2018/09/09

今週の為替相場を考える(9月10~14日)

今週の為替相場を考える(9月10~14日)

先週の強い米雇用統計に年内2度の利上げの可能性が高まり、株価は伸び悩む中で、米10年債利回りは2.90の壁を突破して8月上旬の水準となる一時2.95%近くまで上昇、2年債は7月後半の高値水準を上回り一時2.7%台までと高値を更新しています。「米金利の上昇=ドル高』の連動性が強まる中、今週もドル高傾向が続くのでしょうか?

先週は、豪株、MSCI、英FTSE、上海総合、など、8月に入って株価の下落が顕著で、通貨安も連動した動きとなっており、今週も主要通貨の株価には目が離せません。

相場全体では、米中貿易問題がリスクとなり、中国株と新興国通貨と株価は弱く、関連性の高い豪ドルとNZドルも株安を含め弱さが目立ち、米カナダのNAFTA再交渉が長引きカナダドル売りも目立っています。これらの通貨は通商問題が改善傾向に向かえば買い戻しが強まることが予想されますが、現状ではその判断ができないでいます。

先週から継続中の懸念材料は多数後を引き、13日(木)には豪雇用統計、独仏CPI、BOE・ECB・トルコ中銀が金融政策を発表と、重要なイベントも多数控えており、今週一週間を通じて相場変動が高くなることは間違いなさそうです。

その懸念材料ですが、我々日本にとってどうしても意識せざるを得ないのは、6日の「Trump Eyes a Japan Trade Fight」 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のコラミスト、フリーマン氏の記事で、トランプ大統領はまだ日本との米国貿易の条件に悩まされているようで、日本のリーダーとの良好な関係を説明したが、『もちろん私が彼らに対し、彼らがどれだけ支払う必要があるか告げた途端に終わるだろう』と付け加えたとあります。

そして、7日のトランプ大統領が大統領専用機エアフォース・ワンで記者団に「実は日本側から接触があり先週やってきた』とあり、日本と貿易交渉を始めたことを示唆しています。仮に物別れに終われば、日本側が「一大事になることを認識している」とありました。9月25日に調整しいるといわれる日米首脳会談で何等かの答えが示される可能性も考えられます。ドル高傾向の中で、リスク回避の円買いにドル円相場も小康状態を保っていますが、貿易問題で日本が当事国にでもなれば円買いが加速するリスクも気になります。(表面化するまでには米中問題などが片付くことが必要で時間がかかりそうです)

次に気になるのは、ワシントンポスト紙は9月5日に11日発売で 著名ジャーナリストのウッドワード氏は「トランプ米政権の内幕を描いた著書」の抜粋し「有害で危険な行動を防ぐため側近が時に大統領の指示を無視する状況」を描写とのことです。NYタイムズはトランプ氏の批判記事(暴露記事)を掲載し「多数の高官が大統領の言動の危うさを認識し、一部の政策の実現を阻止し画策してきた」、「大統領の罷免措置を検討するも、憲法の危機を恐れ思いとどまった」とありました。トランプ大統領は犯人捜しを司法省に命令し側近は無実を証明するのに躍起となっているようです。11月の米中間選挙前の醜い戦いが短期間で収まるのでしょうか? 

米国の対中追加関税2000億ドルに関して6日期限のパブルックコメントは5914通の意見がありましたが、本当に精査するつもりがあるのでしょうか? 現状は「中国の出方待ち状態」で、態度を軟化させない中国に「私が望めば2670億ドルの追加関税を直ぐに発動する用意がある」と脅しを連発。中国側の出方待ちで水面下の交渉中であることは間違いありませんが、米中貿易戦争の拡大リスクを軽減できるのでしょうか? 続くようならば「ドル高=新興国通貨安+豪ドル安=スイス高+円高』の流れが継続する可能性が高くなります。

NAFTA再交渉も、米カナダは乳製品、メディア企業の保護、紛争解決プログラムの3つの問題で合意に至らず、話し合いが月末まで続く可能性が指摘されている。もし、失敗して合意できない場合、カナダドル売りが強まることになりそうで、メキシコの動きも気になる。

イラン問題、ロシア問題、等々、それ以外でも多数の懸念材料が控えていますが、とりあえずこの辺で打ち止めにします。


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USDJPY 予想レンジ(109.70←110.45~112.00)

高値113.18(7月19日)~安値109.77(8月21日)のレンジ相場が、直近でも8月23日以降では110.38~111.83とドル高傾向が続く中でリスク回避の円買いの影響なのか約150ポイントのレンジ相場が続いており、月足チャートでは三角持ち合い状態が続き、現段階では方向性を示唆するものは見当たりません。

ただ、同じリスク回避通貨のスイスフランはUSDCHFが2週間続落後、先週はようやく下げ止まっており、「米金利の上昇=円安」の相関関係が強い中、円売りが再開するリスクと、日本の貿易問題に焦点が当たり円高へ動く可能性と、相反する材料が控えています。現状ではレンジ相場を継続しながらどちらが先に意識されるのかを見極める必要がありそうです。

ちなみに、USDJPYオプション 1M 25delta Risk Reversal 21:30現在を前週と比較すると、0.95→1.20とドルプット・円コールが拡大し長いところも連動しており、1M=6日1.05→7日1.20と拡大傾向にあり、1W=0.7→1.15と円高リスクを意識した流れとなっています。


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EURUSD 予想レンジ(1.1480~1.1650)

イタリア財政問題も何とか収まりつつあり、GBPUSDの売りがリードするユーロ安もブレグジット交渉でEUの妥協に何とか解決に向けた動きが期待できそうでもありますが、先週末は強い米雇用統計に米金利が上昇しユーロ売りが拡大して今週も迎えています。13日のECB理事会は据え置きでほぼ間違いなく、ドラギ総裁発言はサプライズがない限り大きな変化は期待できそうにありません。

テクニカルでは、1.1800をトップにした動きが続き、中期的には1.1300~1.1800のレンジの継続で変わらず。今週1週間の動きを考えれば1.16台の上値は重くなり、1.1500の大台を試す売りの流れが予想される反面、9月4日の安値1.1530台で下げ止まることができれば1.1650までの上昇も期待できます。

ちなみに、EURUSDオプション 1M 25delta Risk Reversal 21:30時現在を前週と比較すると、1M=0.8→0.95とEURプット・ドルコールが拡大し、1W=0.5→0.6と短期を含め長いところも拡大傾向にありユーロ売りのリスクを意識した流れとなっています。


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AUDUSD 予想レンジ(0.7000~0.7150 または、0.7080~0.7200)

米中貿易問題が激化する中で、0.7130~50で下げ止まっていましたが、先週末の強い米雇用統計で0.7100を割り込み続落中。今週もテーマは米中通商問題の行方で、パブリックコメントを受けて米国は対中制裁の第3弾を発動するのでしょうか? 豪雇用統計もありますが政策金利の変更は考えられず、中国と妥協点を見つけて制裁解除となるのでしょうか? それとも制裁が実行されるのでしょうか? これ次第と言って過言ではありません。

テクニカルには、0.7100をボトムに下げ止まり反発しない限り、サイコロジカルには0.7000の大台を目指す動きが予想されます。ただし、0.7000は重要なポイントどこれをボトムに反発の可能性も期待できそうです。

ちなみに、AUDUSDオプション 1M 25delta Risk Reversal 21:30時現在を前週と比較すると、1M=0.85→1.25、1W=0.6→0.85と、長いところは特に拡大傾向にあり市場参加は、豪ドル安を意識した流れとなっています。


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