2020/11/15

今週の為替相場を考える(11/16~20日)

 今週の為替相場を考える(11/16~20日)


為替相場は、バイデン次期米大統領の政策と新型コロナワクチンの実用化に向けた動きでいつでも急変するリスクを秘めている。ただ、この2大不透明要因がやや弱まっていることも確かで、とりあえずは対ドルの信認度合いを確かめる相場になりやすいのでは?


今週は各国中銀総裁による発言が多数予定されている、また、19日のEU首脳会議(英EU離脱協議)を除き、最重要となるイベントは少ない週となっている。


EURUSDは、10月下旬以降にボリュームが膨らんだ水準とほぼ変わらず、大きなポジションの偏りは感じられない。新型コロナ感染再拡大による経済活動の規制の強化や、ECBの追加緩和がささやかれる中で予想外に底堅く推移。大枠で1.1750~1.1900のレンジで推移する可能性が高く、9日の高値1.1920を超えてくれば1.2000の大台が見えてくる。ただ、1.200はサイコロジカルにも重要なポイントで、9月1日に1.2011の高値から1.1600まで続落した流れを見ても、簡単にブレークできるポイントではない。


USDCADも、10月下旬以降にボリュームが膨らんだ水準とほぼ変わらず、大きなポジションの偏りは感じられない。1.3000以下はフェークでもあったかのように9日のボトム1.2928から急伸し先週は1.3170台まで一時値を戻しているが上昇力は意外に鈍い。90日MA1.3246近辺を高値に売り圧力は変わらず。


USDJPYは、10月下旬以降は104.50~105.00でボリュームが膨らんでおり、過去も90日MA=105.60台を上限にして上値が抑えられていることもありこの点がポイントとなる。仮に円高方向へと動いてもコロナワクチンが失敗でもしない限り、投機筋の円ロングだけが積みあがることになり元の水準に逆戻りする可能性が高いのでは。コロナワクチンを材料とし103円台から105円台まで2円近く急騰した動きや、バイデン次期米大統領への期待感は円安材料に使われやすい。


GBPUSDは、1.2900~1.3050でのボリュームの増加を強めながらも、1.3300台まで上昇している。英EU通商協議が大詰めを迎え、どちらに転ぶかを決め打ちできない状況となっているが、19日のEU首脳会議を控えジョンソン英首相の側近で上級顧問のカミング氏が政権内の内紛で辞任したと報道があり、交渉姿勢を軟化させるとの憶測も流れており、押し目では買い選好の流れになりやすい。


※※※※※※※※※※※※※※※


中銀は金利ほぼゼロかマイナスで膨大な資産買い入れ実施し、さらに追加購入の可能性も。各国政府は赤字にも関わらず膨大な財政支援を続けさらに拡大するという。バイデン次期米大統領は1.3兆ドルのインフレ投資、最低賃金15ドル(約1600円)へ引き上げ、2兆ドルの気候変動対策と再生エネルギー投資を考えている。


その中で、世界的な株高は止まらず。日経平均株価はバブル崩壊後の1991年の水準へと上昇、ダウは高値を更新中で3万ドルが目の前。英FTSEはさすがに12月の英国のEU離脱期限を直前にして通商合意もできず6400を高値に伸び悩んでいるが、独DAXは高値更新とまではいかないが13000台を確り維持。上海総合は米国の対中制裁が続く中で当局のご意向なのか3400を高値に安定している。


米10年債利回りは今年6月の高値0.954%を一時上回り0.979%まで上昇し、週末終値では0.9%を若干割り込む水準となっている。1.0%の壁が天井なのであろうか? 専門外であり不明ながら誰かが金利上昇押さえているようにも見えるがチャートを見ていると上昇トレンドにあり今後の動きが気になっている。


コロナで機能マヒの経済立て直しのために実施している、政府・中銀の政策が、セクターによっては言い切れないが結果として実体経済より上乗せした株価を形成させてしまってていることは、多くの市場関係者にとって周知の事実ではないだろうか?ただし、相場には絶対や永遠はなく、いずれへ反転することも間違いないがどのような材料で市場の動きが変わりセンチメントが急変するのだろうか? 


可能性を考えれば、12月年末の資本筋や実需筋の動き、12月の各国中銀の金融政策の動き、新型コロナワクチンの進捗状況、バイデン次期米大統領の側近人事と政策の動きなど、12月が一つの大きな転換点になりそうな気配がしてならない。


※※※※※※※※※※※※※※※※※