2019/04/07

今週の為替相場を考える(4月8~12日)

今週の為替相場を考える(4月8~12日)

最近では相場への影響力も今一つでオオカミ少年ぎみになっているが、トランプ大統領のFRB批判と、利上げ停止でも不満強めている現実がある。4/3日のWSJ紙では、トランプ氏は「ここ1週間だけでも3度の会合で、上院共和党議員や支持者、スタッフらに対し、FRBおよびパウエル議長に対する不満をぶちまけた」とある。「FRBの利上げがなかったら、経済成長率や株式相場は現在よりも高い水準にあり、財政赤字はここまで膨らんでいなかった」とぼやく。 

そして5日のロイターの記事では、トランプ大統領は「FRBは利下げすべきで、量的緩和の引き締めも中止すべき」とぼやく(ただし、米経済指標はすごく非常に良いと発言!?)。お目付け役のクドローNEC委員長は、「トランプ大統領はFRBの見解を述べているだけ」と言いながらも、クドロー氏本人は「インフレは見られず利上げも必要なく、FRBは利下げが可能」と、結局のところFRBに圧力を加えているようにしか見えない。

本題に戻ることにしよう。今週の為替相場にとって重要で継続している材料としては相変わらず、①米中通商協議の行方、②ブレグジットの行方、③米経済指標の結果を受けた米金利の動向、③世界的な債券と株価の動向、④中国経済の動向、などではないだろうか!

①米中通商協議の行方は、北京、ワシントンで米中閣僚級会議を経ながらも合意に至らず、今後4週間(または、+2週間)の時間が必要との報道もある。米中間では今週も電話会談を継続するが為替相場への影響は考えにくい。

②ブレグジットの行方は大詰めを迎えている。10日のEU臨時首脳会議がタイムリミットとなり9日までにメイ首相は離脱の方針を決めなければならない。そのためには議会の承認が必要となり、先週は最大野党のコービン労働党党首との会談が注目されたが結論は出ず。今日、明日で結論をだせるのか? 3日はEUから「合意なき離脱」を阻止する法案を1票差で可決しており、これだけはないことは確か!

③米経済指標の結果を受けた米金利の動向は、先週の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加(ただし、製造業は減少)と平均時給の低下(ただし、時間当たり賃金は上昇)と強弱混在する結果となった。直近のFRB理事や連銀総裁からの発言でも、今後の金融政策に対しての見方がタカ派・ハト派に意見が分かれているが、つまるところ今後の米経済指標の結果次第で、今週の米消費者物価指数が重要となる。予想は前年比2.3%(前回1.5%)と上昇が期待されているが、すでにある程度は織り込み済み。

③世界的な債券と株価の動向は、3月に入り低下し7日のハト派のEUR理事会を受けて世界的に続落していた債券利回りも、3月27日をボトムに反発傾向にある。一方、ダウは直近では3月25日をボトムに上昇し、先週は高値を更新している。共にリスクセンチメントの回復=リスクヘッジ通貨の円にとっては円安材料で、リスクに敏感なAUD+NZD等の通貨にとってプラス材料。

④中国経済の動向は、もちろん劉中国副首相が望んでいる早期の関税撤廃となればセンチメントは急回復することは間違いない。あと、4週間(+α)の結果を見守る以外ない。一方、先週発表の中国発の景況感指数は予想外に改善していることもあり、リスクセンチメントの回復が期待されており、今週発表の中国消費者物価、貿易収支の結果でどう変化するのか?


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USDJPY (予想レンジ 111.40~112.20)

◎市場センチメントは3月上旬までの円先高期待が裏切られ、直近の材料は円売りに偏っているが、112.20近辺を直ぐに、本当に超えられるのか? 今一つ自信が持てない。 この水準を達成できるか否かで今後の動きを判断することにしたい。それと、10日のEU臨時首脳会議の結果によるGBPJPY相場の影響も今一つ不明。

→ 株価上昇と米債利回り上昇のリスクセンチメント改善+日米金利差拡大の円売り要因。4月15日~16日の日米通商協議を前にして思惑による相場変動(円安に動きにくい)。
→ IMMのポジションからは、円ショートで変わらないが増加幅は減少。
→ FXオプションからは、USDJPY 3m 25delta Risk Reversal (21:30時)の先週末比では、1.48→1.28とドルプットが低下し円安相場を追認。
→ 200日MAは、111.486と再度この水準を上回り円売り圧力が続く。→ システム的にはオシレーター&移動平均線と円売り傾向を示唆。

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EURUSD (予想レンジ 1.1180~1.1330 )

◎先週は大枠1.1180~1.1260のレンジを抜け出せず。3月7日のECB理事会のサプライズで急落したEUR相場、4月10日にはそのECB理事会があり、予想外のタカ派で、EU臨時首脳会議で明確な結論が出れば、拡大傾向にある投機的ショートポジションの巻き戻しの可能性も! それ以外でユーロ買材料を探すのは難しい。

最近でもドラギECB総裁からはハト派発言が目立つ一方、ECBメンバーからは追加緩和に懐疑的な意見も。ただ、ドイツ・イタリアの経済鈍化が頭痛の種で、独5大研究所は今年の成長率予想9月時点1.9→0.8%と大幅に下方修正し、報道では今年のイタリアGDPは0.3~0.4%とある。

→ IMMポジションからは、ユーロショートは拡大傾向にありEUR先安感は強い。
→ FXオプションからは、EURUSD 3m 25delta Risk Reversal (21:30時)の先週末比では、0.42→0.30とEURプットが低下しているが3月20日の0.08を直近のボトムを上回りユーロ先安感は変わらず。
→ 200日MAは1.1460と相変わらず乖離が大きく売られ過ぎとも思われるが、この傾向が変化するには相当な時間が必要となる可能性も。
→ システム的にはオシレーター&移動平均線とEUR売り傾向で変わらず。

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AUDUSD (0.7050~0.7200 期待を込めて)

◎3月11日以降は、大枠で0.7050~0.7150の100ポイントレンジ。この状態から今後をどう判断したらいいのか? 中国の経済指標の好転、だらだらしている米中通商協議の何等かの合意待ち、相変わらず期待感はAUDの反発なのだが? 4月2日の豪中銀声明で「基礎的インフレ率は今後2~3年で徐々に持ち直すと予想されるが、以前の予想より少し時間がかかる。政策スタンスを変更しないことが適切だったと判断」と相場変動要因にならず。

→ IMMポジションからは、豪ドルショートは若干拡大傾向にあるも、積極的にショートを積み増ししているようには見えず。
→ FXオプションからは、AUDUSD 3m 25delta Risk Reversal (21:30時)の先週末比では、0.85→0.75とAUDプットは低下しており、先安感が強まる傾向にない。
→ 200日MAは0.7203と引き続き乖離幅は大きく、直近では75日MA近辺を上限に上げ渋っている。
→ システム的にはDailyで買い、Weeklyでは売りと異なる。


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