2019/11/10

今週の為替相場を考える (11/11~15日)

今週の為替相場を考える (11/11~15日)

先週は米中通商協議をめぐる両国要人によるネガティブ・ポジティブ発言で翻弄される動きとなった。ただ、米中は年末を前にして何らかの同協議で妥協案を講じる可能性は非常に高く、米10年債は9月中旬の高値1.9%を上回り、米株は最高値を更新して、ドル高傾向は変わらず。

各金融市場で、トップアウトを期待した連中の損切を誘発しながら上昇傾向を続けており、結論からすれば今週も紆余曲折は当然あるもリスク選好現状の流れを継続すると思われる。

もちろん可能性は低いものの、仮にパウエルFRB議長が議会で予想外のサプライズ証言をしたり、トランプ氏がへそを曲げ米中間で合意署名できず決別したとすれば別世界が描け、そこからリスク回避を目指すポジションをとっても十分大きな利益を狙えると考える。

追加緩和をリードできず煮え切らない日銀、ブレグジットリスクに12月の利下げ期待度が16%に拡大するBOE。内部対立が止まぬECBはラガルド新総裁の手腕次第ながら、欧州員会はドイツが狭義のリセッション入りとあり、成長とインフレ見通しを下方修正、IMFも欧州は緊急対策を講じる必要性を強調。

独経済諮問員会メンバーからも、世界貿易の落ち込みは製造業を直撃し、製造業はリセッションに陥っている、独成長率予測を引き下げている状況では、予想できる範囲内で利上げを実施することはないと思われるとある。

一方の米国では、FRBメンバーからは緩和停止期待が広まっていることは間違いない。CME FedWatch Toolでは、追加利下げ期待が急低下しており、0.25%の利下げ期待度は1か月前の42.6%→現状は3.7%まで急落している。

トランプ氏の毒舌は別として、パウエルFRB議長は今後の指標次第であることを明言しており、今週発表の米CPIを含め経済市場を受けた流れには十分注意が必要となっている。

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◎USDJPY 予想レンジ(108.80~109.80)

米中通商協議で予想外に決裂しない限り、上昇傾向は変わらず。ただし、109円台からは一方的な上昇も難しく、110円の大台は非常に重要であることは変わらないことから判断すると、上値買いも避けたい。

押し目を拾い緩やかな上昇を目指す買いの動きと、110円台をバックにした売りの動きと両サイドが強まる可能性も。

先週は米中通商協議の楽観的見通し、「フェーズ1で調印=12月15日に米国の対中制裁発動の停止期待」に、リスク選好パターンが強まり円は予想外に下落し200日MAを上回っている。

109.50のバリアに反落しているが引き続き上昇力を残した動きで終了、終値ベースでは5月29日の109.62以来の水準となったことも事実で、米債利回りの上昇+株高と連動した動きだけに、急変のリスクも考慮に入れた戦略も。



◎EURUSD (1.0950~1.1060)

英国の総選挙の実施を織り込み、世論調査では保守党優勢を織り込み、結果を受けた次の手段を市場は模索中で、EURもその影響を受けやすい。

200日MAを超えられず1.1180でダブルトップ。1.1000台近くまで下落し10月17・18日のEUサミットから上昇した出発地点まで逆戻り。1.1050の壁で下げ止まりブレークし下落したこともあり、この水準越えの上値は重くなりそう。


◎USDCAD (1.3150~1.3250)

IMM通貨先物ポジションでは主要通貨で唯一ネットロングを維持し、今回のデータでも前週からロングが拡大していることから市場参加者のカナダドル高期待は根強い。ただし、実際は1.3040をボトムに下げ止まり、1.3150を中心とした1.3100~1.3200のレンジ上限を上抜け、10月14日以来の高値水準まで上昇している。

直近の弱い経済指標に反応した動きで、カナダ雇用者数は予想外に減少、住宅建設許可は予想外に減少、Ivey購買部協会指数は弱く、カナダ貿易赤字が予想外に拡大し、利下げ期待の声も。

反面、カナダ政策金利は1.75%で2018年10月以降変更はなく、USMCADの協定合意に向けた動きや、原油高傾向が続いていることなどポジティブ要因として残っている。個人的には15日のボロズカナダ中銀総裁発言を気にしてみたい。

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