2018/04/15

今週の為替相場を考える(4月16日~4月20日)


今週の為替相場を考える(4月16日~4月20日)

今週は「シリア軍事行動後のロシア・イランの報復の有無」と「日米首脳会談の結果」次第。ひとまずリスク回避と貿易不均衡の是正に向けた円高圧力は避けられず、この2点の度合いで円相場の動きが大きく変わってくることが容易に予想できます。

シリア米軍撤退の宣言を悪用されたトランプ大統領の怒りはついに、英仏を仲間にシリアへの軍事攻撃を実施させた。先週金曜日はこのリスクが非常に高いにも関わらず、何故に円相場はテクニカル要因があるとは言え一時円安に触れていたのでしょうか? 

週明け以降、ロシアとイランが報復の有無が今後の相場に大きく関わってきます。 現状ではロシアは中国を味方に組み入れることは難しくその可能性は低いとの予想に傾いていますが予断は許さず。ひとまずリスク回避の動きが強まり、株安リスクによる円相場はどこまで円高に振れるのでしょうか?

そして、17日~18日の日米首脳会談を受けた北朝鮮へ対応は? 日米貿易不均の是正に向けたトランプ政権の要求を納得させられる結果を示すことができるのでしょうか? USDJPY相場が動き、円クロスが動き、その結果で、他の主要国通貨が変動する動きが予想できます。

先週の為替相場の動きを振り返ると、11日のFOMC議事録で「参加者全員が景気見通しは強まったとの見方で一致し、ほぼ全員が段階的な利上げが依然として適切と主張」したことで、年内追加で2~3回の利上げ期待が強まり、ドルの買い戻しの続きも一部見られた。



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USDJPYの予想レンジ【106.20~107.50】

米英仏のシリア軍事攻撃の事実はリスク買いの円買圧力は強く、日米首脳会談での貿易不均衡の是正プレッシャーはご存じの通り円高圧力として存在。さらには、安倍政権の支持率大幅低下=政権交代の可能性もあり、この要因だけを考えれば株安=円高がどこまで進むのかを考える必要がある。しかし、日本としては本当に真のプラス材料とは言い難いのでは。今週を含め目先の円高傾向は避けられないものの、長期の円安の図式になりつつあるように思えてならない。

日足は2月22日から続く終値ベース107.30~50の壁を超えられず、週足では2月19日の週来初の高値を更新し、3連騰ながら上昇力に乏しく積極的な買いに結び付けず。日足のMAは9日線107.00が36日線106.40を上回り買いを継続中で、106.40を割り込むと下落圧力が強まる可能性も。

日足のボリンジャーはミドル106.39~アッパー107.87のレンジで推移し、今週のこのレンジないでの取引が考えやすい。RSIはK87.29、D86.31と買われすぎゾーンにあるも売り変化は現在のところ見られず。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【円】前週3,572→2,761(-811)
円は歴史的なショートからロングに転換しても伸びきれず。2016年11月29日の週から約2年半続いたショートからロングに転換して2週目で期待されながらも、前週比で逆に微々たるものながらロングが減少し、歴史的な転換を果たした円の評価はいま一つながら、米国の強硬な通商政策に円高期待も相変わらず強い。

USDJPYオプション 25delta Risk Reversal(21:30時)
1W-0.55→-0.65%へドルプット・円コールが週末リスクの影響なのかやや拡大。逆に1M~6Mは低下気味、9M~12Mは前週末と変わらず、ドルプット・円コールは低下気味状態。短期の円高、中期の横ばい、長期の円安を意識した流れへ。


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EURUSDの予想レンジ【1.2280~1.2430】

ECB議事録で「政策担当者が米国を巡る貿易戦争のリスク、およびユーロ高によるマイナスの影響に対する懸念を表明」したことや、EURUSDの売り圧力の背景には、中長期筋のEURGBPの売りの影響も大きく影響している。

9日のドラギECB総裁(ECB年次報告)のタカ派発言、ノボトニー・オーストリア中銀総裁も「年内の資産買い入れ終了を予想し、中銀預金金利を-0.4→0.2%へ引き上げる可能性」に舞い上がったユーロ買いは、ECB報道官の水を差す発言や、12日のECB議事録で「貿易戦争のリスク、ユーロ高に懸念を表明」し再びEUR売りが強まるも、各国中銀によるユーロ圏の国の債券買いが拡大しているとの報告もあり、不透明なシリア情勢のリスクヘッジのEUR買いの可能性も考えれば積極的なEUR売りに限界も。

日足の終値1.2250~1.2400のレンジで、週足は1.2200~1.2500の水準でレンジ相場を継続中。MAは9日線1.2308、36日線1.2319とフラットで大枠この水準を中心とした相場が続き、次の一手を待っている状態。MA週足は9週1.2323とほぼフラット、36週1.2021と上昇を維持、20日1.1487下落傾向にある。

日足のボリンジャーはミドル1.2321~アッパー1.2418のレンジでの推移が続き何度か下値を試している。RSIはK67.31、D48.73とニュートラルゾーンにあり買いを維持。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【ユーロ】前週134,381→147,463(13,082)
ロングNO.1の座は堅持しネットロングがさらに増加中。2017年5月9日からユーロのロングの座は49週間続き不変。3月13日のネット・ロングポジション146,380コントラクトを上回る147,463に上昇し、私が統計と取り始めた2009年1月以降で最大を更新中。

EURUSDオプション 25delta Risk Reversal(21:30時)
1W-0.15→0.25%とシリアリスクのヘッジなのかユーロプットからコールに変化、1Mは-0.05→+0.2%とユーロプットからコールへと逆に変化し、3M~6Mもユーロコールが拡大、9M~12Mは前週と変わらず。引き続きEURの先高リスクを意識した動きへ。


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GBPUSDの予想レンジ【1.4130~1.4400】

ブレグジットによる売られすぎの長期的な反動なのか、インフレ高進を意識した5月の利上げ期待の高まりなのか、テクニカルにもEURJPY、EURGBPなどポンド買いの流れが続くが、1.4200を割り込むと短期のストップが多くなっているのが気になる。

日足の終値は1.4250の大台を維持できず3月26日の高値水準で上げ止まっているが、週足では過去11週の高値を更新しており上昇の流れが続く可能性が高くなっている。また、週足のStochRSIは買いに変化中。週足200週MAは1.4241にありこの水準を終値でクリアに超えられるかを注目。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【ポンド】前週40,338→43,016(2,678)
ユーロに次ぐNO.2の座を維持し前週比でもロングが拡大。2017年11月27日から20週続くロングポジションは、過去2週間にわたり4万コントラクト台を維持し、今回は2014年7月8日の週+41,639コントラクトを若干ながら上回り、直近の市場センチメントはブル。

GBPUSDオプション 25delta Risk Reversal(21:30時)
1Wと1Mは0.00→0.00で変わらず、3M~12Mではポンドプットの売り弱まりつつありポンド先高を意識した流れへ。

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AUDUSDの予想レンジ【0.7700~0.7820】

中国経済の動きを意識しながら最近の弱い景況感が気になるが、原油価格・資源価格の上昇を好感。米中貿易戦争のリスクに敏感になっていることに変わりなく今後のロシアやイランの動き次第の面も強い。中国の市場開放策を好感し一時より弱気なムードが改善中。

日足は中期的に0.7650をボトム下げ止まり、先週は200日MAの0.7813近くと0.7810まで一時反発するも、週末のシリアリスクに0.7750台で終了、ただし、週足では中国の市場開放策を好感してか過去4週間の高値を上回り買いに勢いがみられる。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから【豪ドル】前週-75→-2,796(-2,721)
ショートとロングが交錯する展開が続き、今週のデータではショートが拡大し、先安感を抜け出せず。米中貿易戦争のリスクの有無に敏感に反応中。

AUDUSD 25delta Risk Reversal(21:30時)
1W-0.46→-0.26とAUDプットが減少、1M~12M全てでAUDプットが弱まり、AUD先安リスクが弱まっている。


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