2018/04/22

今週の為替相場を考える(4月23日~4月27日)

今週の為替相場を考える(4月23日~4月27日)

今週は、
◎急伸する原油価格と資源価格、
◎止まらぬ米金利の上昇、
◎混迷中の株価、
◎日米首脳会談後の具体的な貿易不均衡是正に向けたプロセス、
◎南北会談と北朝鮮のICBM実験停止と北部核実験施設の廃止のインパクト、
◎弱い経済指標が続き5月利上げ期待度が低下気味のBOE、
◎緩和縮小は急がず、緩和縮小への動きは変わらぬECB、
◎出口論を本格化できないBOJ。

先週までの流れを振り返ると、原油価格(WTI)は続伸しついに70ドルの大台が目の前に迫り2014年末の水準へ急伸。CRBインデックスは2015年来の高値にあり、資源価格の上昇による消費者物価の上昇は避けらず。

英・独の債券利回りは低下気味の中で、米10年債利回りは週終値ベースで2.9%の壁を上抜け3.0%の大台が目の前に迫り2014年年初の3.0%の大台がターゲットに入る。2年債利回りも2.5%直前と過去10年来の高水準に入り、FRBがバランスシートを縮小させ、連邦政府が国債発行を拡大させるなか、イールドカーブはスティープ化しいるが、通貨当局からは懸念の声は聴かれず。一方、中国・英国・ドイツ・米国・日本と世界的に株価は低迷気味で、ドルインデックスは90前後と2014年末の水準で低迷を続けており為替相場ではドル高へと本格的な変化は見られず。

日米首脳会談の評価は別として、FTAを求める米国とTPPの米国加盟を求める日本とのすれ違いが判明。トランプ大統領は過去の発言で「貿易戦争は良いものだ、勝つのは簡単」とツィートし、日米貿易不均衡に関しては日本を強烈に批判していたことを考えれば、今後の継続交渉で対米貿易黒字の明確な削減策を求められることは避けられそうになく、円相場はより複雑な動きになることは覚悟せざるを得ない。

南北会談と北朝鮮のICBM実験停止と北部核実験施設の廃止は、リスクオンの材料と思われるも、日米貿易不均衡の是正に向けた動きでは日本の輸出企業の影響も気にあり、どこまで日本株が上昇できるかは疑問。

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USDJPYの予想レンジ【106.80~108.10】

日米貿易不均衡の是正を主要テーマとした首脳会談も終わり、今後の課題は日本の具体的な行動! 米通貨当局者のタカ派発言で見られる「強い成長、財政刺激策、堅調な労働市場、賃金の伸びの改善、安定的なインフレ」に米金利の継続的な引き上げ期待も強く、米金利の上昇傾向は止まらず。日米金利差拡大によるドル買い需要と、貿易不均衡是正による円高リスクが混在する複雑な流れの中で、108円の大台を達成できるか? 他通貨では先週は調整局面が強まり円高に動くも、調整終了後には再上昇の可能性も意識。

ボリンジャーのDailyはBasis~Upperの水準に収まる流れが4月4日から続き、今週もこのレンジを意識したいた。ストキャスティックは週足が買い変化し、日足は弱いながらも高値圏で買いへと変化するも信用度は低い。結局はWeeklyの円高、Dailyの円安と混在。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【円】前週2,761→2,591(-170)
円は3週間前に歴史的なショートから円に転換したものの、転換した週からは円のロングの増加は見られず。市場のセンチメントは決して円先高を意識していない可能性も。別途発表しているトレーダーのコミットメントツールでは、「Largest Traders」のポジションでは3月27日以降、ショートは拡大傾向にあり、逆にロングは減少傾向となり、円ショートポジションが拡大していることがわかる。

USDJPYオプション 25delta Risk Reversal(21:30時)
前週比、1W-0.65→-0.50%とドルプット円コールが低下気味ながら、3M~12Mでは逆に円コールが若干上昇し市場のセンチメントは当惑気味。


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EURUSDの予想レンジ【1.2220~1.23800】

ECBの早期緩和縮小との期待感は後退しGBPUSDの急落の流れに、1.2300~1.2400の安定レンジの下限を割り込み、先の1.2200~1.2400のレンジに逆戻り。投機的なEURロングは切らされ200時間MAを割り込むなどのテクニカルベースのEUR売りに引き続き底値を試す可能性は残る。反面、資産買い入れを年末までに終了し、2019年の第2四半期に最初の利上げに踏み切るとの大勢は変わらず。1.2200が大きな下値のポイントに。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【ユーロ】前週147,463→151,476(4,013)
ロングNO.1の座は堅持しネットロングがさらに増加中で、2017年5月9日からユーロのロングの座は50週間続き不変。

EURUSDオプション 25delta Risk Reversal(21:30時)
前週比、1W0.25→0.15%、1M0.20→0.15%へとユーロコールは低下するも、3M~12Mはユーロコールの上昇傾向を維持。目先のユーロ安リスクと中期的なユーロ高リスクを意識した流れへ。


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GBPUSDの予想レンジ【1.3940←1.4000~1.4200】

泣きっ面に蜂、最強通貨ら最弱通貨へ。弱い雇用統計の平均所得の低下から始まり、弱いCPI、弱い小売売上高、ブレグジット交渉への不安感、カーニーBOE総裁のやや弱気発言や、米金利の上昇などもあり続落。テクニカルポイントの200時間MAを割り込み、クロスでのポンドロングの巻きも強く17日の高値1.4370から続落し1.4000の大台で何とか下げ止まり押し目買い期待は残るも、底値はまだ確認できず。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから 【ポンド】前週43,016→47,702(4,686)
ユーロに次ぐNO.2の座を維持し前週比でもロングが拡大。2017年11月27日から21週続くロングポジションは、過去3週間にわたり4万コントラクト台を維持するも、先週末の終値は1.4002とギリギリ1.40の大台まで下落。集計日の1.4285まで280ポイント近くと大幅に下落したこともあり、今回の数字の傾向は参考にならず。

GBPUSDオプション 25delta Risk Reversal(21:30時)
前週比、1W0.00→-0.25%、1M0.0→-0.30%とポンドプットへ変化、3M~12Mではポンドプットが拡大傾向にあり、ポンド安のリスクを意識した動きながら、9M~12Mは前先週の同水準か逆に下回る水準にとどまる。

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AUDUSDの予想レンジ【続落←0.7650~0.7820】

米中貿易戦争のリスクは軽減され、資源価格の上昇の恩恵を受けると思われるも、対米との金利差拡大や豪中銀議事録から「金融政策の据え置きは2019年まで続く可能性」が意識され、豪雇用統計で雇用者数が伸び悩み弱く弱気ムードが続く。ただし、過去5週連続して0.7650をボトムとしてサポートされていることもあり、今週も近水準で下げ止まることがでるか注目。

CFTCのIMM通貨先物ポジションから【豪ドル】前週-2,796→-10,155(-7,359)
ショートとロングが交錯する展開がから、直近は3週連続でショートが小幅ながら拡大し、弱気なムードが強まっている。先週末の終値は0.7670まで下落し、集計日0.7760から100ポイン近く値を下げ弱気なムードが強い。

AUDUSDオプション 25delta Risk Reversal(21:30時)
前週比、1W-0.26→-0.36%とAUDプットが拡大、1M~12M全てでAUDプットが拡大し先週とは真逆でAUD先安リスクが強まってはいるも、前々週の水準に届かず限定的。

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