2017/11/05

今週の為替相場を考える(11月6日~10日)

今週の為替相場を考える(11月6日~10日)

今週は、日本発の材料ではトランプ大統領が来日し、日米通商問題と北朝鮮問題がどのように発展するのか気がかりな週です。

海外では重要なイベントが比較的少ない週で、引き続き米国の税制改革案とスペイン・カタルーニャの問題の推移が材料となり、トランプ大統領は11月23日の感謝祭までに議会での可決を目指し、ラホイ・スペイン首相は12月21日に総選挙を実施する予定で、今週はともに成り行きを見守ることになりそうです。

世界的な緩和縮小の流れは止まらず。FOMCは12月の利上げをほぼ確実にし、来年の0.25%の利上げ期待も2回→3回へと変化し始め、BOEは10年ぶりに利上げを決定、2020年まえに2度の追加利上げを示唆。ECBは資産買い入れ額600億ユーロ→300億ユーロへと減額決定。

日本では日銀が「ステルス・テーパリング」と呼ばれている見えない緩和縮小に本当に動いているのでしょうか? 伊藤コロンビア大学教授は「国債買い入れ80兆円をめどと言っているが、実質60兆を切り50兆を切る状態で、いわゆるテーパリングがすでに日本では起きている。出口に向かう準備はできている」と発言しています。

株式市場では、独、英、米株も過去最高値を更新し、日経平均株価も21年4か月ぶりの高値へと上昇するなど、世界的に株価は上昇中。米10年債は2.5%を超えられず伸び悩んではいますが、2年債利回りは一時1.63%と9年ぶりの水準へと上昇しています。

原油価格(WTI)は年初の高値55.24ドルを上回り、55.64ドルで終了し、2015年6月以来の水準に上昇しています。

このような状況を踏まえて、今週に限らず今後の為替相場の動きを考える必要がありそうです。USDJPYは日米金利差だけを考えれば、米ドルに分があり、織り込み度や意外感を考えれば、円に分がある状況ではないでしょうか? 緩やかなドル高傾向が続き、突然円高になるリスクを抱えているようにも思われます。


(既にお送りしています、今週の主な材料と合わせて見てください)

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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】


◎USDJPY【予想レンジ 113.50~115.00】

USDJPYは、原油価格の上昇、日本以外の主要国の緩和縮小と債券利回りの上昇による日本との金利差拡大、日経平均株価の上昇などの円売り要因は目白押し。逆に、日米通商問題、日銀の金融政策の変化期待や円ショートポジションの巻き戻しなど、潜在的な円買い要因が混在する動きが予想されます。結果、緩やかなUSDJPYの上昇(主要国に対しての円売り)が続き、113~114.50の上限を試す動きが期待できる反面、115円を超えて円売りが加速した場合には、急落するリスクも考える必要がありそうです。

DailyチャートのBBは、Basis=113.14、Upper=114.62、Lower=111.66で、113.15がボトムラインと予想。

DailyチャートのStoch RSIは、K=68.59 D=65.52と、若干買われすぎゾーンにありますが、ドル買いへと変化。

DailyチャートのMAは、短期線が長期線を上抜け買いに変化を継続中、200日MA終値ベース=111.72、高値ベース=112.16、安値ベース=111.28と大きな変化は見られず引き続き乖離幅は大きい。36日MA終値は112.74、高値ベースは113.09にあり、この水準がボトムラインと考えます。

IMM通貨先物では、【円】-116,857→-118,869(-2,012)と、円は、ネットでショートを11.9万弱に拡大し相変わらずショートNO.1の座を維持。昨年11月29日から続くショートポジションでは12万台を超えたことはなく、最近のUSDJPY相場のレンジ相場の動きの一因となっている可能性あり今後の動きを注目しています。

USDJPYオプションのリスクリバーサルではロンドンベースで、1週間は前週-0.50→0.30%、1か月でも-0.70→-0.55%と低下、前週に続き円コールが縮小し円先高リスクが後退。

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◎EURUSD【予想レンジ 1.1480~1.1750】

EURUSD は、ECBが10月26日の理事会で資産買い入れを半減することを決定したのですが、9月まで延期して必要があれば更なる延長を示したことで市場の判断はEUR売りへ。今週はカタルーニャ自治州の独立問題は不透明で12月21日の総選挙まで波乱要因が続きEUR売り材料として残りますが、1.15~1.750のレンジの下限を一時的ではなくクリア(継続的に)抜けることができるかを注目しています。

8月末から政治家やECB当局者からユーロ高を懸念する声が高まり、ECB理事会議事録からもそれが読んでとれます。EURUSDは8月から9月までのユーロ高の影響もあり、10月のユーロ圏CPIは1.5→1.4%、コア1.3→1.1%へ低下、独CPIも1.8%→1.5%へ低下しています。EURUSDは1月の安値1.0340→9月上旬には1.2092まで17%近く上昇し、先週末には1.1607まで約4%近くユーロ安に変化したことで、通貨高による弊害も弱まっているようにも思われます。

DailyチャートのBBは、Basis=1.1739、Upper=1.1907、Lower=1.1572。

DailyチャートのStoch RSIは、K=22.38、D=19.85と、売られすぎゾーンにあり買いへと変化。

DailyチャートのMAは、36日MA=終値ベース1.1781を上限に上値は重く抑えられ、200日MA=1.1266と長期的な上昇傾向を引き続き維持。


IMM通貨先物では、【ユーロ】83,504→72,097(-11,407)と、ユーロは、ネットでロングNO.1の座を維持しながらも、7.2万台へと3週連続し前週比で減少しEURUSD相場でも売りの流れが続いています。5月9日にショートからロングへ変化してからは、10万台を上回ったけたことはなく、逆に10月10日の9.8万台をピークに減少中です。一方の下限もピーク達成後は6万台を割り込むこともなく注目しています。。

EURUSDのオプションのリスクリバーサルは、ロンドンベースで1週間が前週0.00→0.00%と変わらず、1か月は0.10→0.15%、3か月は0.15→0.10%と、ユーロコールの伸びは見られず、ユーロ先高リスクが弱まった状態が続いています。

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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2850←1.3000~1.3300】

GBPUSD1.30~1.35のレンジの下限に近づきあり、1.300台でサポートできるか注目。BOEは11月2日の金融政策委員会で10年ぶりに予想通りに0.25%の利上げを決定、2020年までに2度と市場予想より緩やかな利上げの可能性を示唆し、ポンド売りの材料となりました。

カーニーBOE総裁は記者会見で、「ポンド急落でインフレが高進して消費支出に影響し、今年の経済成長ペースは鈍いく、賃金上昇水準もインフレ動向を下回る」と、ポンド安による弊害を強く意識していました。一方、ブレグジットの顕著な影響が表れており、政策金利を変更する際に交渉が最大の要因になる可能性が高いとありポンド売りの材料となっています。

GBPUSDは昨年10月のボトム1.1905→9月後半の高値1.3657まで14.7%と大きく上昇したことで通貨安による弊害は弱まっていることが想像できますが、逆に先週末には一時1.30400台まで約4.5%近く下落していることで、通貨安による影響が再燃する可能性も否定できません。今後の経済指標を見守る必要がありますが、仮にポンド安が顕著になるようならそれをけん制する発言の可能性も否定できません。

DailyチャートのBBは、Basis=1.3191、Upper=1.3315、Lower=1.3067。

DailyチャートのStoch RSIは、K=46.63、D=57.02とニュートラルゾーンにあり、売り変化へ。

DailyチャートのMAは、36日MA=終値ベース1.3279近辺を高値に上値の重い展開が続き、200日MA=終値ベース1.2854と引き続き乖離幅は大きいままです。Weeklyチャートでは、36週MA高値ベース1.3257を上限に、200週MA高値ベース1.3061、終値ベース1.3007がボトムになるか重要。

IMM通貨先物では、【ポンド】-1,485→1,245(2,730)と、ポンドは、9月26日に98週続いたショートからロングへ転換してからも、ロングとショートの変化が続き方向性は定まらず。GBPUSDも他の主要通貨に比べれば安定的。

GBPUSDのオプションのリスクリバーサルでは、ロンドンベースで1週間が前週-0.30→0.40%、1か月も-0.40→-0.45%とポンド安リスクが拡大中。

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