2017/02/19

今週の為替相場を考える(2月20日~24日)

今週の為替相場を考える(2月20日~24日)

イエレンFRB議長の議会証言からは、3月の利上げの可能性を残すも、大勢は6月利上げを意識した動きと、トランプ政権の不調和音や、新たな政策発表が台風の目へ。

為替市場を遠目から長い月足で眺めると、EURUSDは1.05~1.15、AUDUSDは0.7~0.8のレンジとそれぞれ1000pipsのレンジ相場が続き、GBPUSDは三角持ち合いで1.24~1.25近辺に収れん、USDJPYは広くは100~125円、狭くは110~120円のレンジに収れんしています。各々その動きがブレークしたときが新たな大相場になる可能性が高いと思われます。

トランプ政権の拡張的な経済政策を意識し、株価では上海総合と日経平均株価は伸び悩みながらも高値圏で推移し、米株は最高値を更新し、新興国株価も2015年7月来の水準へと上昇し、欧州株も堅調に推移し、株高傾向は止まりそうにありません。

一方、金利ですが、米債券利回りは上昇し、債券から株式へと資金シフトが進み、米金利上昇を見越す動きも強い反面、米10年債利回りは昨年12月16日の週2.6%をピークにして、高止まり2.3~2.5%のレンジ、2年債利回りも1.3%をピークにし大枠で1.15~1.25%のレンジで安定推移となっています。

結果としては、資金は債券市場→株式市場へとシフトし、為替相場はドル高値圏で推移するも、「ドル急伸から安定的なドル高を維持」とでも言えそうです。円相場ですが、最近の流れは米株高=USDJPYの上昇圧力は弱まり、金利との連動性が高いのかレンジ相場に入っていますが、トランプ政権の影響を最も強く受ける通貨とも言えそうです。

さて、短期的な材料を独断と偏見で考えてみましょう!

【米国】
●トランプ政権内の勢力争いによる混乱→ 積極的なドル買いが抑制。
●トランプ政権の移民規制への混乱→ 積極的なドル買いが抑制。
●米金利の上昇(量的緩和終了→利上げ継続)=3月の可能性を残すも6月再利上げが本命でドル高期待を維持。
●トランプ政権の通商政策期待(米国への資金還流)=総論はドル高期待。
●最新のIMMポジションでは、通貨ショートが7週連続で減少(ドル高思考の低迷)。

【英国】
●英国のEU離脱の申請へ(3月9日~10日EU首脳会議)=影響を見守る動きへ。
●BOEの不透明な金融政策(インフレ進行+成長率減速リスク)=影響を見守る動きへ
●最新のIMMポジションでは、ポンドショートの減少が止まりやや増加へ。

【ユーロ圏】
●フランス・イタリア・オランダ政治的な動き、メルケル独首相の求心力の低下→ ユーロ売り要因へ。
●最新のIMMポジションでは、ユーロショートは4週間ぶりの若干増加へ。

【日本】
●日米首脳会談後の円高リスクの軽減+自発的な円高抑制の動き→ 円売り圧力が弱まるが、潜在的な円売り材料は変わらず。
●日銀の長期金利0.0%±0.1%の維持の継続性への疑問→ 日銀の政策への注目度が高まる。
●最新のIMMポジションでは、円ショートが7連続で減少へ。


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今週の【通貨ペア別のレンジ予想】



◎USDJPY【予想レンジ 112.00~114.20】

チャートパターンはドル売り・円買いの継続を示唆しており、ファンダメンタルズの円売りとは逆の動きとでもいえそうです。先週は115円のポイント直前を高値にし、トランプ政権内での対立や移民政策の不透明感が強く、安全資産の円買いへと変化し、予想外に円は他通貨に対して上昇し、ドル円の買い戻しは限定的となっていました。

今週予定されえているトランプ大統領の新たな政策があるのかないのか? それがどのようなものか? その影響は? などつい考えてしまいます。USDJPYは上値113.70~80、114.10~20円に高いハードルが控えており、この水準を超えるまでは、市場のドル安・円高センチメントは変わりそうにありませんが、112円台は先に下値トライを失敗した経緯もあり、積極的にドル売りをスタートすることも躊躇されます。ただし、111.50円割の先週の安値を割り込むとストップの売りが控えていることでしょう。


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◎EURUSD【予想レンジ 1.0550~1.0750】


欧州委員会の冬季経済見通しはユーロ圏GDOPを上方修正しましたが、逆にユーロ圏+独+イタリア+ギリシャ第4四半期GDP・速報値は予想外に弱く、イタリアとフランスの選挙の思惑とその影響、ギリシャ支援の動きに、EURUSDは1.07台を達成できずにいます。

フランスの大統領選では極右のルペン氏の大統領選の当選率確率の度合いの高さが注目され、現状ではユーロ売り材料に利用されています。ECBの量的緩和の縮小から始まったユーロ買いの流れも続かず、ECB理事会の議事録では安定的な金融政策を維持する必要があると金融緩和策の縮小には消極的でした。オランダ、フランス、ドイツのユーロ圏主要3カ国で今年選挙が実施されることから、ECBは当面、様子見姿勢を維持し当面の緩和継続に大枠で1.05~1.08のレンジで、目先は1.06~1.07のレンジで推移する可能性が高いと判断しています。


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◎GBPUSD【予想レンジ 1.2300←1.2400~1.2600 】


英雇用統計の雇用者の伸びは強く、英CPIは高水準ながら小売物価指数はやや弱くインフレリスクを意識しており、予想外に弱かった英小売売上高にポンドは急落したことは記憶に新しいことです。今週も英第4四半期GDPの速報値が発表され相場変動の材料になることは間違いありません。

週を通じてもGBPUSDの伸びは鈍く逆に上値の重さげ目立ち、テクニカルでは日足、週足と上値の重い展開が続いています。メイ首相は3月9日~10日に開催されるEU首脳会議でEU離脱を通告する計画を示していますが、ポンド相場への影響は未定です。


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◎AUDUSD【予想レンジ 0.7600~0.7750】

先々週、ロウ豪中銀総裁は2017~2018年豪GDP見通し3.0%へ上昇し、今後の豪経済は底堅いとの発言しAUDUSDは上昇傾向を続けていました。先週の豪雇用統計も改善傾向が続いていますが、3週間続伸の後だけに0.77台からやや値を上げていますが、資源価格が後押し上昇傾向を維持しています。

今週は豪中銀議事録や、ロウ豪中銀総裁の証言もあり、結果によっては相場への影響も気になります。ただし、0.7500をボトムに維持できれば上昇傾向を維持するとみています。


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