2018/08/12

今週の為替相場を考える(8月13~17日)

今週の為替相場を考える(8月13~17日)

今週は他の多くのコメントでもトルコリラの暴落を含めて金融市場の混乱のリスクについて語っていることでしょう! 

一日で一時的にせよ20%近く変動したUSDTRYとTRYJPYを見るにつれ、今週はポジティブ、ネガティブいずれの材料でも相場の変動は避けられそうになく、今後の金融市場全体でみてもトルコリラの変動が非常に重要です。

ところで、先週の相場変動の要因となった多くの材料は米国発(トランプ大統領発)が起因となっていることが多いことがわかります。

トルコ暴落のショックを世界中に広めた、「トランプ対エルドアン」の対立も事の起こりは、「米国人牧師拘束を巡る米国の対トルコ制裁と対抗措置」の激化です。今回、米国はトルコに鉄鋼関税を50%・アルミ関税を20%と倍に引き上げたこともありトルコの強い反発を買っています。

米中貿易戦争のリスクが残る中で米中制裁・報復関税の一連の動きも「トランプ大統領の決断」で然り、米国は中国へ23日に制裁措置第2弾160億ドルで25%の発動を決め、中国は同日に同額の報復措置を課すと発表。

日米新通商協議ではどのような課題を突き付けられたかは不明ですが、9月に持ち越しされたことも然り。米ロ制裁と報復の動きも然りで、米国はロシアに22日に新たな経済制裁を発動し、ロシアは報復措置をとることを表明しています。

例外としては英国のEU離脱で合意ない離脱(ハード・ブレグジット)の可能性拡大と、直近ではサウジとカナダの対立で「女性の権利擁護活動家の逮捕を巡るカナダの批判にサウジが反発」したことが起因となっています。

それでは、今週の為替相場の予想を通貨別に考えてみたいと思います。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


今週の予想レンジ


USDJPYの予想レンジ(110.50~111.80、111.20→上昇へ)

円相場を考える前提には、日米新通商協議が9月に再開さることで目先の変動リスクは軽減されていますが、先週はトルコ資産売りがユーロ相場に波及しているように、最大のポイントとなるトルコリスクが残っています。

「株安+債券高(利回り低下+リスク資産売り」で、リスク回避型の円高になるのか? 何等か改善策が提案されトルコリスクが軽減し「株高+債券安(利回り上昇)+リスク資産買」で、安全資産買の円安になるのか? このいずれかを選択しなければなりませんが、これを予測するのは至難の業です。

テクニカルベースでみれば、短期・中期はすでに完全にドル売り・円高傾向を示唆しており、長期的には円安に変化はありません。長期の変化に影響を与える109円まではまだ相当余白が残っていますが、その前提としては110.50を恒常的に割り込むことが必要となります。

短期的には110.50~111.20のレンジ相場で落ち着いていますが、中期的に見れば7月上旬から続く円安相場の変化がすでに始まっており110.45~50を割り込んでくるようなら、109円が視野に入ってきますが、逆に111.20~30を超えてくると流れの変化も意識したいと思います。

IMMポジションからは、【円】前週-68,457→-62,807(5,650)と、ネットショートの水準に大きな変化は見られませんが、2週連続し前週比で微増しており市場の円安センチメントがやや変化の兆しも感じられます。

USDJPYオプション 25delta 1M、Risk Reversal(金曜21:30)は、0.75→0.95とドルプット・円コールが拡大し、水準的には7月27日の1.10を下回っており積極的な円買いには至っていません。


※※※※※※※※※※※※※※※※※

EURUSDの予想レンジ(1.1300~1.1500)

先週はトルコ情勢の悪化で、前週比-1.55%下落と3週連続の下げとなっています。欧州の銀行がトルコのエクスポージャーが比較的大きく影響を受けやすいため、欧州の銀行から米国へと資金移動が続いている可能性を意識。ECBの銀行監督部門(SSM)が、スペイン、イタリア、フランスの市中銀行と、トルコのエクスポージャーを懸念と報道したことも強く意識されています。今週のEURUSD相場もトルコリラに大きな影響を受けることは間違いなくこの動き次第とも言えそうです。

テクニカルでは、1.1500を割り込み昨年7月以来の安値につい長期でも売りへと変化し、短期・中期・長期とEURUSD相場の下落圧力が続いていると思われ、1.1500、1.1600を完全に上回るまでは流れの変化は期待薄に思えてなりません。

IMMポジションからは、【ユーロ】前週22,825→10,565(-12,260)と、2017年5月9日から66週連続でネットロングを維持していますが、2週間連続で買い越しが減少し今や風前の灯火。集計日後のトルコリラ・ショックによるEURUSDの急落を考えれば、歴史的な買い越しから売り越しへの変化を考える必要がありそうです。

EURUSDオプション 25delta 1M、Risk Reversal(金曜21:30)は、0.70→1.20へとEURプット・ドルコールが拡大し、長期を含めユーロ先安を意識した展開となっています。


※※※※※※※※※※※※※※※※※


AUDUSDの予想レンジ(0.7250~0.7380)

米中貿易摩擦の影響と、トルコリラ発の新興国通貨の変動を受けることは避けられず。この二つの問題で相場が上下変動へ。

テクニカルには短期・中期・長期と売り圧力が長期間続いている状況に変化は見られませんが、直近の下げ幅も点綴的で目先は0.7280~50のレンジになる可能性も意識し、AUD売りからの変化が確認できる水準は0.7400とワイドになります。

IMMポジションからは、【豪ドル】前週-51,476→-54,540(-3,064)と、19週連続で売り越しを継続中。直近でも3週連続し前週比で売り越し額が拡大しており、米中貿易摩擦の影響を危惧してなのか、市場の豪ドル先安センチメントに大きな変化は見られません。

AUDUSDオプション 25delta 1M、Risk Reversal(金曜21:30)は、0.60→0.70とAUDプット・ドルコールに変わりありませんが、水準的は緩やかな上昇にとどまっており、予想外にAUDショートには慎重とも思えます。


※※※※※※※※※※※※※※※※※