2018/02/25

今週の為替相場を考える(2月26日~3月2日)

今週の為替相場を考える(2月26日~3月2日)

世界的な株価は一時の急落から反発し上昇気味で、米金利の上昇は続き、為替相場はドル高を意識しながらも現状は持ち合いで気迷い相場。27日のパウエルFRB議長の議会証言でこの流れに決着をつけることができるか? 注目!

先週までの為替相場は、USDJPYは一時105.55の円高から値を戻し、黒田日銀総裁の再選と緩和支持と思われる副総裁の後任人事も織り込み済みなのか、現状では106~108のレンジで108円台を抜け出せず。円は他通貨で円高傾向が続き、USDJPYの上値を重くし108円の壁を超えられるか注目。市場のセンチメントは米金利の上昇拡大と、米財政赤字の拡大と相反する材料に、円ブルとベアが混在し、このレンジを抜け出すまでは逆張りの動きが強まる。

EURUSDはECBの9月資産買い入れ終了とフォワードガイダンスの早期変更期待は残るも、利上げ開始時期は来年初めから春先へとやや後退気味。3月4日のイタリア総選挙の不安感も残り1.22~1.2550のレンジへでニュートラル。ECB要人の発言に上下変動すると思われるもレンジを抜け出すまでは方向感定まらず。

GBPUSDはカーニーBOE総裁のインフレ報告に関する議会証言で「数年は更なる出口戦略が必要」とあるが、「為替の転嫁が影響を長引かせた」とポンド高を暗にけん制。一方、ホールデンBOE政策委員は「インフレ率を目標に到達させるために、金利は中銀の見通しより速く上昇する必要がある」と指摘し、先の強い英CPIと除くボーナスの賃金上昇もあり、市場は5月の利上げを期待中。

ブレグジットに関しては、EU離脱を強く支持するジョンソン外相から残留派のハモンド財務相と、ブレグジット交渉をめぐるメイ政権の混乱も先週末に主要閣僚の合意を取り付け何とか終息? 3月2日のメイ首相のEU離脱交渉の方針の演説待ちで、1.3800~1.4350のレンジの三角持ち合い入りで次の方向性待ちの状態。

AUDUSDは先のCPIは弱く、20日の豪中銀議事録では「インフレ押上げには賃金の賃金上昇の加速が必要」とあり当面金利は据え置くことを示唆。一方、21日の賃金コスト指数はやや強く、先物市場の織り込み度合いは、8月まで0.25%に上げを25%、12月までは75%となっている。原油価格も強くリスク回避の流れも弱く大枠0.7800~0.7950のレンジでニュートラルながら、やや買い優勢気味。

USDCADは、先のカナダ雇用統計は予想外に悪化しカナダドル売り傾向が続くも、23日のカナダCPIは予想を大幅に上回り、原油価格の上昇傾向もあり米金利の上昇が拡大しない限りカナダドル買いが強まる可能性も意識したい。ただし、現状では引き続き1.2400~1.2750のレンジ相場気味。

米10年債利回りは3.0%直前の2.96%で上げ止まりながらも、高値水準を維持し、2年債は2.278%まで一時上昇、一方の独と英国はECBの緩和縮小とBOEの追加利上げの期待は残るものの、債券利回りは低下気味。

2月14日(水)に発表の米消費者物指数の前年比は2.1%、コア前年比も1.8%と高値圏を維持し強く、2月16日(金)の米輸入物価指数も前年比3.6%と予想を上回り、米国では物価上昇のペースが拡大する可能性が高く、市場は3月の米利上げを含め年内3~4回の利上げ観測がより強まり潜在的なドル買い圧力は続きそう。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



今週の【通貨ペア別のレンジ予想】



◎USDJPY【予想レンジ 105.75~108.15】

USDJPYは、Dailyチャートでは106~108円のレンジ先週続け、Weeklyチャートでは108.50のポイントから、9月8日の安値107.32を割り込み105.55まで急落。そして先週は108円近くまで値を戻すも、週終値では106円台に失速と、108円台の売り売り圧力は健在で、上下共にロックされている。ただ、EURJPYを代表とする他通貨での円ショートの巻き戻しがどこまで続くのかを注目。特にポジションが多いと思われるEURJPYの動きがUSDJPY相場に影響を与える可能性が高く注意している。

1. Daily Bollinger Bands→ Basis=108.15、Upper=110.55、Lower=105.75と、先週はLower~Basisのレンジで推移。
2. Daily Stoch RSI→ K=69.90 D=41.94と、買いへ変化し継続中でニュートラルゾーンに近く。Weekly Stoch RSI→ K=14.18 D=11.18と売られ過ぎゾーンを継続し、買い変化へ。
3. Daily SMA→ 200日SMA close=111.34、36日SMA close=109.39と、と下落基調を継続中、Weeklyも200週SMA=111.34、36週SMA=109.39と下落基調を継続中。

IMM通貨先物は、【円】前週-115,509→-108,338(7,171)
円の売りポジションはNo.1で変わらず、2016年11月29日から65週続いています。16日に105.551まで円高が進みましたが、円の売りポジションは予想外に解消されておらず高水準を維持したままで、USDJPYは集計日ベースの終値は前週の107.808→107.322と小幅な円高にとどまっています。

USDJPYオプションのリスクリバーサルではロンドンベースで、1週間が前週-1.6%→0.45%と円コールオーバー(ドルプット)が縮小し、1か月-2.0→-1.3%%、3か月-1.95→-1.40%、6か月-1.85→-1.5%と前週末からさらにドルプット・円コールが縮小し、円高リスクのカバーがやや弱まっています。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



◎EURUSD【予想レンジ 続落1.2200~1.2450】

Dailyチャートは前週末の1.2550台を高値に1.2260まで下落した後は、独債券利回りの大幅下落もあり米国との金利差拡大からEUR売りが強まりながらも、1.2250~1.2360の狭いレンジで推移。Weeklyチャートでは、1.2200~1.2550のレンジを過去5週間継続しているだけで、トップアウトなのか、再上昇へ向かうのか判断は難しく、しばらくはレンジでの売買を目指しながら新たな材料待ち。

1. Daily Bollinger Bands→ Basis=1.2366、Upper=1.2521、Lower=1.2210で。1.25台を回復できず大枠basis~Lowerのレンジで推移へ。
2. Daily Stoch RSI→ K=8.37、 D=25.18と、売りへと変化し売られ過ぎゾーン近くで推移。Weekly Stoch RSI→ K=61.64 D=85.03と、買われ過ぎゾーンから売りへを継続し売り圧力が続いています。

3. Daily SMA→ 200日SMA close=1.1781で乖離幅は引き続き大きく上昇傾向を維持、36日SMA close=1.2288、high=1.2341、Lower=1.2237でcloseボトムに、close~highのレンジ近くで推移しています。

IMM通貨先物は、【ユーロ】前週127,289→126,126(-1,163)
ユーロの買いポジションはNo.1で変わらず、2017年5月9日から42週続いています。前週比では買いポジションは小幅な減少にとどまり、EURUSDは集計日ベースの終値で1.2350→1.2337とほぼ同水準近くで大きな変化は見られず、根強いユーロ買い思考がうかがえます。

EURUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで1週間が前週0.40→-0.20%と今度はユーロコールからユーロプット(ユーロ売り)へと変化。1か月は前週-0.30→-0.60%とユーロプットが拡大へ、3か月も0.10→-0.05とユーロプットに変化、6~12か月もユーロコールは減少し全体的にユーロ先高リスクを削減する動きになっています。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※