2019/01/10

2019年1月10日(木)9日、海外市場の動き(午前5時半ごろの動き)

2019年1月10日(木)9日、海外市場の動き(午前5時半ごろの動き)

為替相場はEURUSDが1.15台を上回りドル売りをリードし、FOMC議事要旨後もドル売りの流れは止まらず。欧米株は小幅な上昇にとどまり、米債利回りは小幅ながら低下、原油価格(WTI)は52ドル台乗せへ上昇。

相場を巡る材料は豊富。
①米中通商協議は終了、USTRは「中国による米製品購入の約束を中心に協議」とあり、中国は米農産物の物品購入の拡大を約束。ただし、詳細は不明でインパクトは今一つで、今後の詳細発表が台風の目。
②カナダ中銀は予想通り1.75%の政策金利を据え置くも「追加利上げが必要になるとの認識」に、直後はCAD買が強まる。
③EU離脱協定案を巡る不透明感は強まり「合意なき離脱の可能性」が高まる中、英議会は「離脱案が拒否されると3日以内に代案の提示することが可決」、「閣外協力の北アイルランドDUPはバックストップが削除されない限り反対を表明」。引き続き15日を注目。
④中国は4日の「預金準備率1.0%引き下げ」と、「1160億ドルの金融システムへの資金提供」に続き、人民銀行総裁は「経済への支援を強化する方針」を示す。

為替相場は、米中通商協議の期待感が剥離したとは思われないが、米株の上昇力も弱まり、米債利回りは軟化気味で、ドルは対主要通貨で全面安、特にEURUSD(+0.9%台)、NZDUSD(1.1%超)の上昇が目立っており、クロスでもEURとNZDは上昇。

USDJPYは、109円の壁が上昇を阻み、アジア・欧州市場の108.70~109.00のレンジから、米国市場に入り、EURUSDの上昇がリードしたドル売りの中で、108.70を割り込むと下げ幅を加速し、前日の安値108.45を割り込むとさらにドル売りが強まり108.05でようやく下げ止まる。一時108.40台まで値を戻すも、FOMC議事要旨が発表されると108.05を割り込み、米株が上昇幅を縮める安値を更新しながらドル売りが強まっている。

USDCADは、アジア市場の高値1.3270台から緩やかに低下し、アジア・欧州市場は大枠1.3220~50のレンジで推移。米国市場に入りカナダ中銀の将来の利上げを示唆する発言を受け、一時1.3180まで急落するも続かず。結局は大枠1.3200~50のレンジで推移中。

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【北米】
ブルームバーグ、①複数の関係者は、貿易戦争への懸念で悪化した金融市場を押し上げるため、中国と早期に合意することを一段と強く望んでいる。 ②ホワイトハウス内では、一部の主要経済顧問が市場回復に向け貿易摩擦の早急な解消を主張している。③トランプ大統領は米中双方に利益をもたらす合意を結びたいと公言する一方で、中国は経済減速と株価下落からみて、迅速な結果を米国より強く望んでいると指摘している。

①予定を1日上回る米中次官級通商協議は、終了へ。 ②トランプ大統領はツイートで、中国との協議は非常に順調。米中双方が合意に向け前進していると楽観的。

トランプ大統領、政府機関の閉鎖を解決するには、民主党が国境警備の費用を認めること。

米通商代表部(USTR)は米中通商協議の会見で、①米中は貿易の構成と互恵について協議。②中国による米製品購入の約束を中心に協議、③米農産物の物品の購入拡大を約束、④対中貿易赤字削減を切望と伝えた。

トランプ氏は8日約10分間演説。国境を越えて犯罪や違法薬物が入り込んでいると指摘し「現状を必ず終わらせる」と語気を強めた。国境監視の職員増加などとあわせて、57億ドル(約6200億円)を鉄製の障壁をつくる建設費として認めるよう議会に要求した。

FOMC議事要旨(12月18~19日)は、多数は将来の利上げに忍耐を持つことが可能とし、数人は金利据え置きが好ましいと主張。①「景気拡大が続けば、若干の追加利上げが正当化される」と判断し、19年も2回の追加利上げに踏み切る政策方針を中心シナリオに据えた。また、②「株価下落などで市場が不安定になり、金融環境も引き締まっている」との懸念も共有した。株価下落の原因は「世界景気の先行きへの幅広い懸念」と分析。③一部の参加者は「市場の混乱が続けば企業や家計の支出に間違いなく影響がでる」と実体経済を下押しするリスクも指摘した。 ④多くの参加者は「インフレ圧力は落ち着いており、追加の政策判断を様子見する余地がある」と指摘。市場の混乱が収まらなければ、年2回とした利上げシナリオを棚上げする考えを示した

FOMC議事要旨(12月18~19日)は、FOMC参加者は景気を冷やさず過熱もさせない「中立金利」を2.5~3.5%の幅でみている。議事要旨では「政策金利は中立水準の下限に近づいた」と指摘。先行きの景気不安が拭えなければ、15年末に始まった利上げサイクルを打ち切る可能性もにじませた。

ボスティック・アトランタ連銀総裁は、12月の利上げで金利は中立水準に近づいた。FRBは利上げに忍耐を持つべき

エバンス・シカゴ連銀総裁は、市場の混乱や貿易摩擦により下振れリスクが高まった。

ローゼングレン・ボストン連銀総裁は、金融政策はなお緩和的とし、経済が予想よりも底堅く推移していることが明確となれば、金融市場はいずれ回復するとの見通、追加利上げに踏み切る前に、時間をかけ経済動向を見極めることが可能 

ローゼングレン・ボストン連銀総裁は、①金融市場が利下げの可能性を織り込み始めていることを留意。 ②急いで利上げを続けようとしているわけではない。③現時点で緩やかな緩和状態にあり、その状態にとどまることに心から満足。④バランスシートの段階的な縮小を見込む。

カナダ中銀、政策金利1.75%の据え置きを決定、予想通り。原油価格の低迷や軟調な住宅市場が短期的に経済にマイナスの影響を及ぼすものの、追加利上げが必要になるとの認識を示したことで、一時カナダドル買いが強まる。②成長見通し2018年2.0%、2019年1.7%、2020年2.1%。③2019年の終盤までにインフレ率は2.0%の目標水準に戻る。

カナダ中銀声明は、「理事会は、政策金利を次第に引き上げる必要があると引き続き判断している」とした。これまで「次第に」の文言は使われていなかった。 先行きは、外需や新たな北米自由貿易協定、自国通貨安、投資を狙った連邦政府の税制措置を追い風に、輸出やエネルギー以外の投資が底堅く伸びると見通した。

【欧州】
カーニーBOE総裁は、①最近の金融市場の変動について、英国のEU離脱だけでなく、世界景気減速や米中貿易摩擦を巡る懸念も要因。 ②EU離脱の影響はポンド安に最も明白にみられたとし、無秩序離脱は一段のポンド安につながる恐れがある。 ③最近では、英EU離脱を巡る不透明感が英国に特化した株式や銀行の資金調達コストなど他の資産価格にも影響を及ぼしつつある。

カーニーBOE総裁は、①為替相場の動きは金利が適切な道筋にあるかどうかを示す一つの要素にすぎないと指摘。その上で、ポンドの動きは英物価に持続的な影響を及ぼす傾向があり、そのためインフレ見通しに大幅な影響を与えた。 ②中国人民元が将来的にドルに並び世界の準備通貨となる可能性がある

メイ英政権に閣外協力する北アイルランドのウィルソン民主統一党(DUP)報道官、北アイルランドを巡るバックストップ措置に関する英国の提案は全く無意味であり満足には程通り。

メイ英政権に閣外協力する北アイルランドのウィルソン民主統一党(DUP)は、アイルランドとの国境問題を巡るバックストップ(安全策)が削除されない限り、反対票を投じると表明

英議会は、メイ首相のEU離脱協定案が否決された場合、政府が3日以内に代替案を提示することを求めた動議を賛成多数で可決→ (現行の規定では21日以内に代替案を示す計画になっている)。

英国のリディントン内閣府担当相は、①15日の採決が否決された場合、英政府がEUと新たな離脱案を交渉できると考えるのは妄想。②代替案がなければ、基本姿勢は合意なしでの離脱になる。

【アジア・その他】
新華社は、 中国人民銀行の易綱総裁は、政策の波及メカニズムを改善し、経済への支援を強化する方針を示した。①今月中に発表予定の2018年の経済成長率は6.6%程度と前年の6.9%から減速する見通し。→ (人民銀行は4日、銀行の預金準備率を1%ポイント引き下げ、景気減速が加速するリスクを抑えるため、新規融資向けに1160億ドルの資金を事実上、金融システムに供給する措置を講じている)

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