2019/04/28

今週の為替相場を考える(4月29日~5月3日)

今週の為替相場を考える(4月29日~5月3日)

日本の連休でどこまで円高に持ち込めるか? それとも失敗し杞憂で終わるのか? 過去に例のない10連休突入に当たり、周囲は年始の円高の再来を期待する声も多い。しかし、連休中には米国発のFOMCと雇用統計の2大イベントの結果でいかようにも変化することを前提にして考えてほしい。

米利上げ期待度の変化やトランプ政権担当者の利下げ支持発言は止まらず、ドル売り材料となっている反面、現実は他の主要国は脛に傷を持ち、経済は期待ほど強さが見られず、「不美人コンテスト」の結果がドル買いを選択させている。

10年債を比較すると、米国は昨年末の3.2%台をピークに2.5%割れまで続落する一方、独は2016年9月末以来となるマイナス圏へと再突入し、日本は今年に入りマイナス圏で推移。金利差を比較すると米日2.54%、米独2.52%とほぼ同水準。金利差が為替相場を動かすと仮定すれば円と独(ユーロ)は2弱通貨となるが、為替相場はそう単純ではない。

USDJPYは、112.20~30の上値をブレークするも、112.50の壁を超えられず結局は失速。別に112円台が円安過ぎる水準とは考えられないが、拘束力の有無は別として、日米通商協議で為替条項が組み入れられる可能性に、円安方向が加速することを抑えたいと考えている当局の魔の手をどうしても意識してしまう。 

連休中に一部の投機筋が期待している円高のフラッシュクラッシュの有無は不明ながら、仮に円高が進むとしても最近の本邦機関投資家の運用スタンスを見れば円高になれば外債を購入したいと考えており、円高抑制圧力となりそう。

考えかたはそれぞれで特に否定するのではないが、東京市場で個人投資家の取引は、現時点の地合いの良し悪しは別として、キャリートレードではTRYJPY、ZARJPYがメインで、AUDJPY、CADJPYなどの取引も興味があることだろう。

EURJPYが、または、GBPJPYがテクニカルに「売りだとか買いだ」と判断することも必要で否定はしないが、EURJPYは「EURUSDとUSDJPY」の合成、GBPJPYは「GBPUSDとUSDJPY」の合成で作れることを考えれば、USDJPY相場が動かねければ、EURUSDの上下変動の結果でEURJPYが動くことは理屈上では間違いない。現時点でEURUSDもEURJPYも底値が見えてこない。

話がそれたが、今週の為替相場を考えたい。


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USDJPY 予想レンジ (円高時は、110.70~112.50、円安時111.20~112.80)

112.50を目指し失敗した反動は、日本の10連休前にしたタイミングを考えれば影響は大きいと言わざるを得えず。200日MAの111.50近辺で落ち着いたが、どちらの方向に動きが加速するのか? Dailyベースでは円高は最大110.70、円安目標は先の高値112.50。投機的な円買いが過度にたまった場合には逆に112.50を上抜けることも意識。

テクニカル分析では、Daily、Weekly、Monthlyベースで円安方向を示しているが、相場感では政治的な圧力を背景に極端は円高も考えにくい。

FXオプションではUSDJPYは円高期待が弱まる傾向が続く。3か月のリスクリバーサルは先週のドルプット1.08→1.28とドルプットが小幅拡大し再び円買いへ。

IMMポジションは、ネットショートポジションは変わらず、前週比では、円換算のドルのロングポジションは約42.33億ドル→105.51億ドル(約63億ドル)相当で、円ショートが拡大していることになり、昨年12月24日の112.8億ドルに次ぐ数字となっている。


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EURUSD 予想レンジ (1.1100~1.1180)

Dailyベースでは1.1200を割り込み売り圧力は止まらず。Weeklyベースでも2017年6月の水準へ逆戻り。今週はECB理事会を前にして年内の利上げ期待の可能性は薄く、イタリア、スペインと政局不安、ブレグジットの行方も気なる。

テクニカル分析では、Daily、Weekly、MonthlyベースでEUR安方向を示している。Weeklyでは8週にわたり200日MAを終値ベースで上回ることはできず、弱さが目立っているが、4Hベースでは1.1100をボトムにやや反発気味。

FXオプションではEURUSDは前週比0.00→0.55とユーロプットが拡大し、先安観がやや強まっている。

IMMポジションは、ネットショートポジションは変わらず、前週比では再びショートへと傾き、この流れは今のところ止まりそうにない。

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