2020/03/29

今週の為替相場を考える(3/30日~4/3日)

今週の為替相場を考える(3/30日~4/3日)

相場は、新型コロナウイルスの欧米での感染拡大による経済への打撃を織り込んだのか? 世界各国の中銀、政府による経済対策は十分で経済は本当にボトムアウトするのか? トランプ大統領は4月12日のイースターまでに米経済活動を再開したいと言っていたが!?仮にそれが実現できればドル高方向へ動く可能性が高くなるが!(どうなんでしょう?)

米国では、2.2兆ドルの新型コロナウイルスの経済対策法案の成立で、FRBの4兆ドルの資金供給と合わせ、6.2兆ドル(約720兆円)の効果があるとトランプ氏は協調。

安倍首相もリーマンショックを上回る大規模な経済対策を実施すると約束しており、ドイツは財政均衡の御旗を取り下げドイツ議会下院は7,500億ユーロに上る新型コロナウイルス対策の景気刺激策を承認。ECBは7500億ユーロの債券購入で制限を撤廃。G20は5兆ドル(約550兆円)の財政政策、経済対策、保証制度に加え、大規模な財政支援を実施するとある。

過去の歴史を見ても、いずれかは感染が終息し世界経済は反転することは間違いないが、それまでボトムはどこで、いつなのか? それが問題となっている。

さて、為替相場は、先の2週間はドル買いで、先週1週間は逆にドル売りへと変化している。同じく株価は下落から反発し、債券利回は上昇から低下と同じような変化をしているが、米2年債だけは続落傾向は変わっていない。

何が変化の要因かを特定することはできないが、世界中で大規模な景気刺激策が実施され、ドル需要の緩和と株価の大反発、本邦サイドでは期末のリパトリの動きが要因の一つと思われる。

先のドル上昇時と思われるが、バンカメレポートでは、1週間で2346億ドルが債券からキャッシュへのシフトが発生していたとあり、この動きが世界的な大規模な景気刺激策の表明により変化していたと推測できるのでは?

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今週の為替相場は新型コロナウイルスの拡大による米経済への悪影響をどうしても意識してしまう。世界的な大規模財政出動や中銀の資金供給もありドル需要が極端に低下することが予想され、IMMシカゴのポジションを見てもドルに対する信認が低下している可能性もどうしても意識してしまう。

USDJPYは、先週は過去2週間の上昇でドル買いの中で、GPIFは3月24日に、資産構成の見直しで、外国債券の比率を10ポイント引き上げて25%とする方針を発表した。運用資産159兆円(2018年度末)で見ると10%の引き上げは15.9兆円の円売りが単純計算では起こりうる、新たなJPY売り材料の出現に投機筋は112を上回ることは難しても、ドル高傾向は変わらずと思われた。また、世界的な株価の大幅上昇にも関わらず、リアルなJPYは発動されず、リパトリのJPY買いもあり、投機的なJPY売りは失敗し終わってみれば118円を一時割り込み、前週終値水準に逆戻りで踊らされただけに過ぎなかった。

今週は、期末要因もはけ本邦サイドの実需筋の動きが抑制される中で、積極的なJPY売りも限定的でJPY高が継続する可能性を意識。最新のIMMポジションでは円の増加は抑制されているがロングを維持し、主要7通貨でのネットポジションは先週からロング(ドル売り)へと変化しており、先週の値動きから見ると109.50以上の上値は重くなることも予想される。円高方向では105.00~109.50、円安方向では110円台を超えることは難しいと思われる。それと、期末仲値での攻防も注目したい。

EURUSDは、ECBはすでに利下げできにくい水準にあり、大規模なQE拡大策を発表。欧州では新型コロナウイルスの感染拡大はやまず、ドイツでも感染が拡大される中で、EUR高の動きが続いている。最近の動きでは2月20日の1.0780から3月中旬の1.1495まで約12日間上昇から、9日間かけて1.0630台まで下落。そして、今回は3月20日、23日の1.0630台をボトムに約5連騰で一時1.1148まで上昇していた。

今週はどこまでEURだか続くのかを試す週で、一つのターゲットは1.1000をボトムに1.1250と思われてならない。IMMシカゴのポジションはつい最近まで長期間続いたユーロショートからロングへと変化し、いまや主要7通貨の中では最もロングポジションが多い通貨となっている。最近の大変動の中で一度動きが見らえると行き着く所までは流れが止まらない事が多く、押し目買いに。

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各国中銀は次々に大規模な利下げやQEを発表している。(参考まで)

日本
日銀、3月16日に政策金利を据え置くもQEを拡大。上場投資信託(ETF)の買い入れ目標を年6兆円→12兆円に、不動産投資信託(J-REIT)の購入目標を900億円→1800億円にいずれも倍増。コマーシャル・ペーパー(CP)・社債等の追加購入枠を合計2兆円設け、CP残高は2.2→3.2兆円、社債残高は3.2→4.2兆円を上限に買い入れへ。

米国
FRBは、3月3日に1.5~1.75%→1.0~1.5%へと0.5%引き下げた。3月15日に1.0~1.5%→0.0~0.25%へと事実情ゼロ金利まで引き下げ、QEを復活させた。3月23日に経済支援策の第2弾を発表し、無制限の量的緩和(QE)を実施へ。

ユーロ圏
ECBは、3月12日も政策金利を据え置くも、量的緩和策を年末まで1200億ユーロに拡大へ、3月18日7500億ユーロ規模の緊急量的緩和(QE)を発表。ECBの量的緩和策(QE)による今年の資産購入額は1.1兆ユーロに上る見通し。

英国
BOEは、3月11日に0.75→0.25%に引き下げ、3月19日に0.25→0.1%まで引き下げ、資産買い入れ枠を4450億ポンド→6450億ポンドまで2000億ポンド増額。3月26日には金融政策を据え置くも【必要あれば資産買い入れの拡大が可能】と付け加えた。

豪中銀は、3月3日に政策金利を0.75→0.5%に引き下げ、NZ中銀は3月16日に政策金利を1.0→0.25%へと0.75%の大幅な緊急利下げを実施。カナダ中銀は3月4日に1.75→1.25%へ、3月13日に1.25→0.75%へ、3月27日に0.75→0.25%へと利下げをし、国債とCPの買い入れ実施を表明し、量的緩和(QE)に着手している。

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