2017/11/12

今週の為替相場を考える(11月13~17日)

今週の為替相場を考える(11月13~17日)

今週こそはレンジ相場を脱却できるか? 相変わらず主役は米税制改革案の行方、準主役は主要国CPI、GDP、雇用統計と発表と要人発言。

税制改革案では、共和党が上下両院で異なる法案を提出。下院は法人税率を2018年以降に35→20%に引き下げ、所得税の最高税率を据え置き、今週中の可決を目指している。一方、上院の共和党は財政赤字の拡大を抑えるため1年先送りし2019年を目指し、所得税の最高税率を引き下げへ。

結果、クリスマプレゼントにしたいと言っていたトランプ大統領は議会と協力すると発言するも、今後の進展次第では米株や債券、そして為替市場に影響を与える可能性が高い。最近の米株は最高値を更新しながらもやや伸び悩み傾向にあり、ラッセル2000の小型株指数は直近では10月3日の高値1,511.97→先週末は1,475.27まで低下しているのがやや気になっている。

いずれにしても翌週23日は、米国市場は勤労感謝の日で休場、例年はこれを境にクリスマスムードが高まり相場変動が強まるケースが多かった。また、11月決済の大手ファンド筋はポジションの解消や取引を控える動きが強まることで相場が変動することも多々あり、レンジ相場から抜け出せないでいる為替相場の変動を期待したくなる。

今週の主な材料でも記載しているが、今週は重要な経済指標や発言が多い。CPI(米、独、英、仏、ユーロ圏、カナダ)、GDP(独、イタリア、ユーロ圏、日本)、雇用統計(英、豪)。発言では、イエレンFRB議長、ドラギECB総裁、カーニーBOE総裁、黒田日銀総裁、そのた多数。


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まず、現在の譲許を確認してみよう!
為替相場では、USDJPYは大枠で113.00~114.50(150ポイント)のレンジを3週間続け、EURUSDは1.1550~1.1700(150ポイント)を2週間続け、AUDUSDは0.7625~0.7725(100ポイント)のレンジを2週間続けている。GBPUSDは若干遠目で見る必要があるが、大枠1.3050~1.3300(150ポイント)のレンジを5週間続けている。

例外としては、NZDUSDは3週間前の0.6818ボトム→0.6980(約160ポイント)まで上昇、USDCADも3週間までの高値1.2917から1.2685(約230ポイント)まで下落しドルに対して強さが目立っている。とはいえ、全ての通貨ペアは総じて動きは緩慢で、USDCADを除き150ポイント・ルールが続いている。

債券利回りは、米10年債は3週間前の2.47%台を高値に、先週は一時2.30%台までの低下から週末末に2.4%まで一機に上昇へ。米2年債は1.65台を維持し過去10年来の水準まで上昇傾向が続き、長短金利差のフラットニング化が続いている。

株式市場は、先週の日経平均株価は3日間連続で下落、ダウは2日連続で下落、欧州株は弱さが目立ち、独DAXは過去5日間で4日下落、英FTSE100も過去5日間3日下落しており、市場のセンチメントは株価下落への警戒感と上昇期待と二分されている。

金融政策では、米国では次期FRB議長にハト派のパウエル氏が本決まりとなり、先の11月1日のFOMCで年内の利上げを検討とあり12月の利上げは織り込済みで、来年には2~3度の利上げを期待。英国では11月2日にBOEは10年ぶりの利上げを開始。ユーロ圏では12月26日にECBは来年1月から資産買い入れ枠を600→300ユーロ減額し9月まで延長。ただし、日銀は緩和策を継続中。本来ならば金利差拡大に円安傾向が期待されるも、現実の円相場はレンジで上下共に動かず。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】



◎USDJPY【予想レンジ 112.30←113.00~114.20→115.00】


USDJPYは、いつみても同じ水準にあり、113円に向かうとドルベアになり、115円に近くづくとドルブルになるが共に失敗。他の主要通貨は緩和策の縮小を開始し、緩和策を継続する日本との金利差拡大=円安を期待したくなるも、米税制改革案の不透明性、日米通商問題を気にした円高への動き、株価下落への警戒感、北朝鮮リスク(最近は忘れ気味)、それと今までのドル高期待による積みあがった投資家・資本筋のドルロングポジションの巻き戻しが上値を抑えているように思える。

結果、USDJPYの相場はブル派・ベア派に二分され流れも共に自信を持ったポジションは持てず、短期取引が主流となり結果さらにレンジ相場を継続。ただし、翌週23日は米国市場が勤労感謝の日で例年では相場の変化が強まり、米税制改革案の結果も見え始めることでレンジ相場を抜け出すことを期待したい。また、15日の日本のGDPの結果で短期的な変動も期待できそうで、他の主要国で発表されるCPIやGDP、雇用統計の結果で、円クロスだけは上下変動するリスクは高そうでもある。


DailyチャートのBBは、Basis=113.48、Upper=114.65、Lower=112.31とBasis近くで推移。

DailyチャートのStoch RSIは、K=17.97 D=36.45と、若干売られ過ぎゾーンにあり、ドル売りを継続。

DailyチャートのMAは、短期線が長期線を上抜け買いを継続中、200日MA終値ベース=111.74と乖離幅は引き続き大きい。36日MA終値は113.02、高値ベースは113.39、安値ベースは112.65にあり、この水準がボトムラインへ。

IMM通貨先物では、10日(金)米国は祭日のため発表はなし。

USDJPYオプションのリスクリバーサルではロンドンベースで、1週間は前週-0.30→-0.70%、1か月でも-0.55→-0.8%と円コールが拡大、円先高リスクがやや強まっている。

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◎EURUSD【予想レンジ 1.1550~1.1750】


EURUSD は、10月26日のECB理事会で、資産買い入れ額を半減させ、QEを9月まで延期し緩和策の継続を示唆したことで独債利回りは低下し、EURUSDは1.1830台→7日は1.1550台まで続落するながれが続いていた。しかし、最近では米税制改革案の不透明性に加え、先の理事会でクーレ理事、バイトマン独連銀総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁が、インフレ率が上昇しなくても購入終了を可能にする余地のある提案を支持との報道や、欧州委員会の秋季経済予測ではユーロ圏の成長拡大ペースを示し、ECB経済報告では2017年の堅調な経済成長が続くことを予測。欧州発の経済指標も強さが目立っている。

このことが材料となったかは不明ながら、7日のボトム1.1550台→先週には一時1.1670台まで値を戻し、週終値ベースでは継続的に1.1600台を維持しているが、1.18の大台を回復し安定的に維持できるまではボトムアウトの確証は持てず。もちろん、米税制改革案の行方や、ドラギECB総裁発言、ユーロ圏各国のGDPやCPIの結果がEURUSD相場を左右させることも間違いなさそう。


DailyチャートのBBは、Basis=1.1691、Upper=1.1858、Lower=1.1525。

DailyチャートのStoch RSIは、K=38.03、D=23.67と、売られすぎゾーンにあるが買い変化へ。

IMM通貨先物では、10日(金)米国は祭日のため発表はなし。

EURUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで1週間が前週0.00→0.00%と変わらず、1か月は0.15→0.10%へ低下、3か月は0.10→0.10%と変わらず。ただし、9か月-0.05→+0.05、1年0.00→+0.10%と10月13日の週以来、若干ながらユーロコールへと変化、長いところの上昇が気になる。

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