2016/09/11

今週の為替相場を考える(9月12~16日)

今週の為替相場を考える(9月12~16日)

米国利上げ期待の増減に、短絡的に上下していた為替相場とは異なり、安定傾向を維持していた米株と米債券市場。

それらは共に、先週末の米国市場で「株安+金利上昇」へと大きく変化したことで、今週の為替相場に影響を与えることは避けられそうにありません。

問題は、今後の不透明感が強い中で、米株の下落と米債の下落(利回り上昇)の流れの変化が本物なのか、それとも、一時的な調整で終わるのかによって、為替相場の予想値を変える必要もあります。今週後半に集中する米国の経済指標でより明確な方向性が決まることになるでしょう。

それまでは、先週末の余波を受けた「株安+金利上昇」の動きに、リスク回避の動きが強まることが予想されます。

NYダウの一週間の下げ幅は、-2.2%(-406.51ドル)で、英国民投票のサプライズな結果を受けた週の-1.55%を超え、Dailyベースでは7月8日の水準へと約2ヵ月前の水準に逆戻りしおり、この影響も無視することはできません。

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話は変わりますが、将来どのような不透明要因があるいのでしょうか? 以下思いつくものをいくつか考えてみたいと思います。

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①FOMCは9月21日に利上げをするのか、なければ、年内12月にするのか、それとも来年までもちこしなのか? それまでに、米経済は強さを維持できるのか?

②日銀は9月21日に当座預金金利をどこまで引き下げるのか? 市場が期待している-0.3%になるのか? 

③ECBは12月に預金金利をさらに-0.5%まで引き下げるのか、月間資産購入額を1050億ユーロまで拡大するのか? それともないのか? 

④過去に例の見ない米大統領選は、どういう形で結末をむかえ、その影響はどうなるのか? 米国の政治的・経済的な地位は、最近のG20を見てもわかるが、中国の台頭に反してやや影は薄く、今後はまったく予想できず。

⑤中国経済の減速は本当に止まるのか? 最近の楽観的な見通しに反しデータはそれほど強くはなく、不安は消えそうにない。

⑥英国のEU離脱選択後の英経済に対して市場はやや楽観的になっているが、実際の離脱による不透明感は消えず。来年のユーロ圏各国の選挙を控えて、ユーロ圏も不安定な状況は変わらず。

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【通貨ペア別のレンジ予想】

◎USDJPY 【予想レンジ101.00~103.50】

21日まで米利上げ期待は弱いながらも残ると考えていましたが、米株と米債の急落を受けてFOMCメンバーが慎重になる可能性も意識せざるを得ません。一方、日本は何らかの追加緩和を実施すると思われまる。

そのため、株安=円高、リスク回避行動=円高と、日米金利差拡大=円安の動きが混在すると思われ、リスク回避の度合いによっては円高傾向に動くことも警戒しています。



◎EURUSD【予想レンジ 1.1150~1.1400】

ECB理事会も終わり、12月に追加緩和見通しが濃厚で、欧州各国の選挙が意識され短期的な相場変動とは別に、潜在的なユーロ売り圧力は当面続きそうです。

一方、短期的には、米株と米債の急落を受けたリスク回避行動が高まれば、安全資産としてのEUR買の圧力が強まることも考えざるを得ません。



◎GBPUSD【予想レンジ 1.3150~1.3350】

14日のBOE金融政策委員会は、据え置きで固いと思われ、金融政策からは大きな変化は期待でそうにありません。他の主要通貨と同じく、米株と米債の急落(利回り上昇)が続くのか、一時的なものかによって予想値は大きく変化します。

前提としては、大きな変化の後だけに、その影響がしばらく続くが大きなトレンドの変化にならないとの前提で考えています。



◎AUDUSD【予想レンジ 0.7400~0.7600】

先週末の米株+米債下落と、AUDUSDの急落の影響がどこまで今週の相場を引きずってくるのか?

先週前半の上昇から後半には大きく流れは変化しており、その余波を受けた売りがしばらく続きそうなことや、米株と米債の急落を受けた、リスク回避行動に、AUD売り圧力が続く可能性を意識しています。

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