2020/07/12

今週の為替相場を考える(7月13~17日)

今週の為替相場を考える(7月13~17日)

国内外でも地域によって異なるが、経済活動の緩やかな回復を期待し新型コロナウイルスの感染再燃や増加を示す報道にも反応は鈍く、米中間の対立を示唆する報道や発表の反応も継続性は乏しいのが現実。中銀の大規模緩和策、政府の大規模財政支出もあり債券利回りは低迷し、消費抑制と貯蓄志向への変化から、ゼロ金利・マイナス金利で行き場のない資金が株式相場へと向かい株価は予想外の上昇へ。原油価格の緩やかな回復、金価格の上昇を考えるに、今後の為替相場を見通しが読みにくくなっていることは確かである。

それに、11月の大統領選で再選を目指すトランプ大統領の行動は大きな相場変動リスクで、問題は再選される可能性も以外にも強く存在していることである。王毅国務委員兼外相は「米中関係は1979年の外交関係樹立以降で最も深刻な試練に直面」と発言しているが、中国政府はバイデン氏よりトランプ氏の再選を望んでいるように思えることである。

トランプ政権は、ファーウェイなど一部の中国企業の製品を使用している企業と政府が契約を結ぶことを禁止する規制を計画中で、中国の共産党幹部ら4人に対し、新疆ウイグル自治区の人権侵害に関与したとして制裁を科している。

中国政府当局者と取引した銀行に制裁を科す「香港自治法案」を可決。「TikTok」について、米国内での使用禁止を政権として検討。側近の一部が香港ドルの米ドルとのペッグ制度に打撃を与えるよう望んでいるとの報道もあり、中国人留学生のビザ発給に関しても懸念が広まる。

米中で合意した1月の第1段階貿易合意に影を落としていることも事実だが、米中株は堅調。中国株は政府の政策的な関与は気になるが、海外からの投資が増加しているとの報道もあり上昇傾向が続き、米株はダウがやや伸び悩むも、Nasdaqは最高値を更新している。

これらのことを考えると、しばらくはドルに対してネガティブに反応しやすく、逆にJPYが小幅ながら選好される可能性が残り、EURは17~18日のEU首脳会議で復興基金(総額7500億ユーロ=約90兆円)の分配で合意ができるかで変わってくるが、現時点では合意できないリスクを意識しており、仮にできなかった場合にはEUR売りが強まることになるが、いずれかの時点で下げ止まり反発する可能性を意識したい。


USDJPY
大枠106~108円のレンジ相場を継続し、108.50を超えるまではダウンサイドリスクが残っている。今週1週間では107.50~60を高値に下値を試す動きを期待したいが、106. 50以下の水準を積極的に売る材料は乏しい。

日銀の金融政策決定会合は大きな変化は期待できず。ドル円の重要な相場変動要因でもあるEURJPYは17~18日のEU首脳会議の結果待ちで、仮に出たとしても来週20日お早朝に反応することを考えれば、週内では積極的に動きにくく、やや下値を試す動きだけを考えたい。

EURUSD
潜在的なEUR高は続いているが、17~18日のEU首脳会議では全会一致原則の中で復興基金の分配をめぐりオランダ、オーストリア、デンマーク、スウェーデンが反対しており、メルケル独首相が積極的に説得に向け動いているが、合意する可能性は少ないとの意見も多い。結果として、来週明けの相場変動リスクをい考えると今週は緩やかなダウンサイドのリスクを意識してしまう。今回は仮に合意できなかったとしても、今後何らかの方法や妥協案で合意すると思われる。

結果、EURGBPやEURCHFは利食いの売りに軟化し、EURJPYも122円の高値から一時120.30台まで一時下落するなど調整が続き、大きく下げた時点では押し目買いを狙う動きも意識したい。

USDCAD
中期的には下降(CAD高)のトレンドにあり、200日MA=1.3500を意識。1.3500を割り込み1.33~1.3500のレンジとなるのか、1.3500をボトムに下げ止まり1.3500~1.3800の過去のレンジに逆戻りするのか? カナダと中国の対立が続く中で健闘していることを考えればCAD高に分があると思いたいが? 

AUDUSD
中期的には0.6700近くの200日MAを超え上昇(AUD高)のトレンドにあり、大きな目で見ると0.6800~0.7000のレンジで6月以降続いている。新型コロナウイルスの感染拡大の懸念材料が残るも、短期的にみると0.6900をボトムに下げ止まることができれば反発を期待したい。


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