2018/02/18

今週の為替相場を考える(2月19日~2月23日)

今週の為替相場を考える(2月19日~2月23日)

金融市場の動きは複雑で円相場も複雑。主要通貨は米雇用統計後の週明け2/5(月)のドル高スタート水準近くへ逆戻り、逆に円は独歩高で円高傾向を維持。今週の円相場は特に注目。

何故に円高!? この疑問を多くが持っていると思います。日米金利差の拡大傾向は止まらず、日銀の新人事も緩和策の続投が見込まれ、株価の下落時も上昇時も円高傾向が続き、今までに見られない流れとなっていました。一部には米国の財政と経常収支の赤字拡大によるとの説もありますが、結局は、チャート分析による円売りや、膨らんだ円売りポジションの巻き戻しもが理由に思われてなりません。

先週のニュースで気になった報道もいくつかありました。
1.バンク・オブ・アメリカメリルリンチがEPFRグローバルのファンドフローデータを基にリポート=世界の債券ファンドは14日までの1週間に、史上5番目の規模の資金流出に見舞われた。流出額は全体で141億ドルと、高利回り債ファンドからは109億ドルが引き揚げられた。投資適格級ファンドからも20億ドルが流出し、59週続いた流入のトレンドが途切れた。

2.投資適格社債ファンド、大量資金が流出=iシェアーズ・iBoxxドル紙適格社債ETF(LQD)から14日に、9.21億ドルと、1日の流出額として2002年のファンド設定以来最大の資金が引き揚げられた。取引開始時の総資産に対する流出額の割合は2.7%と、金融危機後では最大。

3.米高利回り債ファンドから63億ドル流出=リッパー・ファンド・フローズのデータでは、資金流出はこれで5週連続と過去最長。週間流出額としては、70億6000万ドルを記録した2014年8月以降で最も大きい。5週間の流出額は計150億ドル余り。同データは上場投資信託(ETF)やミューチュアルファンドも含んでいる。


さて、世界的な株価の下落も、先週は新興国株や米株がリードし米雇用時計後の急落スタート地点まで反発し何とか下げ止まり感も見られますが、他の主要国株はそこまでの回復はまだ見られません。

強い米雇用統計、米連邦政府支出3000億ドル積み増し、米予算教書では2019年会計年度4.4兆ドルと拡大。先週発表の米CPIは予想外に上昇、米輸入物価指数の予想外の上昇と、市場は3月の米利上げを含め年内4回の利上げ観測もさらに強まりドル買い要因となっています。

逆に、BOEの5月利上げ期待と、ECBの早期資産購入終了の期待はEURとGBPの買い要因となっていますが、今週予定のFOMC議事録、ECB議事録の内容で相場が動く可能性はいつもながら強く、GBPUSDは2/21(水)にカーニーBOE総裁、ブロードメントBOE副総裁、ホールデン政策委員、テンレイロ政策委員の発言が集中しており、発言内容には要注意。

米10年債利回りは先週一時2.96%まで上昇し、米株が急落した2/6日の2.65%から反発、2年債は同日の1.95%から2.2%近くへと上昇するなど、米金利の上昇が続いています。

原油価格(WTI)は67ドル直前まで上昇後、58ドル近くまで急落後、先週金曜日に62ドル近くまで一時値を戻しています。最近市場の注目度が高まっている、VIX指数は2/6日に信じられない50%台まで暴騰後に先週は18%近くで安定しています。

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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


◎USDJPY【予想レンジ 105.50~107.50】

米金利の上昇や株価の反発にも円高相場は変わらず。先週末には106円の大口の買いを消化し、一時105.55まで下落してようやく反発して終了しています。ただ、米国市場が3連休前の週末の金曜日でポジション調整が出やすいことも背景にあり、この反発でボトムアウトしたかを判断することもでできずにいます。長期的なチャートでは100~125のレンジ相場を継続中とも言えますが、テクニカルチャートではその多くが円買いの継続を示しており、何を材料や要因として円売りへ変化するのかやや不透明になっています。

1. Daily Bollinger Bands→ Basis=108.81、Upper=111.19、Lower=106.42。Lowerを割り込み続落し105.50でようやく反発へ。

2. Daily Stoch RSI→ K=13.12 D=38.60と、売られ過ぎゾーンにあります。Weekly Stoch RSI→ K=11.32 D=12.20と売られ過ぎゾーンを継続し、買い変化も現れず中期的な買い期待感は大きく削がれています。

3. Daily SMA→ 200日SMA close=111.47、36日SMA close=110.15と、36日が200日を割り込み1月30日から下落基調を示しており、Weeklyも200週SMA=111.30、36週SMA=109.69と、36週が200週を割り込み1月24日から下落基調を示しています。

IMM通貨先物は、【円】前週-112,876→-115,509(-2,633)
円の売りポジションはNo.1で変わらず、2016年11月29日から64週続いています。集計日のUSDJPYの終値は前週109.55から108円を割り込み終値では107.80まで円高が進んでいましたが、売りポジションの減少幅は限定的でした。先週末に105.55まで円高が加速、円クロスでも円高が続いていたことで、ある程度の円ショートは巻き戻されたと思いますが、完全に円先安期待も消えず、大きく膨らんだ円ショートは継続されていると思われます。

USDJPYオプションのリスクリバーサルではロンドンベースで、1週間が前週-1.90→-1.6%%と円コールオーバー(ドルプット)が若干縮小し、1か月-2.10→-2.0%、3か月-2.10→-1.95%、6か月-1.90→-1.85と前週末と比較すると円コールは若干低下しており、円高リスクの圧力がやや弱まっています。


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◎EURUSD【予想レンジ 続落1.2250~1.2550】

最近の強い米雇用統計やインフレ指標に、米株が落ち着けば米利上げスピードが強まる可能性は高くなっています。一方、欧州経済は強く、ECBは早い時期にガイダンスを変更し、9月まで延長した資産買い入れを終了させ、来年初めから利上げを開始するとの期待感が強く、今週のユーロ圏CPIも注目しています。

EURUSDは今年に入り1.25台を何度もトライしながら、通貨当局のユーロ高けん制発言もあり結局は失敗。先週も1.2550台まで上昇しながらも、週末にかけて1.24われまで下落するなど、週足で見れば1月22日以降、1.22~1.2550のレンジを繰り返しているだけとなっています。


1. Daily Bollinger Bands→ Basis=1.2373、Upper=1.2531、Lower=1.2214で。大枠basis~Upperのレンジで推移していますが、またしても1.25の大台から滑り落ちています。

2. Daily Stoch RSI→ K=47.07 D=26.09と、買いへかし上昇中。Weekly Stoch RSI→ K=77.28 D=92.66と、買われ過ぎゾーンから売りへ変化しており、中期的に売り相場の変化を意識しやすくなっています。

3. Daily SMA→ 200日SMA close=1.1761で乖離幅は引き続き大きく上昇傾向を維持、36日SMA close=1.2248、high=1.2298、Lower=1.2194で、先週はhighをボトムに下げ止まっており上昇傾向がつづいています。

IMM通貨先物は、【ユーロ】前週140,823→127,289(-13,534)
ユーロの買いポジションはNo.1で変わらず、2017年5月9日から41週続いています。前週比では-13,534と減少していますが、集計日のEURUSDの終値は前週1.2377から1.2350とほぼ変わらず。6週間では増減が週替わりで入れ替わりとなっており、ユーロ買いポジションは14万を超えられず、今のところ大きな壁となっています。EURUSD1.25台、買いポジション14万コントラクトを超えられるか注目しましょう。

EURUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで1週間が前週-0.65→0.40%と今度はユーロプットからユーロコール(ユーロ買い)へと変化。1か月も前週-0.60→-0.30%と変化、、3~12か月もユーロコールが拡大し、ユーロ高リスクが高まる動きへ。


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◎AUDUSD【予想レンジ 0.7750~0.8050】

世界的な株価の下落に値を下げ、株価の反発の値を上げる、リスク許容度の増減に敏感に反応していますが、中国発のネガティブ材料もあまり聞こえてこず、商品価格や原油価格(WTI)も持ち直し気味となっています。元スタッフ女性との不倫問題を巡るターンブル首相のスキャンダルネタにもAUD売りは限定的となっています。

1月26日の高値0.8130台から2月2日の雇用統計で急落し、2月9日には0.7750台まで下落していましたが、0.8136~0.7759の61.8%戻し近く=0.7992と、先週末にはこの水準まで上昇した後下落と、テクニカルベースの動きへになっているように思えてなりません。

1. Daily Bollinger Bands→ Basis=0.7954、Upper=0.8152、Lower=0.7755と、先週はLower~Basisのレンジで推移。Weekly Bollinger Bands→ Basis=0.7770、Upper=0.8076、Lower=0.0.7464と、UpperからBasisのレンジで推移しています。そのため今週は0.7750~0.8000のレンジに入りやすいと考えられます。

2. Daily Stoch RSI→ K=38.45 D=23.50と買い転換しています。。Weekly Stoch RSI→ K=65.81 D=86.37と、やや買われ過ぎゾーンにあり売りを継続中で中期的に売り圧力が続いています。

3. Daily SMA→ 36日SMA close=0.7923、high=0.7957、Lower=0.7887に位置し、先々週はこの水準を全て割り込み下落し、先週はこの水準が上限となっています。200日SMA close=0.7765、high=0.7795、Lower=0.7735と、closeとhighの水準をボトムとした流れが2週連続しています。

IMM通貨先物は、【豪ドル】前週13,748→9,081(-4,667)
豪ドルの買いポジションは今年1月9日から6週続いていますが、僅か9,081コントラクトの買いポジションで、ほぼニュートラルと考えてもいいでしょう。集計日のAUDUSDは前週の0.7905から0.7859まで小幅低下し、豪ドル安となっています。

AUDUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで1週間が前週-0.80→-0.65%とAUDプットがが縮小(豪ドル売り弱まる)、1~12か月までのAUDプットは縮小する傾向にあり、豪ドル先安リスクが弱まっています。

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