2015/11/29

今週の為替相場を考える(11月30日~12月4日)

今週の為替相場を考える(11月30日~12月4日)

ECBは本当に追加緩和をするのでしょうか? 米雇用統計はFOMCの利上げを後押しできるのでしょうか? 豪中銀とカナダ中銀は、これらの異なる金融政策の狭間で、金利を据え置くことが予想されますが、将来の追加緩和を期待する声も残り、どのような声明文になるのでしょうか?

市場との対話を意識してなのか、ドラギECB総裁からは追加緩和を、イエレンFRB議長からは利上げ開始を、それぞれが共に変更が近いことを意識した発言が多く見られます。当然、このような動きはドル買い+ユーロ売りへと反応し、直近でもこの流れが続いています。

この金融政策の違いが、他の主要通貨に与える影響も考えなければなりません。今週多くの米国発の経済指標が発表されますが、米国の雇用+インフレ+景況感の経済指標に一時的にドル売りが強まることや、ドル・ロングの調整売りも予想されます。それらは一時的な動きにとどまり、16日のFOMCまではドル高傾向が続くことが見込まれます。

また、トルコとロシアとの緊張の高まりは、有志連合の対イスラム国への対応を複雑にさせ、テロ攻撃が世界的に拡大する中で、どこまで円高傾向を維持できるのでしょうか?

追加緩和の可能性が弱まり、政府は補正・法人税引き下げの早期実施ができるのでしょうか? 日本株との連動性が高い円相場も12月に更なる円安期待と、年末年始のリスク回避の円高との狭間に位置することで、円相場の見通しを読みに難くしています。

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【ドル相場 ドル高傾向変わらず】
ECBの結果次第ではありますが、現状では追加緩和期待と、米国の利下げ期待は変わりありません。中東の地政学的リスクが高まり、世界的にテロリスクは消えず、各国との金利差など現状を考えればドル高傾向が続くことが予想されます。

これらの状況はすでに多くが予想し、中長期のドル・ロングポジションが目先拡大していることも事実でしょう。しかしながら、先週の米感謝祭のロング・ウイークエンドを前にして短期のドル・ロングポジションはあるていどの調整を経ており、この段階から更なる大幅な調整も期待できそうにありません。

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【EURUSD 予想1.0450~1.0750】
ECB理事会で追加緩和の有無? 追加緩和があった場合のその詳細は? これが今週の最大のテーマです。市場は中銀預金金利-0.2%→-0.3~-0.4%と、2016年9月までのQE期間延長を予想し、現行相場に織り込んでいます。

予想範囲内であれば一時的なEUR売りに限定され、1.0500割れで下げ止まることが予想されます。また、追加緩和がなければ1.0750近辺までの戻りも視野に入ることでしょう。いずれにしても、米利上げ期待が控えており、戻り売り基調は変わらずと判断しています。

【GBPUSD 予想1.490~1.5150】
1.5000の大台を維持できるか? 英国は米国に次ぎ利上げ期待が持て、GBPの潜在的な買い要因となっていますが、ドル全面安の影響も強くGBPUSDの上値は重く、1.6000の大台達成を失敗した6月から、緩やかな続落傾向が続いています。

直近では、1.50~1.55のレンジの下限に近付き何とか下げ止まっていますが、GBPはドルに対して弱く、他の主要通貨で比較的強さを維持しており、この流れがしばらく続くことも予想され、1.50割れを目指すことも視野に入れて考える必要がありそうです。

【AUDUSD 予想1.7100~1.7300】
0.7000を死守し、レンジ相場へ。先の強い雇用統計を境に上昇を続けていますが、0.7300を前にやや息切れしていますが、上値は切り下がり、底値は切りあがり、徐々に収錬してきているようにも感じられます。

豪中銀は政策金利2.0%の据え置きが予想され、スティーブンス豪中銀総裁からは豪州経済では強弱混在する発言が目立ち、サプライズは期待できそうにありません。また、EURAUDは続落傾向が続き、クロスでは豪ドル高傾向が続くことが予想されます。

【USDJPY 予想121.50~123.50】
122円台を死守するも、上値は重い。ユーロ圏と米国の金融政策が為替相場を左右させる動きにやや円相場の関心は薄れています。リスク回避行動による円買いの材料は残り、日銀の追加緩和期待は弱まる中で、補正など財政措置を期待した株高の流れに、円安の材料もまた残っています。

ECBの金融緩和が実現すれば、EURJPYで円高へと動き、FOMCの利上げ期待にUSDJPYでの円売りの基本的な流れは変わらず、強弱混在するなか、しばらくはレンジ相場の流れが続き、次の円安を期待した押し目買いが続きそうです。

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