2018/08/05

今週の為替相場を考える(8月6~10日)

今週の為替相場を考える(8月6~10日)

今週は夏休み本番で夏枯れ相場に突入するのでしょう? 今週の為替相場の運命は、米中貿易摩擦の激化の有無に、日米新通商協議の行方に、米CPIの数字に左右されそうですが、ドル高の根底には米国の利上げ継続期待とファンダメンタルズの強さが横たわっており、その流れを覆すことは容易なことではありません。11月の米中間選挙に向けた土台作りに忙しいトランプ大統領の周辺は夏休みを返上して頑張るのでしょうか?

個別の要因としては、今週の主な材料でも記載していますが米CPI以外では、豪中銀の金融政策に、NZ中銀の金融政策に、日本のGDPに、英国のGDPに、カナダの雇用統計で相場変動が高まることが予想されます。特にNZ中銀の金融政策の発表は午前6時のNYクロージングタイムで薄商いの時刻でもあり予想外の結果に相場変動が高まることが予想できます。

主要国通貨の興味としてだけを見ると、EURUSDが1.1500の大台を割り込む動きがあるのか? GBPUSDが継続的に1.3000の大台を割り込むのか? USDJPYが110.50~112.50のレンジをいつになったら抜け出せるのか? NAFTA再交渉が起動に乗りUSDCADが1.2800を再び割り込むことができるのか、それとも米メキシコの交渉が失敗しその余波で1.32台へ逆戻りするのでしょうか? 

話が反れますが、今週の関心事は変動率が最も高いトルコリラを中心とした新興国通貨の動きではないでしょうか? トルコ中銀は7月24日に通貨防衛で17.75%まで上昇させている政策金利のさらなる上昇が裏切られ、米国はトルコに米牧師の早期解放を要求し異例の制裁発動をちらつかせていることで、USDTRYは5.0000の大台をも超えて一時5.1000台へと歴史的なTRY安を更新しています。

日本の個人投資家がもっとも好むキャリートレードを意識したTRYJPYも5月23日の安値22.269円を割り込み21.794(ビットサイド)と歴史的な安値を更新中です。現在のトルコと日本の政策金利の条件が続くとした理論上ではTRYJPY22円で買って、1年後18.1円、2年後14.2円、3年後10.3円、6円後にゼロ以下になっても損はしない計算なのですが? どうなることやら。 

米国は中国に追加関税の第1弾(7月6日発動=340億ドル・818品目に25%)、第2弾(8月発動予定=60億ドル・25%)、第3弾(7月10日発表・9月発動予定=2000億ドル・6031品目に10%)

一方、中国は米国に報復の追加関税で、第1弾(7月6日発動=340億ドル)、第2弾(160億ドル)、第3弾(8月3日発表=600億ドル・5207品目に5~25%)を米国の実施に合わせて発動の見込みとなっており、今週もこの追加関税の動きを特に注意してください。


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今週のレンジ予想 



USDJPY (ワイドレンジ110.50~112.50、ナローレンジ111.00~111.80)

日米新通商協議(8月9~10日)ワシントンで茂木経済再生相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との間で新たな貿易協議(FFR)が開かれ、自動車輸入制限などが議論される可能性が高く為替相場の変動要因となっています。

先週、ドル円は、日銀のフォワードガイダンス導入による緩和姿勢の強調と長期債利回り0.1→0.2%までの上昇の容認と、苦肉の策の判断と批判する人もいますが、結果を受け内外の大口投資家がどのように判断しているのでしょうか? あるいは今後どのように判断するかにかかわってきますが、株式市場は日米ともに方向性に乏しく、債券利回りは日銀の決定後に主要国でも一時上昇していましたが続かず、日本との金利差は縮小気味となっています。

結果としてドル円相場は7月31日の日銀金融政策決定会合で円売りが加速、翌日の112円台をピークに逆に円高へと変化し先週末は111.10台へと、31日の円安スタート地点に逆戻り。USDJPYはテクニカル的にも短期的な売りに反して、中期的にはユートラル、長期的には買いで変わっていません。ファンダメンタルズの違いを主張する円ベア派と、米中・米日貿易問題のリスクを意識した円ブル派が共存することでUSDJPYは110.50~112.00のレンジに収まる可能性も意識しています。

IMMポジションからは、【円】前週-73,769→-68,457(5,312)と、7週連続でショートが続き、5週間ぶりに前週比でショートは微減。日銀の決定の翌日1日には112.15を高値にして円高へと動いていますが、円ショートの水準を考えると円先安の流れからの変化はまだ疑問です。

USDJPYオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比オプションの1mのリスクリバーサルは、-1.1→-0.75とドルプット・円コールが前週比で低下気味で日銀の金融政策前の円高期待もやや収まっています。


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EURUSD (予想レンジ 1.1400←1.1470~1.1680)

7月26日のECB理事会を受けたEUR売りの流れが続き、8月1日の米財務省の長期債入札の増額発表を受けた米10年債利回りが一時3.0%台を復活し、FOMC後から続くユーロ売りの傾向に変化は見られません。8月3日以降は1.1560台をボトムに、先週末は弱い米非農業部門雇用者数や10年債利回りが2.95%台へ低下に何とか1.1560台を維持していますが、テクニカルベースでは短期、中期、長期と下げ方向からの変化を確認することはできません。潜在的なブレグジットのリスク懸念と、米EU貿易交渉の実行の動きを警戒しているのでしょうか?

IMMポジションからは、【ユーロ】前週29,640→22,825(-6,815)と、2017年5月9日から65週連続でネットロングを維持していますが、ロングポジションは大幅に減少中で、今回は前回の集計日24日後の26日のECB理事会・ドラギ総裁会見を消化した後の変化で、27日の米GDPを織り込んだ結果のショートの増加となっています。集計日翌日となる8月1日のFOMC後のEURUSDの下落を考えればユーロ先安を意識したポジションが強まっていることも考えられます。

EURUSDオプション 25delta Risk Reversal(金曜 21:30時)前週比オプションの1mのリスクリバーサルは、-0.4→-0.50と小幅ですが低下し、EURプット・ドルコールが若干拡大していますが3~12か月の長いところは大きな変化は見られず、市場のセンチメントは前週と大きく変わっていないことがわかります。

今日は長くなってしなったので、予想レンジは上記2通貨ペアで終了します。


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