2020/03/08

今週の為替相場を考える(3月9~13日)

今週の為替相場を考える(3月9~13日)

米国ではカリフォルニア州に続きNY市場も新型コロナウイルスの感染拡大を受け非常事態宣言を発令。為替相場の動きは感染影響に連動することは誰もが知っているが、いつになれば終息するのか? それまでどこまで事態が悪化するのか? 誰にもわからないことである。

しいて言えば、新型肺炎のリスクが少なく、過去に大幅な調整が進んでいた通貨が選考される可能性は高いく、一部ではMXNとの観測もあるが最近の弱さを見ると躊躇いを感じる。また、日本経済の弱さが気になれば、CHFを選好させる動きも期待したい。

仮の話であるが、新型コロナウイルスの感染の拡大が収まれば、世界経済もボトムアウトし各国中銀は歴史的な低水準にある政策金利を無理やり操作し追加緩和を講じる必要もなくなり、政府も財政赤字の中で追加の経済対策を講じる必要もなくなる。市場参加者は積極的に株を買い、安全資産として購入している米債など国債を手放し、為替市場ではリスクヘッジの円売りが急速に強まることであろう!?

ただし問題はいつ、ウイルスに対しての特効薬が見つかり使用が広まり感染拡大が萎むのか分からないことで。それよりも、それまでにどこまで感染拡大が広まり、その影響に世界経済がダメージを受けリスクに対応した動きが続くのか? 今週もそれが主要テーマ。

今週から米国は夏時間へと移行するが、先週末時点では新型コロナウイルスの感染拡大による金融市場の大波乱は収まりそうにない。VIXは15台からこの2週間で一時54.39まで信じられない急騰を示している。中国の感染速度は弱まっているといわれるがどこまで信じていいのか疑問が残り、世界第1位の経済大国でもある米国の感染拡大の状況次第ではあるが、聞こえてくるニュースはネガティブ。

米10年債利回りは過去最低を更新したどころか、下げ幅を加速させ年初の高値1.95%近くから一時0.66%まで下落、2年債も1.6%近くから一時0.394%まで下落し、ひょっとしたらマイナス金利に陥るのでは?と思えるような急落。米株も2月17日のプレジデントデー前後らかの急落は言うまでもなく、サブプライムショックの再現のような世界的な同時急変となる大きな変化に対応できずにいる人も多い。

為替相場もしかり。リスク時に選好されるJPYの上昇は強く、過去2週間の変化を見るとUSDJPYは6.19下落し一時105円まで下落。GBPJPY7.07%下落を筆頭にCADJPY5.87%と主要通貨では軒並み円高が加速し、同類のスイスではCHFJPYはわずか1.75%の下げにとどまり、EURJPYも2.2%の下げと限定的となっていた。

主要国の株価を年初の週末から先週末までの変化を比較すると、日経平均株価=-12.51%、独DAX=-12.46%、英FTSE=-15.69%、ダウ=-9.87%、上海総合=-1.12%と日米はほぼ同水準で、上海総合だけは政府の強権の影響なのか春節の下落幅を戻して小幅な下落にとどまっている。

今月に入り、G7は金融電話会議を開催し協調姿勢をアピール。具体策は示されなかったがG7に前後して豪中銀、カナダ中銀、FRBと大幅な利下げを実施。今週のECB理事会は金融政策の変更はないと思われるが何らかのサプライズが期待され、BOEの利下げ、BOJの追加緩和、そして、FRBのさらなる利下げはもはや既成事実化しており催促相場に突入している。

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為替相場の予想だが、冒頭に記していると通り、いつどのような状況で反発に向かうか判断が難しい中で光明が見つかるまでは、現在の動きが継続すると仮定して考える必要がある。 

すでに十分ドル売りが進み安値圏にあるドルであることは理解しているが、そうなると新型コロナウイルスの感染拡大が危惧される米国追加緩和をテーマとした米ドル売りが目立ってくることになるのではないか?

USDJPY
日銀はさらな不緩和姿勢を示していることもあり、追加利下げは難しいとしても資産買い入れに動く可能性は高い。

2018年3月の安値104.63、2018年末の安値104.66、2019年8月の安値104.45と過去2年間は104.50前後をボトムとして上昇していたこともあり、先週までは105~110のレンジとして考えていた市場参加者は多く105円割れからロングをつくりことを意識していることであろう。

ただ米国の追加緩和の可能性が高く新型コロナウイルスの完成拡大のリスクを考えれば、過去200か月MAをボトムとし反発していることもあり、104.03±50が次の大きなポイントになってくる。

一方、クロスでは下げ幅が大きいGBPJPYは137円台と2019年10月の安値にようやく値を下げただけで下げ幅は限定的。逆にAUDJPYは70円近くと昨年の8月のボトムに並ぶ水準に位置し、これをクリアに下回ると、2009年4月の水準まで下値のポイントはなくなる。

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