2020/11/29

今週の為替相場を考える(11月30~12月4日)

 

今週の為替相場を考える(11月30~12月4日)

USDJPY、USDCHF、USDCADは、9日のコロナワクチンの朗報からドルが急伸した水準を回復できず、一方、EURUSD、NZDUSD、AUDUSD、GBPUSDは、9日の水準を上回りドル売りで上昇傾向が続いている。特に、NZDUSDの先週末の終値は0.70182で、2018年6月8日の週の終値0.70284に次ぐ上昇で、新型コロナの感染度合いによる動きと言えなくもない。また、コロナワクチンの登場によりリスクオフからリスクオンへの変化なのか、JPYとCHFの上昇力は今一つ。


気になるのは、11月中旬に入ると、何らかの意図的発言なのかは不明ながらドル安予想が多い。シティースストラテジスト「ドルは来年20%下落する可能性」を指摘。モルガンススタンレー・エコノミスト「米国の経常赤字拡大と低い実質金利でドル安」を予想。ゴールドマン「ドルは過大評価で、今後ドルの下落を予想」とあり、コロナ対策によるがカナダや豪ドルでドルの下落を予想している。


EURUSD

続伸中で、週終値ベースでは8月24日の1.1903を上抜け1.1962で終了、ドルからのシフトが多いという。1.200は重要な大きなポイントで過去を見れば1.1900台でも紆余曲折があり何度も上値トライを失敗している水準でもある。長期的なEUR高を期待しているが、1.18~1.20のレンジで一時的な調整のリスクも残る。


それじゃ、なぜEURが強いのかを考えると、混乱のバイデン次期政権の船出とコロナ感染拡大が止まらない米国は、コロナワクチン使用と有効性期待というポジティブな材料はあるが、現状は過大な期待感を持てず、FRBも追加の資産購入や、政府の大規模経済対策の実施が期待されている。


対して、欧州はドイツを含め一部の大都市では部分的なロックダウンをクリスマス休暇前に期間を限定して実施しているが、感染者はピークから低下し落ち着きを取り戻している。10日のECB理事会の追加緩和や、EU予算案や復興基金が決まらない状況を十分織り込み済みで、一部の委員からコロナワクチンの動きを見てからも遅くないのではとの発言も。


NZDUSD

先週末の終値は0.70182で、2018年6月8日の週の終値0.70284に次ぐ上昇、200週MA0.6770を上抜けしてから3週連続の上昇で底堅く上昇トレンドが続いている。0.70台の大台は利食い売りなど売り圧力が強まることが予想され、押し目買いで対応したい。


豪州とNZは新型コロナ感染が激減しその傾向が続いている。特にNZはほぼ終息と言ってもいい状態で、マスクを含め全ての規制が解除されながらも、新型コロナの感染者数は少なく11月27日も7名の新規感染者にとどまっている。今更ながらではあるがNZ中銀は11月11日の理事会で「来年3月までは現行の政策金利を維持する」との発言が思い出される。


24日にはロバートソンNZ財務相が「急騰している住宅価格の安定を考慮するようにNZ中銀に提案」し、オアNZ中銀総裁は「政府と協力して住宅価格の問題を解決していく」と表明していた。これを受け、マイナス金利や追加利下げの可能性も弱まっていとの思惑が強い。


USDJPYは、チャートを見てもダウントレンドが継続しており、巷の予想は相変わらず円高期待が多い。90日MA105.31を非常に意識しこの水準を超えるまでは円高傾向は変わらずと考えたい。


トランプ氏の圧力が弱まり、新型コロナワクチンの早期接種期待にも感染拡大が急速に抑制できなければ、新政権の追加の景気対策やFRBの追加緩和策が焦点となり、ドル売りだということも一理ある。