2015/11/01

今週の為替相場を考える(11月2日~6日)

今週の為替相場を考える(11月2日~6日)

FOMCは2008年のリーマンショック後から続いたゼロ金利政策を、本当に12月に解除できるのだろうか? ドラギECB総裁が先の理事会後の記者会見で示した、12月の量的緩和(QE)の可能性は実現が可能であろうか? 日銀は成長の低迷が続く日本経済を支えるために追加緩和を実施できるのであろうか?

いずれにしても、基本は利上げの可能性が高い米国に対して、追加緩和の可能性のユーロ圏と日銀、政策維持を通す豪州・NZ・カナダもインフレや成長にやや弱気なムード広まっています。

さらに、米国の動きを見守る英国、そして、中国の景気減速と米国の利上げ観測の高まりに悩む新興国と、それぞれに向っている方向が異なり、それが為替相場の変動に大きな影響を与え続けています。

先週1週間を通じてみても終値ベースの比較では、USDJPYが121.42→120.59円と0.69%下落し円高となる中で、円クロスは通貨間で異なる変動となっています。

EURJPYは133.76→132.71円と-0.79%低下、GBPJPYは逆に185.90→186.00と0.05%と、GBPUSDの上昇にほぼ変わらず。AUDJPYはAUDUSDの下落に1.79%下落するなど豪ドル安が目立つ中で、CADJPYはUSDCADが下落しカナダドル買いが強く-0.03%とほぼ変わらず、カナダドルも健闘しています。

このように今週も、円高対円安の論理ではなく、通貨間で異なる動きを捉えながら、米金利と株の動きを主に考え、ドル高基調の継続を意識せざるを得ないと考えます。


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【ドル相場】
市場参加者の考え方は似たり寄ったり。12月のFOMCで歴史的なゼロ金が解除される可能性があることを考えれば、ポジション的にドルロングにならざるを得ない状況となっています。

そのため、ちょっとしたネガティブな発言や材料でポジション調整が強まることも予想されますが、基本の押し目買いは変わらず。米経済指標の悪化が深刻化し、米利上げ観測が消え失せない限り、ポジションが軽くなった水準はドルの買い場と考えます。

変動リスクが高い材料としては、11月4日(水曜)のイエレンFRB議長の議会証言で、先のFOMCでは記者会見がなかったこともあり、俄然注目度は高くなっています。

市場はドルロング気味、12月の利上げ観測を織り込んでの議会証言で、タカ派で当たり前、ハト派にでもなろうものなら、失望感によるドル売りが一時的に強まることも考えなければなりません。

また、同4日の米貿易収支で、貿易赤字額が市場の予想を上回る赤字額ともなれば、反ドル高へのプレッシャーが強まる可能性が高く、注目度は高いと考えます。

更に、11月15日(木曜)には、重鎮でイエレンFRB議長と絶えず意見交換し、FOMC声明の草案にも関与していると言われている、ダドリーNY連銀総裁とフィッシャーFRB副議長の発言があり、注目しています。

そして、週末11月16日(金曜)には、米雇用統計があり、今週の為替相場の集大成となることは間違いないでしょう! 


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【EURUSD 予想1.0900~1.1100(+-上下20pips)】
先のECB理事会後のドラギECB総裁の超ハト派の記者会見で火が付き、12月3日のECB理事会で追加緩和(QE)が発動される可能性が高まり、Dailyチャートでは200日移動平均線を割り込み、弱気なムードは継続中と言わざるを得ません。

ただ、先週に1.0900を安値で下げ止まり、4月26日以降続いている安値1.8000を試せずに終わっていることを考えれば、短期的には超弱気ムードばかりとは言い切れません。

週の週足チャートでは、OPEN1.1000→CLOSE1.1000と同水準で、HI1.1095、Low1.0896と、上下100ポイントを試しながら元の水準に戻ってきていることを考えれば、転換線の可能性もあります。1.0900~1.1100のレンジをクリア(明確)に抜け出すまでは、このレンジ内での取引を考え、イエレンFRB議長の議会証言、ドラギECB総裁の記者会見、米雇用統計を確認してから、次の1週間の傾向を考えてもいいのでは?


【GBPUSD 予想1.5350~1.5500】
ポンドが売られれば、2017年のEU離脱の是非を問う国民投票で、離脱が決定ものするものなら英国のGDPは大幅に低下するとの言い分が支配的。逆にポンド高になれ米国に次ぐ利上げ可能性の高い国との評価を材料としているように思えてなりません。

テクニカルでは、200日移動平均線を上抜け、先の高値1.5500を目指していますが、1.5500の壁は当面厚そうです。これを超えると1.5675、1.5715、そして、200週MVの1.5840台がポイントとなりますが、そこまで考える必要なないでしょう!

実際のところ米国が利上げを決定すれば、対ドルの動きは別として、クロスではポンド買いが強まることも予想されます。12月の日程を考えれば、12月3日のECB理事会が先行し、12月16日のFOMCは後発となり、EURGBPを狙う動きが続きそうです。

EURGBPが前週に続き安値を更新し、Dailyチャートでは200日移動平均線の0.7240台を割り込んでから続落傾向は止まらず、0.72台が戻り売りの状況となっています。


【AUDUSD 予想0.7050~0.7180】
中国の追加緩和の動きは止まらず、さらなる緩和と人民元の切り下げ観測も消えず。中国の成長鈍化と米利上げ観測の両方に挟まれて、資源国通貨の先安緩は払しょくできずにいます。

豪州の成長は加速したと思われますが雇用は悪化しており、先のCPIも弱い結果となったことで、気が早い向きは追加緩和の可能性を指摘する動きも見られます。

テクニカルでは、大枠0.7000~0.7500のレンジに入り、過去3週連続し陰線引けで下降トレンドを継続しています。Dailyチャートでは中期線を割り込み、10月8日来のボトム水準でもある0.7200をクリアに割り込んでからは、0.7050~0.7200のレンジに入り、このレンジ内の動きが予想されます。


【USDJPY 予想119.80円~121.50円(121.00円がベア・ブルの分岐点)】
11月4日(水曜)の郵政3社(日本郵政、かんぽ生命、ゆうちょ銀行)東証1部に上昇に伴う、日本株の動向は円相場に直接影響を与える可能性があります。

先週は、注目の日銀の金融政策決定会合では、一部に期待された追加和もなく、上下変動しながらも、121円台の重さ(特に121.50円)と、120円近辺の買いの強さを確認した週となりました。

今週も120円の壁が大きなポイントとなりますが、仮にこの水準を割り込み円高へと向かえば、11月19日、12月18日の日銀金融政策決定会合で追加緩和がテーマに上り、円高を抑制することになります。

そのため、円高がどんどん加速することも考えにくく、逆にUSDJPYのロングが撤退し、(円ショート)ポジションが軽くなるときが絶好の円ショートメークの場とも考えられます。


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