2020/09/20

今週の為替相場を考える(9/21~25日)

 今週の為替相場を考える(9/21~25日)


今週は切り口を変えて、7月31日の週から先週末までの8週間の終値ベースのデータで、通貨・債券・株式・原油・金価格の相関関係を見ながら、今週の相場を考えたい。


EURUSD

さすがに為替相場の主役で、ダウや米国を含め主要国の債券利回りの上昇と連動性が高く、「株高=債券利回り上昇=EUR高相場」となっている。ただ、この2週間は株と債券の変動が弱まっており、EURUSDの動きの鈍さもうなずける。


つまり、各国の積極的なコロナ対策によるじゃぶじゃぶの資金やネットビジネス急伸もありコロナ以降の急速な株高を先取りして上昇している株価は、FRBが長期間緩和傾向を続けると明言しながらも、混迷する米大統領選と、コロナワクチンの開発度合いを見定めなければ、積極的に動けないということではないだろうか? その結果、EUR相場の先行き見通しでは、強気派と弱気派に分かれている。


FRBが長期間低金利政策を打ち出したことで、ドルの長期下落を期待するも、EURUSDが1.20の大台を達成してからは、レーンBOEチーフエコノミスト、デギンドスECB副総裁ら多数からユーロ高を意識する発言が目立っており、大枠1.7~2.0のレンジ相場が続きそうで、1.70を割り込むまではEUR高で上昇圧力は変わらないとみている。


AUDUSD

意外にも豪10年債利回りと、EURUSDは相関関係が強くUSDCHFとは逆相関関係にある。つまり、豪州債利回りが上がれば、ドル売り傾向が強くなっている。豪州と中国の政治的対立による経済的な悪材料は消えそうになく、豪中銀は緩和姿勢の継続を約束しているが、マイナス金利はもちろん追加緩和をする可能性も低い。IMMポジションは9週間ぶりにネットでショートからロングに変化し、7月14日に一週間だけロングになったのを例外として除外すれば、2018年3月27日以来となる歴史的出来事で、今週もこの動きを注目したい。8月26日以降は大枠0.72~0.74のレンジ相場となっている。一方、AUDUSDの要因の一つとなっていたAUDNZDの売りだが、5日続落し1.08の大台を割り込み90日線の1.0770のポイント近くとなっている。この水準で下げ止まることができればAUDの上昇を期待したくなる。


USDJPY

EURJPYとの強い相関関係を除けば、日米株価や米債利回りとの連動性に乏しく、独自の相場展開を続けていることがわかる。先週は105円を割り込み円高圧力が強まっており、失敗したが7月31日の安値104.19を割り込むと、本邦機関投資家が口を開けてドル買い・円売りを待っているかは不明ながら、テクニカルには円高圧力が強く当てになるかは別として「日本の連休=円高」の潜在的な警戒感も依然残る。過去2週間でUSDJPYが大枠で106.40→104.40の2円の円高となったが、EURJPYはお枠で126.50→123.50を3円の円高で、USDJPYの取引をするならばEURJPYのほうがまだましと考えている市場参加者も多いことだろう。


GBPUSD

GBPJPYとの相関関係は非常に強いが他は意外に希薄で、英国のEU離脱が迫る中でUSDJPYと同じく我が道を行く通貨となっている。10月15日のとりあえずの期限を目の前に控え、ジョンソン英首相はEU離脱協定をないがしろにする国内市場法案の成立を目指しており、ブラフかどうかは別としてこの動きをめぐるリスク回避からGBPUSDが強まっている。ただ、少額とは言えIMMポジションではポンドはロングで、フォンデアライエン欧州員会委員長が「英国の通商合意が成立可能だと今も確信」と発言するなど、市場では英国が合意なきEU離脱する可能性は低いとの見方も多い。今週、24日~25日に同委員長が招集した臨時首脳会議が開催される。開催テーマは別としてこれらを話合う可能性も意識したい。


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