2015/11/08

今週の為替相場を考える(11月9日~13日)

今週の為替相場を考える(11月9日~13日)


今週の為替相場を考えるに当たり、先週の出来事を振り返ってみることが必要です。

先週一週間は大波乱の展開の中、ドル全面高で幕を閉じました。イエレンFRB議長は12月のFOMCで利上げすることを、逆に、ドラギECB総裁は12月に追加緩和があることを市場にシグナルを送り続けています。

他の中銀はと言えば、英国中銀は、成長とインフレ見通しを下方修正し、「米国に次ぎ利上げ可能な国」のイメージは大きく傷つけられ、クロスで強気だったことの反動に、ポンドは急落を続けています。

スティーブンス豪中銀総裁は「景気回復の見通しが強まっていると判断」の買い要因と、「低インフレを受けて利下げ再開の可能性がある」との両方を示し、NZの雇用統計は、弱い雇用者変化と平均時給に追加緩和の思惑まで広まっていました。

そして、8月中国銀人民の大幅な切り下げと追加緩和で、世界的な株価の暴落がスタートした水準を、米株と米金利は回復したのです。NYダウは18,000ドルを目指す動きへ、米2年債利回りは一時0.95%まで上昇しています。為替相場もUSDは123円台へ上昇、EURUSDは1.07台へ下落と、今年4月の水準まで値を下げ、ドル高が続いています。

このように、金利差、金融政策の違い、テクニカル面でドル高を考えれば、一時的なポジションの巻き戻しと、前週の急変による反動の一時的な変化の可能性はあるものの、ドル高傾向は変わらずと判断します。


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【ドル相場】

今週は金融政策に関する発表は少なく、米国発の経済指標で最重要な発表もそれほど多くありません。米国とユーロ圏の金融政策の違い、それと、当面緩和策を続けざるを得ない、英中銀 日銀、カナダ中銀 NZ中銀、豪中銀の違いは変わりそうになく、結果としてドル高相場が継続する可能性が高いと考えます。

12月16日のFOMC、12月3日のECB理事会が大きなターニングポイントになるか? その前に、11月26日の米感謝祭までは、米経済指標の急変や世界を取り巻く緊張の高まりがなければ、ドルロングの一時的な調整以外に、ドル高を意識したポジションを考えたいと思います。

今週のリスク要因としては、米輸入物価(10日)、米小売売上高(13日)を注目しています。輸入物価指数が大幅に低下するようであれば、また、小売売上高が弱く出ることにでもなれば、ドルロングの調整が強まることも考えられますが、一時的な動きと考えます。


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【EURUSD 予想1.0580~1.0850】
金融政策の違いに売りの流れは変わらず。ECBとFRBの金融政策の違いは、それぞれ12月の結果を見るまではEUR売りとなり、簡単には覆りそうにありません。過去3日間の値動きを見ても、1.0900を超えることは難しく、7月20日の安値1.0808を割り込み、株価暴落時の水準を割り込んだことで、1.08台は売りの水準へと変りつつあります。

一方、リスク要因としては、13日発表のユーロ圏各国第3四半期GDPの速報値で、EUR相場にとっては大きな変動要因となることでしょう!


【GBPUSD 予想1.4850←1.5000~1.5180】
BOEショックはどこまで続くのか! 利上げ支持者1名で変わらぬBOE金融政策委員会・弱い四半期インフレ報告・タカ派の影が薄らいだカーニーBOE総裁と、利上げ時期は来年後半以降になりそうです。

カーニーBOE総裁は、利上げ時期がハッキリするのは年末・年始ごろと、FRBとBOEの政策をみてから考えると言えなくもありません。テクニカルでは先週一週間で、1.55→1.50台前半へと約450ポイントと下落、戻り売り相場へと変化しています。

今年5月の安値を割り込み、戻りも1.5150が大きな壁となっていますが、1.5000のサイコロジカルなポイントがブレークできるか? 11日の英雇用統計が今週の大きなポイントになりそうです。


【AUDUSD 予想0.6950~0.7180】
4週連続し下落し、上昇開始時の振出しとなる0.7050近辺へ戻る。ティーブンス豪中銀総裁の声明では「景気回復の見通しが強まっていると判断」の買い要因と、「低インフレを受けて利下げ再開の可能性がある」と売りの材料の両方を提示していました。

つまり、今後の成り行き次第と考えられなくもありませんが、今週その大きなカギを握るのは12日の豪雇用統計で、結果の良し悪しで、市場センチメントが大きく変化する可能性があります。

テクニカルでは売りの流れは止まりそうになく、0.7000をサポートできるのか? この水準を割り込んでも0.6950が重要なポイントとなり、0.7150の上値は重くなりそうです。


【USDJPY 予想122.30~124.50】
8月の中国ショックによる円高スタート時に逆戻り、円高派は期待を裏切られ、さらなる円安局面へ。米12月の利上げ期待は強まり、日米金利差は拡大し、日銀の追加緩和の期待感の有無にかかわらず、中国・米国・日本の株高の流れも止まらず、円安が進行しています。

123円台は先の黒田シーリングと思われている水準で、円安抑制発言の有無も気になりますが、米輸入物価(10日)注目しています。ドル高傾向が続く中で、予想外に低下するようであればドル高を抑制する動きも予想され、一時的に売りへと変わる可能性もあり注意が必要と思われます。


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