今週の為替相場を考える(9月5~9日)
ダドリー・イエレン・フィッシャー氏などFRB関係者の発言に、一時熱狂的となった米利上げ期待は、先週末の予想を下回る米雇用統計に冷やされつつあるも、賃金上昇の伸びは予想に届かなかったが、雇用者数は予想の下限に収まり、利上げ期待は相変わらず残る状態となっている。
9月21日のFOMCへ向けた為替市場の投機的な動きは今週も止みそうにないが、盛り上がりに欠ける米金利の上昇、緩やかな上昇を続ける米株を、どのように考えたらいいのであろうか? そのトレンドが強いのか、利上げを織り込んでないのか、米利上げを信用してないかは不明。
為替相場だけを見れば、投機的な動きに反応しやすい状態は変わらずで、発言や経済指標に一喜一憂している状態が今週も続くことになりそうである。
円売りのテーマとなっている、9月21日の日米金融政策の違いは、「米利上げ(または、据え置き)+日本追加緩和」で、相変わらず存在する円売り材料に、投機筋が円売りを簡単にあきらめると思われない。
しかしながら、ドル円は先々週1.04%、先週2.08%と2週間で3%近く上昇している事を考えれば、今週も105円を超えて、参議院選直後の高値107.50円を超えどんどん上昇するような円安も考えにくい。
今年に入ってからの動きをみると、7月11日の参議員選で与党が圧勝し、『政府も景気刺激策+日銀の追加緩和』期待に盛り上がり、週間4.21%上昇した週を除けば、週間で2%台超の上昇はなく、3週間連続での上昇は一度しかなく、それも計約3.4%(週間ごとの合計)に止まっている。
さて、今週はFRBの金融政策に影響を与える米国発の指標は多くはなく、豪州+カナダ+ユーロ圏の中銀の金融政策が注目材料となっている。金融政策の変更は期待できないが、声明文や中銀総裁の記者会見を注視したい。
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【通貨ペア別のレンジ予想】
◎USDJPY 【予想レンジ102.50~105.50】
米利上げ期待が仮に後退したとしても、9月21日の日米の金融政策の違いは強く残り、円売りの材料に使われやすい。
USDJPYは100円割れを失敗した反動に、過去2か月間続く上限となる105.00、107.50円を超えて直ぐに上昇することも考えにくく、円クロスで相当規模の円売りが入らないと105.50円超を維持することも現時点では考えにくい。
◎EURUSD【予想レンジ 1.1100~1.1250】
米利上げ期待の増減による影響も弱く、8日のECB理事会とドラギECB総裁の記者会見を注目。大幅なEUR上昇は期待できず。
英国のEU離脱を選択したことによる、ユーロ圏経済・政治への悪影響はどの程度EURUSDの相場に影響を与えたのであろうか?
EURUSDは、6月24日の英国民投票の結果が判明してからも、過去5か月間の長期にわたり、1.09~1.16のレンジ、大枠で1.10~1.15のレンジに収まり、安定した動きが続いている。EURJPYも上昇圧力が続くも、大枠111~119円のレンジに収まり、方向性は見られない。
一方、実際の離脱にともなるリスクは消えたわけではなく、2017年4月までにEU離脱をEU理事会に通知する時期が過ぎ、悪影響の有無が確認できるまで長期的なEURUSDの不安要因は消えず。
◎GBPUSD【予想レンジ 1.3150~1.3450】
GBPはシブトイとでも言ったほうがいいのか、相変わらず1.28近辺をボトムに、大枠1.2850~1.3400のレンジに収まっている。直近では堅調な英国発の経済指標もあり、GBPショートポジションの巻き戻しに上値を試す動で、9月に入ってからはその勢いがさらに強まっている。
一方、EURUSDと同じく、実際の離脱にともなるリスクは消えたわけではなく、2017年4月までにEU離脱をEU理事会に通知する時期が過ぎ、悪影響の有無が確認できるまで長期的なGBPUSDの不安要因は消えず。
◎AUDUSD【予想レンジ 0.7500~0.7650】
最近の値動きでは、0.7500~0.7650のレンジに入り、この流れが今週も続きそうである。豪中銀の豪ドル安政策の影響なのか、豪州とNZとの金利差の違いなのか不明ながら、NZDUSDとの連動性が弱まり、逆に動くケースも増へ、AUDNZDは8月8日の1.0740台→1.0320台まで続落し、AUDUSDの売り圧力となっている。
今週は、6日に豪中銀の金融政策が発表され、据え置く見通しとなっているが、声明を注目したい。
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