2020/09/06

今週の為替相場を考える

今週の為替相場を考える


米雇用統計は2か月連続で予想を上回る数字となったが、前回とは異なりサプライズのドル買いも続かず、米株も軟調。為替相場と連動性の高い米株の動きは引き続き注意が必要。


市場の焦点は、米大統領選の行方で、バイデン・トランプ両氏の隔たりは縮小してはいるが、引き続きバイデン氏が有利との調査が多い。米紙ではトランプ氏が戦死した米兵を「負け犬」呼ばわりしたとの報道(トランプ氏は否定)など物議をかもす発言は多い。米中関係は、どちらが次の大統領になるかで大きく変化する可能性に決め打ちはできず。先月のジャクソンホールでFRBの「2%の長期平均インフレ目標の導入」から続くドル売りの流れの確認は、来週15日のFOMCまで持ち越しとなっている。


つまり大きな変化は、①よほど大統領選の思惑に大きな変化が生じない限り、②米国を含め株価の大幅は調整売り(又は、方向転換)が入らない限り、15日のFOMCまで大きな変化は生じない可能性を意識したい。


EURUSD

10日(木)にECB理事会があり今週最も注目されるテーマの一つとなっている。政策金利の据え置きが予想されるが、最近ではインフレ目標達成の遅れを指摘する声が多く、ECBスタッフのマクロ経済予測もあり、1.18~1.200のレンジで次の動きを待っている相場にとって非常に注目される。個人的には1.170をボトムに再上昇を期待している。


レーンECB専務理事から「EUR相場をチェックしている、EURUSDのレートは重要問題」とあった。また、EUの欧州証券市場監督局(ESMA)は「最近の株高はファンダメンタルズから乖離している可能性」を指摘するなど、EUR高+株高をけん制している。


更にFT紙が匿名の複数のECBメンバーの話として「ユーロ相場の上昇が続けば、輸出を圧迫すると同時に物価を押し下げ、さらなる金融刺激を求める圧力を増大させかねないと警告」とある。どうなるのか気になる。


USDJPY

国内では、安部首相の突然の辞任に上下変動したUSDJPYは、本命の菅氏は安倍政策の継承とのことで「円安+株高」を期待した円売り傾向が続いているが、なかなか107円の大台を達成できず、105~107円のレンジを継続中。今後の方向性はクロスでの円相場の動きも注目しなければならず、FOMCで2%の長期平均インフレ目標の導入から続くドル売りの大きな流れは、他の中銀金融政策の変化と合わせて考える必要がある。


参考までに、年間チャートを見ると(2020年は8月末まで)2015年125.849円をピークに5年間続けて陰線となっており円高が続いており、円高の流れはまた止まってはいないが、2014年から7年間は大枠で100~125円のレンジとなっている。大雑把に言えばこのレンジ内で容認できる水準から中長期のポジションをとることが有効となっている。


USDCAD

9日(水)にカナダ中銀の金融政策が発表さえ政策金利0.25%の据え置きが予想されている。前回の7月15日の会合から2か月弱を経た会合で、前回は政策金利0.25%を据え置き「2%の物価目標が持続的に達成されるまで金利を据え置く」と強調していた。ジャクソンホールではマクレム・カナダ中銀総裁は「インフレ指標と実際の現場に若干の違い、人々はインフレが上昇していると認識」とあったが、シェンブリ・カナダ中銀副総裁が先月末に「平均インフレ目標は選択肢の1つ」と発言していたこともあり、可能性は低いが何らかの変化を期待したくなる。


USDCADは長期で見ると3月19日の1.4667を高値に先週は1.30を一時割り込む水準まで下落しており、基本はCADドル高傾向が続いている。個人的にはCAD高を支持しているが過去の推移をみても1.30前後には大きなポイントがあり、簡単にはその水準を割り込み続落できるかは疑問。


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