ姿勢への不満=ドル売りへと動き、トランプ大統領の中国とEUが為替操作していると不満発言=ドル売りへ動いていたことになります。

これらを考えると、一にトランプ大統領の口先で相場が動いていることも事実ですが、米国の強硬な通商政策がドル売りの要因となり、新興国通貨の安定が引き続き相場変動となりながらもドル売り傾向を強めているように思えてなりません。


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USDJPYの予想レンジ(今週も不満ながら狭いレンジ予想で、110.00~111.50、欧州通貨でドル売りが加速するようなら、109.50~111.50のレンジへ)

USDJPYは109.70台→111.49まで180ポイント近く上昇したのは、円高の一時的な戻りなのでしょうか? それとも円安の始まりなのでしょうか? 引き続き109.50~111.50のレンジの継続と考えています。

米10年債利回りは2.8をベースに2.8~2.9%で動きは見られず。逆に2年債利回りは上昇し、米株も強さが目立っています。新興国通貨ではZARとBRLの弱さは気になりますが、TRYは予想外に安定しており、リスク回避の円買いも当てにできにくい状況ですが、米中通商協議で進展がないことが気になり、米朝協議もお流れとなりこれらかは円買い材料ともいえるでしょう。結局は強弱混在。

先週は大枠で110.00~50の狭いレンジに収まっています。テクニカルでは長期的なドル買いの流れは変わらず、中期的な流れも買いを示唆しており111.50を超えられるかが重要な上値のポイントとなっています。短期では111.50超のトライが失敗したことで売りへと変化し110.80台を割り込むことができないと再び反発する可能性も考えられます。

オプションの1m デルタ25のリスクリバーサルから
前週末と比較すると、1.3→1.15と小幅ですがドルプット・円コールが縮小し、3か月超では前週と変わらず円高センチメントを残した動きとなっています。


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EURUSDの予想レンジ(1.1650を超えられるか? 1.1500~1.1650、 1.1550~1.1700)

EURUSDは1.1300台→1.1640まで240ポイント近く、GBPUSDは1.2660台→1.2930台まで270ポイント近くの上昇は、ドル買いの中で一時的な調整なのでしょうか? それとも、ドル売りの始まりなのでしょうか? 一時的なユーロ高にとどまることが予想していますが、1.1650を継続的に上回る状態が続くようなら流れの変化も意識へ。

英国のハードブレグジットの影響はユーロ圏でも懸念事項となっており、イタリア政局の不安もユーロにとってはマイナス要因で、特別にユーロ買要因が強まったというより大幅な米利上げ期待の後退と通商問題のリスクがクローズアップされ、直近ではEURロングの買い戻しの流れが続いているだけに思えてなりません。

テクニカルでは買い反転から5日連続上昇し、一度陰線へと変化しながらも再び高値を更新しての陽線引けとなっていることで底堅い動きも感じられます。短期では買を継続中で、中長期では売りの流れが続きながらも、1.1650を超えてくると中期的な流れが変化する可能性も残っています。

オプションの1m デルタ25のリスクリバーサルから
前週末と比較すると、0.85→0.65をユーロプット・ドルコールが縮小し、3か月超でも軒並み縮小傾向にあり、ユーロ売りのセンチメントが急速に後退していることがわかります。


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AUDUSDの予想レンジ(0.7250~0.7400)

AUDUSDは0.7200台→0.7380台→0.2740台→0.7340台と買いが再開しているが、この流れを継続できるのでしょうか?

豪ドルは中国発の材料に左右されやすく米中通商協議が今一つ不透明で気になりますが、今後閣僚クラスの改題を経て、11月の首脳会談へ突き進む目途がつくようなら、AUD買へと変化する可能性が高まります。また、モリソン新首相の就任で政局が安定できるかもカギとなっていると思われます。

テクニカルでは、短期では買い傾向で変わらず、中長期では売りを継続に変化は見られませんが、0.7450を超えると中期の流れに変化の可能性が気になります。

オプションの1m デルタ25のリスクリバーサルから
前週末と比較すると、1.05→0.95と豪ドル売り・ドル買いが縮小し、3か月超でも軒並み縮小傾向にあり、豪ドル売りセンチメントが急速に後退していることがわかります。


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