2015/11/15

今週の為替相場を考える(11月16日~20日)訂正・再送

今週の為替相場を考える(11月16日~20日)

【追加・訂正】

パリの同時多発的テロの影響は、コメント作成時の土曜夜の時点で考えていたよりも深刻化が懸念されます。

フランスはもちろんのこと、ユーロ圏に与える経済的な影響も大きく、新興国への影響も考えられ、今後の報復措置などを考慮すれば、EUR売りの流れがより強まることや、ヘッジとしてのドル買いや、若干の円買い+スイス買いへと動くことが予想されます。

そのため、先の予想レンジを以下の通り修正いたします。
【EURUSD 予想1.0700~1.0850】→ 1.0600~1.0800
【USDJPY 予想121.85~123.50円】→ 121.50~123.20円

※※※※※※※※※※※※※※※


フランス・パリの同時多発テロ事件の影響を危惧。ドルロングのポジション調整後に再びドル買いへと動くのか?

ドル高基調が続く中、先週の為替市場は、11月6日の強い米雇用統計=米利上げ開始期待から始まったドル買いから売りへと変化した週となった。この流れは今週、どのように変化するのであろうか?

ドルインデックは下落し、オプション市場を含めドル売りの流れへと変化。米金利は低下し特に独金利の大幅な低下、米株+新興国株は下落。動きは複雑ながら、先週は早くも11月26日の感謝祭を意識しているのか、12月16日のFOMCを待たずにポジション調整のドル売りが続いた。

11月26日の感謝祭が終われば、いよいよ年末・年始相場へと突入! 26日を境に年内の取引を終えるファンド勢もそろそろ見られ、12月25日のクリスマス休日で、ほぼ取引を終了する季節が迫りつつある。

今年は、12月3日のECBで追加緩和が、12月16日にFOMCで利上げがほぼ確実と思われており、ドル高=ユーロ安の流れは変わらず。

さらに、分別すれば、利上げできるFRB=追加緩和のECB=利上げ期待は消えないGBP=追加緩和の潜在的可能性を秘めている、カナダ中銀+豪中銀+NZ中銀、そして、日銀。

この絶対的な方向性の違いは、ポジションの増減や巻き戻しによる一時的な変動は避けられないものの、潜在的には変わらず、市場参加者のドル先高センチメントも変わることもないと思われる。


※※※※※※※※※※※

【ドル相場】

米CPIは強いのか? FOMC議事録で12月FOMCの利上げ期待が再開できるか?

先週ドルインデックスは99.168→98.998へと低下へ! 積み上がったドルロングは調整へと動いていた。EURUSDのウエートが大きく上昇幅が狭いため小幅な下落となったが、他の主要国では米雇用統計後のドル買いの巻き戻しはより強いものとなっていた。

前週末比では、EURUSDは+0.29%に対して、GBPUSDは+1.25%、AUDUSDは+1.04%と動きは大きく、逆に、NZDUSDは-1.81%と低下しドル高へ。IMFスタッフ報告でNZドルが過大評価、ウィーラーNZ中銀総裁が、NZドルが一段と下落する可能性を示唆したことが要因。

今週一週間の相場では、17日(火)の米CPIの前年比が2.0%台へ乗せることができるか?、18日(水)のFOMC議事録で調整色が強まったドル買いが再燃することができるのか? 共に相場の波乱要因となっているが、潜在的なドル利上げ観測を止めることはできないと思われる。

例年の季節的な変動を見ると、12月のドル高傾向が多く、引き続きドル買いを意識したポジションを考えたい。


※※※※※※※※※※※


【EURUSD 予想1.0700~1.0850】
ドラギECB総裁は景気のダウンサイド・リスクを示唆、12月3日のECB理事会で追加緩和はほぼ確実との市場は予想しており、他の通貨ペアとは異なりEURの買い戻しは鈍く限定的。

今週は欧州発の材料が乏しく、フランス・パリの同時多発テロ事件の影響を危惧。米国発+英国発(EURGBP)の材料に相場が動くことが考えられる。EURUSDは1.0850~00を超えてくると、EURショートの巻き戻しが強まると思われるが、それを支援するような材料は見当たらず。

下値は1.0700をボトムに上げ止まってはいるも、この水準を割り込むと1.0500の先の安値水準を目指すことになるが、今週はそこまで大きな動きを期待できる材料は今のところ見当たらない。


【GBPUSD 予想1.5100~1.5350】
英中銀は成長とインフレ見通しを引き下げ、逆にOECDはインフレ圧力に早期利上げ示唆?! と困惑状態。米国に次ぐ利上げ可能な国の地位は変わらず、1.5000~1.5500内でのレンジ相場が続く。

米雇用統計時の水準を上回り上昇、予想外に強いが、11月5日のスーパー・サーズデー急落時の水準1.5400近辺の50%戻し近くで上げどまり推移。この水準を中心にした値動きが予想され、17日(火)のCPIと19日(木)の小売売上高を注目。


【AUDUSD 予想1.7050~1.7200】
0.7000の壁を崩すことはできず! 豪雇用統計は、就業者は予想の4倍、失業率は6.0%を割り込み、労働参加率は65.0%台へ上昇と強く底堅く推移。

NZDUSDの下落や、中国の輸出入の大幅減少や、止まらず商品価格の下落にも底堅く上昇へ。米雇用統計直前の水準となる0.7150近辺で値を戻すが、0.7150~00の上値は重く、この水準を今週中に越えられるかが今週のポイント。

17日(火)の豪中銀議事録を注目したい。スティーブンス豪中銀総裁が声明で、「景気回復の見通しが強まっていると判断している。一方、低インフレを受けて利下げ再開の可能性がある」と強弱両面を示唆し、結果AUD高となっていたが、この議事録の詳細は興味深い。


【USDJPY 予想121.85~123.50円】
日銀の追加緩和はあるのか? 123.50円超の上値は重い。FRBとECBの政策変更の高まりを前にして、円安傾向が続く中で、率先して緩和をするとは思えず。とりあえずは、16日(月)のGDPを見守り、19日(木)の日銀金融政策決定会合結果に円相場が変動することになりそうである。

米雇用統計後の膨らんだ円ショートポジションの調整は、122.50円割れで調整が終わったのであろうか? オプションでは引き続き調整が続き、追加緩和がなければ、122円近辺(±15pips)までの下落リスクは残るが、それでもドル高基調は変わらず。


※※※※※※※※※※※※※※