2016/09/21

2016年9月20日(水曜)アジア・欧州市場序盤の動きは、日銀の結果を受け大波乱

2016年9月20日(水曜)アジア・欧州市場序盤の動き

日銀金融政策決定会合は、サプライズの連続。為替市場は乱高下し、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の新たな緩和策を発表するも、金利とEFT買い入れ枠変わらず、直後はすぐに理解できず。債権利回りは上昇し、金融株がリードする株高へ。

昼12時を待たずに為替相場は上下変動し一時円高へ。発表時間は異例の遅さとなる午後1時を過ぎ、発表前から株価は上昇し円安へ(USDJPYは一時102.20円へ)。

日銀金融政策決定会合の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の発表を受け、「株価は急落+円急騰(USDJPY101.00円近くへ)」と思いきや→「株価は急騰+円急落(USDJPY102.70円台へ)」下落。結局は、USDJPYは102.80円近くまでで急進し、102.50円前後で推移。

ただし、黒田日銀総裁の記者会見では、今回導入した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は従来の政策を強化したものと強調するも、今一つ決め手に欠ける説明で、市場は逆に円買い(USDJPYの売り)に急変し、一時101.60円近くまで下落。

海外市場で、この日銀の新たな緩和策をどのように理解し、どのように判断するのかは不明。

今晩(日本時間の明日未明)のFOMC待ちになっているが、こちらも利上げ・据え置きと、どちらに転んでも大変動になる可能性は高い。

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日銀金融政策決定会合=緩和は、量から金利へシフトし、長期金利を0%に誘導へ。新たな政策の枠組みの名称は「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和」。

長短金利を誘導目標とする新たな金融緩和の枠組みを決定。マイナス金利政策を維持し、10年物国債利回りを0.0%程度に誘導。2%の物価安定目標が実現するまで金融緩和を継続。必要が有ればマイナス金利の深堀も。

日銀は金融政策の総括的な検証を実施し、物価2%の実現のためには大胆な枠組み変更が必要だと判断。7対2の賛成多数で決定。

長期金利の誘導方法はこれまでも実施してきた国債買い入れを軸とする。買い入れ額は現状の80兆円程度を目標とし、残存年限にこだわらず幅広い国債を買い入れる。

日銀は利回りを指定して国債を買い入れる新たな国債買い入れに乗りだす。さらに、最長10年の資金を固定金利で供給する新しい金融調節手段も導入する。

今後の追加緩和手段としては(1)マイナス金利政策の強化(2)長期金利操作目標の引き下げ(3)資産買い入れの拡大(4)資金供給量の拡大ペースの加速。マイナス金利の深掘りを追加緩和の軸に据える考えを初めて明確に示した。

日銀が金融政策の枠組みを変えるのは、市場に出回る国債が極端に少なくなるなか、資金供給量の拡大をこれまで通り続けていくことが難しくなっているためだ。長期金利を目標にし、資金供給量を柔軟に変えられるようにすることで、粘り強く緩和を続けられるようにする。

これまでの金融緩和は、超長期の金利が下がりすぎて保険や年金の運用が難しくなるという副作用も目立っていた。長期金利目標は、10年債金利がマイナス圏に突入するなどの金利の下がりすぎを防ぎ、金融機関に配慮するという意味合いもある。

黒田日銀総裁=今後の金融緩和策について「量・質・金利で追加金融緩和を実施する余地はある」と述べた。黒田総裁は、今回導入した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」は従来の政策を強化したものと強調

金利の低下は経済・物価に好影響をもたらしたとする一方、イールドカーブ(利回り曲線)の過度な平たん化は「金融機関の収益の減少を招き、心理面で悪影響がある

イールドカーブ(利回り曲線)の操作は十分できる。イールドカーブを操作する上で国債の購入ペースが年80兆円から増減する可能性については現時点で大きく増加や減少は見込んでいない。国債の買い入れはまだ十分でスムースに可能だ。テーパリングではない。

年間の長期国債買い入れ額について80兆円から増減はあり得る。長短金利を誘導目標とする新たな金融政策の枠組みに関しては「経済に好ましい利回り曲線を実現するよう買い入れる。

金融政策の変更について戦力の逐次投入を行わないという考え方は一貫している。今回の枠組み変更は思い切った政策と評価、バズーカやサプライズから微調整を要する政策に変わったとの批判をかわす。

外国債券の買い入れについて「外国為替の安定のための売買は財務大臣が一元的に所管している」と発言し、日銀法上、日銀主導ではできない。

目先の追加緩和手段として「短期政策金利の引き下げ」「長期金利操作目標の引き下げ」「資産買い入れの拡大」を挙げた。また、状況に応じて「資金供給量拡大ペースの加速を手段にすることもある」とし、「その場合は長期金利の大幅な低下が考えられる