2018/02/11

今週の為替相場を考える(2月12日~2月16日)

今週の為替相場を考える(2月12日~2月16日)

米株と連動した円相場は今週も続きそうですが、世界的な株安が終了して反発に向かうことができるのでしょうか? FRB、BOE、ECBとタカ派的な発言が目立っており追加利上げや早期の緩和縮小の可能性が強まる環境は変わらず、引き続き債券利回りの上昇圧力が続きそうです。

為替相場は米株の下落と米金利の上昇には関連性があり、1月31日のFOMCで利上げ観測がより強まり、2月2日の米雇用統計で「雇用者と賃金が上昇」したことで、リスク回避に円が上昇し、ドルは全面高となっています(除くUSDJPY)。

株価や金利以外でも、原油価格・CRB指数の下落とVIX指数の上昇は相場の変動要因として残っています。米VIX指数を通じて、米株相場の低ボラティリティーに賭けた投資家が多く、株価が急落するとVIX指数は上昇し、VIX指数が上昇すると株を売りに動くともいわれています。

今週2月12日(月)の東京市場は休場、15日~19日は中国市場は春節で休場、19日(月)はNY市場は休場で、これらの主要市場が休場になることもポジション調整が入りやすい環境にあり為替相場に影響を与えるリスクも考える必要があります。

2月12日(月)の予算教書、2月13日(火)の英CPI、2月14日(水)の独・ユーロ圏のGDPとCPIが集中し、さらに米CPI・小売売上高の発表が控えており、金利と株価に敏感な最近の金融市場を考えれば、投機筋が虎視眈々と相場を動かすことを狙っていると考えてもいいでしょう。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


◎USDJPY【予想レンジ 続落←108.00~110.20】

USDJPYは、「株安=リスク回避の円高」の流れは変わらず今週も有効と思われます。黒田日銀総裁の緩和策の継続発言や、総裁再選の可能性が強まる中でも、円売りの動きは限定的。先週は機関投資や準公的資金のドル買いの買いに対して、クロスでの円買いが円売り圧力を弱めてUSDJPYは108円台にとどまっています。今週も108円の壁が大きなポイントとなることは間違いなく、株安ともなればこの水準を試す動くが強まることでしょう。

1. Daily Bollinger Bands→ Basis=109.72、Upper=111.43、Lower=108.01。過去2週間でLowerをボトムとした動きが続き、108円の壁が大きなポイントになっています。
2. Daily Stoch RSI→ K=70.17 D=75.64と、買われすぎゾーンで売りに変化しています。Weekly Stoch RSI→ K=11.32 D=16.62と売られ過ぎゾーンにあり、買い変化になりそうですがまだ確定していません。このようにDailyとWeeklyの違いがUSDJPY相場を複雑にしている要因となっています。
3. Daily SMA→ 200日SMA close=111.64、high=112.05、Lower=111.22、36日SMA close=110.99、high=111.46、Lower=110.66に位置し、36日が200日を割り下落基調を示しています。

IMM通貨先物は、【円】前週-114,696→-112,876(1,820)、円は売りポジションはNO.1で変わらず、2016年11月29日から63週続いています。額も2017年10月10日から10万ドル台前半の高い水準を維持しており、先週は若干売りポジションが減少していますが、大きな変化はありませんでした。

USDJPYオプションのリスクリバーサルではロンドンベースで、1週間が前週-1.0→-1.90%と円コールオーバー(ドルプット)が拡大、1~12か月まで円コールが拡大し、円の先高リスクの高まりを示しています。


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◎EURUSD【予想レンジ 続落←1.2150~1.2350】

EURUSDは、1月11日のECB議事録で「早い時期にガイダンスの段階的なシフトについて検討」、「独二大政党が大連立政権継続に向けた政策文書で合意」との報道にEURUSDは上昇を開始。1月11日の安値1.1930→1月25日のムニューシン米財務長官はドル安歓迎発言高値1.2537の50%戻し1.2230台で、先週終値水準近くで推移していることになります。ECBも早期の資産買い入れを縮小する可能性も残り、極端な売り圧力も考えにくい反面、テクニカルポイントの1.2150~60を割り込むともう一段の売り圧力が強まる可能性も残っています。

1. Daily Bollinger Bands→ Basis=1.2331、Upper=1.2510、Lower=1.2151。7日にBasisを割り込んでからは、LowerとBasisのレンジで推移しています。
2. Daily Stoch RSI→ K=1.28 D=19.2と、売りを継続していますが売られすぎゾーンにあり警戒も必要です。Weekly Stoch RSI→ K=86.25 D=93.98と、買われ過ぎゾーンから売りへ変化しており、中期的に売り相場の変化を意識しやすくなっています。
3. Daily SMA→ 200日SMA close=1.1711で乖離幅は引き続き大きく上昇傾向を維持、36日SMA close=1.2175、high=1.2222、Lower=1.2127で、先週はhighをボトムに下げ止まっており、今週はcloseとhighの水準が下限のめどになり安いと考えます。

IMM通貨先物は、【ユーロ】前週109,280→140,823(31,543)、ユーロ買いポジションはNO.1で変わらず、2017年5月9日から40週間続いています。前回は久しぶりに前週比で-35.437コントラクトと減少していましたが直ぐに回復し、額も今年に入り平均13.5万コントラクトと拡大傾向にあります。

EURUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで1週間が前週+0.20→-0.65%と6日からユーロプットへと変化し、1か月は前週+0.25→-0.60と5日からユーロプットへと変化しています。3~12か月は引き続きユーロコールとなっていますが、低下傾向にあり、短期から長期まで、ユーロ高リスクが弱まり、短期は逆にユーロ安リスクが高まっています。

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◎AUDUSD【予想レンジ 続落←0.7740-60~0.7925】

資源価格安、株安、債券安(利回り上昇)の流れの中で、どうしても弱気にならざるを得ません。1月31に第4四半期CPIも予想に届かず、8日の四半期金融政策報告でも、利上げはまだ当分行われないことを強く示唆しており、AUDUSDの上昇が始まった0.7501から高値0.8135の50%の0.7818を割り込み、61.8%の0.7740を割り込むと更なる下落へと動く可能性も気になります。

1. Daily Bollinger Bands→ Basis=0.7973をトップに下落していますが、0.7800を割り込んでからは売り圧力も弱まっています。0.7800の水準を維持できるかを注目。Weekly Bollinger Bands→ Basis=0.7766、Upper=0.8067、Lower=0.7465。UpperからBasisのレンジで推移しており、今週は0.7760~0.8050のレンジが意識され、逆に0.7760を割り込むと売りへと変化しやすくなっています。
2. Daily Stoch RSI→ K=4.70 D=2.33と、売られすぎゾーンから買い転換しています。Weekly Stoch RSI→ K=76.44 D=90.78と、買われ過ぎゾーンから売りへ変化しており、中期的に売り相場の変化が意識しやすくなっています。
3. Daily SMA→ 36日SMA close=0.7901、high=0.7932、Lower=0.7869に位置し、先週終値ではこの水準を全て割り込み下落へ。200日SMA close=0.7752、high=0.7782、Lower=0.7722と、closeとhighの水準で何とか下げ止まっています。Weekly SMA→ 200日SMA close=0.7825、high=0.7920 lower0.7797と、先週はcloseとhighの水準をボトムに下げ止まっており、今週のこの水準で下げ止まることができるかが注目されます。

IMM通貨先物は、【豪ドル】前週13,151→13,748(597)、豪ドル買いのポジションは今年1月9日から5週間続いていますが、1.37万コントラクトと少なく、今年に入っても買いの額の平均は1.18万コントラクトで水面下に顔を出している程度と考えても良いでしょう。

AUDUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで1週間が前週-0.35→-0.80%とAUDプットが拡大、1~12か月までAUDプットが拡大し、豪ドル先安リスクが高まっています。

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