2019/11/02

2019年11月2日(土)昨日1日、海外市場の動き

2019年11月2日(土)昨日1日、海外市場の動き

予想外に強い米雇用統計に、追加利下げ観測が弱まりドル買いへと動くも、弱いISM製造業景気指数にドル売りへと変化。米中通商協議の進展期待は残るも、「知的財産」、「技術移転」はクリアできず。米株高+米債利回りは上昇。

為替相場は、主要通貨はドルに対して強弱混在ながら、AUDは強い中国PMIと米中通商協議のフェーズ1の月内合意期待に底堅く推移し、JPYとCHFはリスク選好の動きにと共に強さは見られず。GBPは総選挙をめぐりブレグジット党の不安や弱い製造業PMIに強さを維持できず。

非農業部門雇用者数=12.8万人(予想8.8万人 9月13.6→18.0万人 8月13.0→21.9万人)と予想外に強く、過去2か月分も上方修正へ。時間当たり賃金と労働参加率は伸びている。一方、ISM製造業景況指数=48.3(予想48.9 前回47.8)→ 予想を下回り3か月連続で縮小、新規受注は47.3→49.1と伸びるも、価格は49.7→45.5と大幅低下。製造業PMI・改定値も、51.3(予想51.5 前回51.5)と下方修正へ。

米株は強くS&PとNasdaqは最高値を更新、ダウもプラスからスタートし+301.13(+1.11%)高で終了、米10年債利回りも強い米雇用統計を受けマイナス圏から値を戻し急伸、一時1.743%台まで上昇後、1.71%近くへ。

USDJPYは、108割れは固くアジア・欧州・米国市場で共に、107.90近辺をボトムに下げ止まり、強い米雇用統計で108.26まで上昇、弱いISM製造業で107.92まで下落と上下変化しながらも、米中通商協議のフェーズ1の署名期待を示す米中発の発言が多数あり、米株高+米債利回りの上昇に108.33まで値を戻し108.10台で終了。クロスでJPYは全面安。

AUDUSDは、前日に続き比較的小幅な動きながら、アジア市場の0.6884をボトムに予想外に強い中国製造業PMIに0.6910近くまで上昇、欧州市場に入り徐々に値を下げながらも、強い米雇用統計でも0.6890までしか値を下げず、逆に弱い米ISM製造業に0.6921まで急伸、米中通商協議の進展期待に0.6910台で終了。

USDCADは、前日に続き比較的小幅な動きで、原油価格の上昇と米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の合意期待が潜在的にCADをサポート。前日に続き、アジア・欧州・米国市場と1.3140割れは底堅く下げ止まり、強い米雇用統計に、FOMC直後の高値1.3200近辺に並ぶ1.3196まで上昇するも、逆に弱い米ISM製造業に再び1.3138まで下落して終了と、米雇用統計後の安値圏で終了している。


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18:30    GBP 10月 製造業PMI=49.6(予想48.1 前回48.3)

21:30    USD 10月 雇用統計: 失業率=3.6%(予想3.6% 前回3.5%)、非農業部門雇用者数=12.8万人(予想8.8万人 9月13.6→18.0万人 8月13.0→21.9万人)、週平均労働時間=34.4(予想34.4 前回34.4)、平均時給=前月比0.2%(予想0.3% 前回0.0%)、平均時給=前年比3.0%(予想3.0% 前回2.9→3.0%)、時間当賃金=28.18(予想 前回28.12ドル)、労働参加率=63.3%(予想63.1% 前回63.2%)

22:45    USD 10月 製造業PMI・改定値=51.3(予想51.5 前回51.5)→ 予想と前回を下回る

23:00    USD 9月 建設支出=前月比0.5%(予想0.2% 前回0.1→-0.3%)

23:00    USD 10月 ISM製造業景況指数=48.3(予想48.9 前回47.8)→ 予想を下回る

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米中通商協議関連
◎中国の劉鶴副首相とムニューシン米財務長官、ライトハイザーUSTR代表は1日に電話で協議。終了後には両国とも声明を発表し、協議は「建設的」だったと評価した。
◎中国商務省は、米中が「原則コンセンサス」に達したと説明。
◎USTRは、さまざまな分野で進展し、懸案事項の解決に取り組んでいるところ進展があったとし、協議は次官レベルで継続される。
◎クドローNEC委員長は、交渉は進展しており月内の署名を目指す。①第1段階の合意はまだ完了していない。②農産物や金融サービス、為替の分野での合意はほぼ完了したが、知的財産権侵害を巡る問題での合意がまだ残されている。③技術移転を巡る問題は「第2段階」へ先送りの可能性。④第1段階の合意まで、対中関税引き上げは続く。
◎ムニューシン財務長官は、合意に向け鋭意取り組んでいる。①進展し続けており、トランプ米大統領と習近平中国国家主席の指示の下、合意に向け鋭意作業を進めている、
◎ロス商務長官は、「第1段階」の米中通商合意は達成に向けて順調に進んでいるようで、確実ではないものの、署名は今月中旬頃に行われる可能性が高い。
◎中国外務省報道官は、米中両国が通商問題について緊密に連絡を取り合っている。米中首脳がマカオで会談するとの情報については観測にすぎないと一蹴。

ASEAN首脳会議(タイのバンコック郊外)
◎トランプ米大統領も不参加を決めたことで、会議では南シナ海をめぐり中国の発言力が増す展開となる可能性がある。一方、ロス米商務長官は出席し、長官は詳細には踏み込まなかったものの、アジア訪問中に「かなり大規模な取引が発表される見通し」と語った。

ブレグジット関連
◎為替トレーダーらは、最大野党・労働党のコービン党首の社会主義的政策よりもナイジェル・ファラージュ氏率いる「ブレグジット党」に不安を抱く。ブレグジット党の予想以上の健闘もリスク。
◎ファラージュ党首は、英選挙、離脱合意撤回なければ全議席で争う。①首相が10月17日に合意した離脱案は「売国」に相当し、「離脱ではない」と批判。②保守党はジョンソン氏を「EU離脱を成し遂げる」人物として売り込むことに賭け、選挙協定でファラージュ氏の提案を拒否。③与党保守党は、EUと首相が取り決めた離脱合意の実現のために単独で十分な支持が得られない場合、同氏に頼らざるを得ない状況になりかねない。

米経済関連
◎WTOは、①中国が36億ドル相当の米国製品に報復措置を課すことを認めた。②今回の問題は現在の米中貿易摩擦が生じる前に中国がWTOに申し立てたものだが、今も続く米中協議に新たな緊張をもたらす恐れがある。
◎クラリダFRB副議長は、①「経済は良好な状況にあり、金融政策も良好な状況にあるとわれわれは考えている」、②一連の利下げはディスインフレと国外経済の脆弱性に対する「保険、もしくは緩衝材」を経済に与えることが目的。③雇用統計で予想外の強さが示されたように健全だとしながらも、先行きリスクは依然として「いくらか」下向きに傾斜。
◎ペロシ米下院議長は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)をこれまでで最も容易な貿易協定で、われわれは批准に向かっている。日に日に合意に近づいていると思う。→ CADのプラス要因。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
◎1日発表した2019年7~9月期運用収益率は1.14%と、3四半期連続しプラス運用で、収益額は1兆8058億円の黒字で、9月末の運用資産額は161兆7622億円となった。
◎国内外の債券や株式などの保有額や運用資産に占める割合の公表を一時的に取りやめる。運用目標値を定めた基本ポートフォリオを見直す作業に入っており、市場への影響を配慮した。

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