2020/11/08

今週の為替相場を考える(11/9~13日)

 今週の為替相場を考える(11/9~13日)


次期米大統領にバイデン氏が勝利宣言。上院の決着はまだ先のことになりそうだが、下院は議席数を減らしながらも民主党が勝利となりそうで、残るはトランプ氏の法廷闘争での影響。


その結果を受けて、為替相場はどのように反応するのか? それが今週の重要なテーマであることは間違いないが、どう考えればいいのだろうか? トレンドから言えば、ドル売りの流れに変化はないが、大統領選の決着に向け歴史的にあまり例のない状況だけに、目先の変化に対応する必要があることは間違い。


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11月3日(火)前後の変化から市場はどのような反応をしていたかを、10月30日と11月6日の週終値ベースで検証してみたい。


結果から言えば米政局への不安(大統領選後を含む)にドルの先安を強く意識しており、今後も意識せざるを得ない。主要通貨に対してドルは大幅に値を下げており、円は強弱の差はあるが円安で動きリスク回避の円買いの動きは限定的であったことになる。


USDJPY104.646→103.342 -1.30(-1.25%)

EURUSD1.16450→1.18731 +2.28(+1.96%)

GBPUSD1.29457→1.31437+1.98(+1.53%)

AUDUSD0.70266→0.72577+2.31(+2.98%)

USDCAD1.33155→1.30547−2.61(-1.96%)

EURJPY121.885→122.706+0.82(+0.67%)

AUDJPY73.539→75.021+1.48(+2.02%)

CADJPY78.546→79.111+0.57(+0.72%)


主要国株は総じて幅高。トランプ・バイデン両氏のどちらが勝利しても大統領選後の大規模経済対策を期待してのこととは思うが、混乱する米大統領選は完全に無視。今までも主要国の多くでコロナ感染再拡大による大規模な財政政策をとっており中銀は金融緩和を継続している。

N225+1,348.1(+5.87%)

DJIA+1,821.8(+6.87%)

Nasdaq+983.64(+9.01%)

S&P500+239.48(+7.32%)

DAX+923.54(+7.99%)

FTSE100+332.75(+5.97%)


10年債利回りは各国の金融政策の違いで動きは異なる。米国は9月25日0.658%からは上昇傾向にあったことの反動で大幅に低下していた。

米国0.8790→0.8150−0.064(-7.28)

ドイツ-0.624→-0.6160+0.01(+1.28%)

英国0.2630→0.2770+0.014(+0.053%)

豪州0.8410→0.7670−0.074(-8.80%)


それ以外では原油価格(WTI)は3.77%の上昇、金価格は3.82%の上昇と、その前日に大きく下落していた反動も見られた。


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それでは、もう少し時間軸を長くして、過去3週間の相関関係を見てみたい。

結果から言えば、「米株高=ドル売り」、「米金利上昇=ドル買い」の方程式は有効で、GBPUSDと、AUDUSD+NZDUSDの相関関係は非常に強くパラレルに動くことである。


米10年債利回と主要通貨はドルに対して非常に強い逆相関関係があり、米金利の上昇=ドル高となっている。一方、NYダウと主要通貨は強い相関関係にあり、米株の上昇=ドル売りとなっており、ややこしい動きである。つまり、「株高=ドル売り」、「金利上昇=ドル買い」である。


通貨間の特徴としては、AUDUSDとNZDUSDは双子通貨で例外としても、GBPUSDと、AUDUSD+NZDUSDの1.00と最高値の相関関係をなっている。USDJPYはリスク回避など独自の動きと思われているが、他の主要通貨の影響を強く受けており、JPYクロスの係数は弱く、他の主要国とはそれなり高い係数を示し連動している。


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集計日が投票日11月3日のIMMデータを見ると、通貨のロングは大きく減少しドルが選好されるも、平時の変動範囲内で意外にも冷静。(直近のポジションは為替相場のドル売りに対して逆で、通貨のロングが減少し、特にユーロの減少幅は大きく、JPYだけがロングが拡大していた)


米大統領選を前にして9月29日から通貨ショートは減少し始め、過去5週間で84,434コントラクト(ドル換算で約70億ドル弱)の減少で、約1か月強をかけて調整していた。


最大の通貨ロングポジションを占めるユーロも9月29日から5週連続してロングの減少は止まらず、この間50,473コントラクト(約25%)減少している。ただし、EURUSDの終値を比較すると、9月22日1.1777、11月3日1.1711で、週末は1.18909とEUR買いが復活を意識してしまう。


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USDJPY

ダウントレンドで変わらず。方向性だけ(方向性だけですよ!)を見れば3月9日の101.18円が見えてくるが、「米株高=ドル売り」、「米金利上昇=ドル買い」の流れを意識し、微調整しながら考える必要がありそう。


中期的には105.50を超えるまでは円高の流れはかわらず。直近では104.50前後での取引が活発だったこともあり、104.50を意識。短期では103.80の上値が重くなっている。


EURUSD

ECBの12月緩和を織り込み4連騰と強さには驚き。しかし、1.1600~1.1900のレンジの範囲内であることに変わりなく、1.1900を試し1.20114の高値を試す動きとなるのか? その後の動きを見てみたい。目先は1.1800のボトム感が強い。


GBPUSD

BOEの資産買い入れ大幅増額、12月の追加緩和期待にも底堅く推移。EU英離脱協議は継続するもどうなることやら。ただ、この結果を受けた相場への反応は大きく、また、この報道に関する動きに一喜一憂する動きには注意が必要。 それまでは1.2900~1.3200のレンジ内での動きが続きそう。


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