2018/07/15

今週の為替相場を考える(7月16~20日)

今週の為替相場を考える(7月16~20日)

今までの相場の変動を振り返るといろいろな材料に行き当たる。NO.1は米国と他の主要国との貿易摩擦の動きで、特に米中間の制裁・報復関税の動きが、中国の「金融緩和=人民元安」を生み、人民元は2015年8月以来の大幅安の水準まで下落し、「USDCNH=USDJPY」相場に連動性が見られ、円安へと動いていることがよくわかる。
https://www.tradingview.com/x/IlXja5v8/

次に注目するのは、米国の金融政策で、市場は貿易摩擦の影響によって今後の米利上げのタイミングが変化すると考えている。現状では年内後2回の利上げ期待が市場のコンセンサスとなっているが、米10年債利回りが低下気味で長短金利差が縮小するネガティブな動きの中で、17日のパウエルFRB議長の半期に一度の議会証言(上院銀行委員会)を注目したい。また、NZ+英国+日本+カナダとCPIの発表が多く、英国+豪州の雇用統計も重要で、金融政策への影響度も高く、この結果によっても相場が変化することになる。

◎外貨ネクストネオで公表しているポジション動向をみると、USDJPYは「売り48.4%-買51.6%」となっており、チャートでもわかる通り、長期的な円高思考から今はニュートラル思考になっていることがわかり、EURJPYに関しては「売り66.0%-買34.0%」と基本的に円高思考は変わらず、AUDJPYは「売り31.5%-買68.5%」となり逆に豪ドル高思考が続いている。(別表を参照)

◎CFTCで公表しているIMM通貨先物ポジションでは、円、ユーロ、ポンド、スイス、カナダドル、豪ドル、NZドルの投機的ネット・ポジションを見ると、ショート216,433コントラクトと集計日の終わり値ベースの為替相場の水準で割り出すと、4月24日に244.5億ドルまで拡大していた通貨のロング(理論的なドルショート)は、6月26日に97.4億ドルのドルロングへと変化し、最新の7月10日時点では182.2億ドルまで通貨のショート(理論的なドルロングが拡大しており、この水準は2017年3月21日の193.3億ドルに次ぐ高水準のドルロングとなっている。(別表を参照)

7通貨の中で、ロングをかろうじて維持しているのはユーロだけでポジションの減少しており実質的にはドルは主要通貨で全面高の状態でそれも、通貨による極端な偏りもなく主要通貨すべてで拡大傾向にあり、力強い米経済と消費者物価の上昇に、米金利の上昇傾向は止まらず、金利面でもドル買いを支持する動きが強まっている。

◎オプションのリスクリバーサルを見ると(サクソバンク証券 1month 25delta Risk Reversal)、USDJPYは-0.5%とドルプットは縮小傾向が続いており、EURUSDは、-0.79%と直近ではEURプット気味で一時1.3%台からは縮小傾向にあるも高水準が続いており、FX市場のドル高傾向を反映している。


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今週の相場の予想レンジ

USDJPY (予想レンジ 111.50~113.00)テクニカルは円売りはどこまで続くのか?

市場では最近の円安傾向を、米国の強硬な通商政策を気にしながらも、新たな悪材料が見当たらず織り込み済みとか、日本の機関投資家のドル買いとか、日米ファンダメンタルズの格差や金利差を材料にしている。しかし、冒頭にも書いている通り、中国人民元の動きを注視する必要があり、個人的には取り巻く環境では今までと大差は見られず、円ロングの巻き戻しとテクニカル先行の円売りに思えてならないが、現状はどこまで円安が進むのか確認中。

中期の22日MVが200日MAを上抜けゴールデン・クロスとなり、年初の高値113.30台を目指す動きとなっており、市場センチメントが円売りへ傾いている。 https://www.tradingview.com/x/0dzvlo7w/

しかし、先週は陰線引けで、112.50台をローソク部分として5月21日のパターンに似通っているのが気になる。先週末の高値を上回るとさらに円ベアなりやすいがが?
https://www.tradingview.com/x/zQCn2v6W/


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EURUSD (予想レンジ 1.1600~1.1780)ニュートラルで上下値の値幅は限定的

イタリア問題の政治的問題も現状はクリア、独政局も現状はクリア、NATA首脳会議も防衛費2.0%を約束することで何とかクリア。米EU貿易摩擦の懸念は残るも、ECB当局者からハト派発言とタカ派発言の意見は混在。米国との通商問題がクリアになればさらにタカ派的な発言が期待できるも、現時点ではそれを確認できず慎重姿勢を貫く動きへ。結果として、上下値幅が抑えられる動きとなりやすく、レンジからややベアな相場を考えざるを得ない。

中期の22日MAが200日MAをした抜け5月中旬以降からデット・クロスが発生しており、1.1550台をボトムに上値が切り下がり。売り圧力が続いている。
https://www.tradingview.com/x/ZzfWikGC/

しかし、5月29日の安値1.1510、6月21日の安値1.1508をボトムに1.1500を割り込むには別なエネルギーが必要と思われ、1.1500~1.1800のレンジ。より狭く考えれば1.1600~1.1800のレンジ入りに思えてならない。
https://www.tradingview.com/x/ibRZgnJl/


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GBPUSD (予想レンジ 1.3050~1.3300)

メイ政権の強硬派路線の閣僚2名の辞任。トランプ大統領が辞任したジョンソン前外相がメイ首相より適任とサプライズ発言をするも、後でわび状を出し手打ち式が行われ、米英首脳記者会見では、英国のEU離脱後に2国間通商協定を結ぶことを約束。注目のブレグジット白書ではGBP買へと動けず弱さが目立っている。カンフリBOE副総裁は「英成長率の回復期待と、国内の予想外のインフレ加速」を予想するなど、8月のBOE利上げ期待は消えてはいないが、現状を考えれば期待外れに終わるリスクも高い。

中期の22日MAが200日MAをした抜け5月下旬からデット・クロスが発生しており1.1305台をボトムに、1.1300の大台を何とか維持するも上値は切り下がり弱さは隠しきれず。先週末には1.3100直前までげらくするも、終値ベースでは1.3200台を何とか維持。
https://www.tradingview.com/x/u1xej1Cs/

現状は1.3100~1.400のレンジに入っているが、先週末は一時1.3100近くへ下落し、終値は1.3200を何とか維持しながらも、1.3300~1.3400の上値が重く、StochRSIは売りに傾いており下値リスクは残り1.3200台を維持できるかがカギ。
https://www.tradingview.com/x/cfzaB34u/


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