2017/11/19

今週の為替相場を考える(11月20日~11月24日)

今週の為替相場を考える(11月20日~11月24日)

今週のテーマは、米感謝祭突入の薄商いの中で、FOMC議事録、米税制改革法案の行方、そして、ポジション調整の動きと株価。

今週23日(木)は米国が感謝祭の休日で、翌24日(金)は感謝祭の翌日(ブラックフライデー)となり米株と債券市場は短縮取引となり金融市場も23日、24日はお休みムードが強まることが予想される。感謝祭からクリスマス・年末商戦がより活発となり、23日~26日まで4連休となる米市場参加者も多いという。この時期の小売売上高の増減が米株相場へ影響を与え、ドル相場にも影響を及ぼす可能性も高い。

今週は数少ない経済指標や発言、金融政策の発表の中で、22日のFOMC議事録が最も注目される。ただし、期待される12月13日のFOMCの利上げ予想に変化を与えることは考えにくく、来年の2~3回の利上げ期待を再確認できることが予想され、予想外のサプライズが期待していない。

米10年債と連動性の高いUSDJPYは債券利回りの低下(米2年債は上昇)。と株価の調整局面に円高傾向が続いている。例年11月に強まるポジション調整の流れもあり円は買い戻され、資源価格の低下や株安の流れもあり弱いリスク回避の流れに豪ドル、NZドル、カナダドル売りの流れも続いているが、今週も動きが続くのかも注目したい。

最近の傾向としては米国の税制改革法案の行方により相場が変動することが多い。USDJPYが113円を超えて114円台まで上昇が始まったきっかけとなったのも、米上院が2018年度予算の大枠となる予算決議案を可決した日から始まっている。その米税制改革法案は、先週に米下院は共和党の税制改革法案を可決、上院では難航することが予想されるも、年内実現の可能性も残っており、この動きも注目する必要がある。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


◎USDJPY【予想レンジ 111.30-50~113.00】

USDJPYは「レンジ相場が続くどこまでも!」 と、思われたが113~114.20のレンジの下限を割り込み111.95まで一時下落と、円ブル派にとっては「してやったり!」と思っていることだろう。

11月6日の衆議院選で与党圧勝の結果を受けて上昇した114.74を高値に続落し、テクニカル的には上値と下値が切り下がるドル売り傾向が続いていた。反面、米利上げ期待に伴う日米金利差の拡大や米税制改革法案の可決を期待したドル買いも根強く底堅い面もあった。結果論となるが円ショートが大幅に積みあがった結果の反動と思われる。

また、先週の円高局面ではAUDJPY、NZDJPY、CADJPYの売りなどリスク回避と円ショートの巻き戻しにクロスでの円買いも引き金となっているが、他の主要国で円はそれほど上昇していないことも特徴の一つとなっている。

今週は111.30~50がより重要なポイントで、株価の続落や米債利回りの低下などのリスク回避の流れが続かない限りはこの水準近くをボトムと考えたいが、上値は113円台が重くなっていることも事実で、今週も円ショートの巻き戻しが継続するのかを注目したい。


DailyチャートのBBは、Basis=113.57、Upper=114.53、Lower=112.60と下限を割り込んでいる。

DailyチャートのStoch RSIは、K=3.07 D=6.02と、完全に売られすぎゾーンにあり変転する可能性も。

DailyチャートのMAは、36日線が200日線を上抜けし買い継続で長期的な買いの流れは変わっていないが、36日線を日足が割り込み中期的に売りへと変化している。200日MA終値ベース=111.75円で日々終値との乖離幅はなくなり、200日MAの安値111.32、終値111.75、高値112.18の各ポイントが重要となる。

IMM通貨先物の前週比では、【円】-127,848→-135,999(-8,151)と、円の一人負け状態は変わらず、昨年11月29日以降では最大のショートポジションが積み上がっていたことが要因となり、先週末にUSDJPYが112.30~50を割り込み円急上昇の要因となった可能性もある。

USDJPYオプションのリスクリバーサルではロンドンベースで、1週間が過去2週間で-0.30→-0.70→-0.85%へと拡大し、円先高リスクが高まっていることがわかる。1か月-0.80→-0.90%、3か月も-0.90→-1.10%とドルプット・円コールが拡大し、各期間で円先高感が強まっていた。


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◎EURUSD【予想レンジ 1.1730~1.1850】

EURUSD は、11月14日の独GDPは労働日数調整後・前年比2.8%(予想2.3% 前回2.3%)と大幅に上昇したことを受け1.1800の大台を達成したことで大きく変化。この水準は、10月26日のECB理事会で資産買い入れを半減しながらも、期間の延長と緩和スタンス継続にEURUSDの下落がスタートした水準で、先週は1.18台前半まで全戻しとなった。

1.1800の大台を高値とする流れは9月25日から長期間続いていることもあり、売り圧力は強いが、先週は大台達成後で1.1750を割れることもなく逆に、USDJPYと同じく資源国通貨に対して上昇し底堅い値動きとなっている。

DailyチャートのBBは、Basis=1.1683、Upper=1.1835、Lower=1.1531で、Upperの1.1835を一時上回っているが総じてこの近辺を高値とした取引が続いている。

DailyチャートのStoch RSIは、K=93.53、D=79.50と、買われすぎゾーンにあり警戒感がある中で買いの流れを継続中。

IMM通貨先物の前週比では、【ユーロ】85,455→84,586(-869)と、5月9日から28週ロングポジションを継続中ながら、ネットロングポジションは8万コントラクトの水準から付かず離れず、積極的なユーロロングも感じられず。逆に考えればポジションの巻き戻しによるEURUSDの下げも大したことはなく、逆にEURの買い材料には反応できる余力も残る。

EURUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで1週間が前週0.00→0.45%へ拡大、1か月も0.10→0.50%、6か月は-0.10→0.25%へEURコールへと変化しより長いところもEURコールが拡大しており、EURの先高リスクが高まっている。


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◎GBPUSD【予想レンジ 1.3100~1.3300】

先週序盤はメイ英首相に対する不信任が高まるとの報道とブレグジット交渉の難航から始まるポンド売りに1.31を割り込む動きも見られたが、終わってみれば続かず政治ネタが以外に継続性がないことが改めて実証されており、コアレンジ1.3100~1.3300の継続が予想される。

15日の英雇用統計では前月の賃金が上方修正され一時ポンド買いが強まるも続かず、逆に雇用者数変化2年来のマイナスでポンド売りが強まるなど複雑な動きが続き、カーニーBOE総裁からは「もし経済成長が予想通りなら、次の数年の間に複数回の利上げをすることとなるだろう」と引き続き、利上げを期待する発言はポンド買いの材料ともなっている。

英国のEU離脱交渉は、12月14~15日のEU首脳会議が焦で、トゥスクEU大統領は17日にメイ英首相と話し合いをし、離脱に伴い支払う清算金と、アイルランド国境の問題を12月初めまでに進展することを求めており、この交渉の行方が相場変動の材料に使われやすい。

DailyチャートのBBは、Basis=1.3168、Upper=1.3280、Lower=1.3056で、先週は大枠でBasisとUpperのレンジ内での取引が続き、10月27日以降でも、LowerとUpperのバンドをレンジとした取引を継続中。

DailyチャートのStoch RSIは、K=45.13、D=55.08と、ニュートラルゾーンにあり上下共に動き安くなっているが、直近のレンジを大幅に抜け出す可能性も弱いと思われる。

IMM通貨先物の前週比では、【ポンド】-9,198→-4,533(4,665)と、ネットでは唯一前週比でロングが拡大。最近のポンドはネットでロングとショートが交互に現れることが多くポジションも軽い。市場参加者のポンド相場の先行き不透明感が強いことが推測できる。

GBPUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで1週間が前週-0.10→-0.40と11月3日の週-0.40%へ逆戻り、1か月は-0.30→-0.55%、3か月も-0.55→-0.70%とGBPプットが拡大、長いところもすべてGBPプットが拡大し、GBP安リスクが高まっている。


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◎AUDUSD【予想レンジ 0.7500~0.7650】

中国の成長力が弱まってきた影響や最近の株安の流れや資源価格の下落にリスク通貨売りが続き、年末を控えたキャリートレードのAUDJPY(含むNZDJPY)ロングの切りが続き6月23日の安値近辺まで続落していように思えてならない。

ターンブル豪首相の支持率が過去最低となり、豪雇用統計で失業率は低下するも、就業者数は予想を下まわり、労働参加率は低下となったことも売り材料にされていたが、サイコロジカルには0.7500を維持できるかが重要となっている。

DailyチャートのBBは、Basis=0.7666、Upper=0.7779、Lower=0.7553で、先週は大枠でBasisと下限がきりさがりながらもLower近辺をボトムとした取引が続いている。

DailyチャートのStoch RSIは、K=26.72、D=55.82と、ニュートラルから売られすぎゾーン近くにあり、売りを継続中。

IMM通貨先物の前週比では、【豪ドル】45,437→44,032(-1,405)と、6月20日の週から22週連続でロングポジションを維持しているが、ロングポジションの積み上げは見られず。直近では7週連続し前週比でマイナスとなり先週末のAUDUSDは6月下旬の安値水準まで低下へ。

AUDUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで過去2週間を見ると-0.50→-0.30→-0.40%、1か月も-0.45→-0.40→-0.45%と、長いところを含めて大きな変化は見られず、相変わらずAUDプットが続いており、AUD安リスクが続いている。