2018/07/08

今週の為替相場を考える(7月9~13日)

今週の為替相場を考える(7月9~13日)

重要なイベントが多数で多忙な先週の為替相場は、終わってみれば4月末から続いたドル売りの流れは弱まり、EURUSDの3週連続の反発を含め、好調な米経済+米金利上昇を意識したドル高一辺倒の動きもようやく収まりつつある。

【先週は】
米中貿易戦争・擬きの突入に引き続き一触即発の状態であることに変わりなく、中国株と新興国株の下落は止まらず。米EU貿易戦争のリスクも解消できず、ロシアも参戦。11~12日のNATO首脳会談に関してもトランプ大統領の発言も多数聞こえており、今後もどのような災いが飛び出すか不安でならない。米長期債利回りは伸び悩み気味で長短金利差は縮小し、FOMC議事録では「米経済が近く景気後退に陥る可能性があるかどうかが討議した」ことが記され、米輸入制限が米企業心理に悪影響をもたらす強い懸念も見られたことが思い出される。

【今週の注目点】
FXのポジションでは今週も以下を注視しながらポジションを維持する必要があると考えている。

◎米株の動き(中国株+新興国株が反発することができるのか? それとも、S&P500&Nasdaqの反発にNYダウが24,000ドルをボトムに反発できるのか?)

◎米債利回りの動き(米10年債利回りの低下は2.8%台をボトムに反発し、長短金利差の縮小が解除できるのか?)

◎NATO首脳会議(トランプ大統領は分担金を巡り事前に減額の意思、独等に増加を要請済みで、通商問題の再来となるリスクはないのか?)

◎米CPIとPPIを注視

◎中国のCPIと貿易収支を注視しながら(中国は金融緩和&自国通貨安を戦略として誘導しているとの一部観測も。貿易模擬戦争の最中だけに黒字額の増減は気になる)

◎カナダ中銀が本当に利上げするのか?継続的な利上げとなるのか? (市場は0.25%の利上げを期待しておりその有無でCAD相場の変動は大きくなり、次回の利上げ期待が示されるかの有無も重要で、結果が他の資源関連通貨に影響を与える可能性も意識)

◎ECB理事会の議事録(市場が期待している早期の利上げ期待を確認できるのか?)
◎メイ首相のブレグジットに関する白書は?(EU側が容認できる内容となるのか? EU側の離脱担当相の発言があるいのか? 気になる)

では、どのような方向性のポジションを考えればいいのだろうか?

過去3週間、主要通貨の変動率と変動幅から見ても2週間前のNZDUSD-1.9%を最大にそれ以外では1%超の変動は見られず、緩やかな変動にとどまり、EURUSDの3連騰が目立っているが、相場が急変するような大きな動きは見られず。

過去3週間、主要国の株と債券利回りの変動率を見ても、日本の除く主要国では過去2週間の下落から回復しているが、中国や新興国株の下落は止まらず、リスク回避の動きは引き続き顕在化していることがわかり、為替相場でもリスク回避の流れ完全に変わっていない。

オプションの1mのリスクリバーサルから、市場がどのような方向性のポジションなのかを前週比で考えて見ると、ドル高傾向が弱まる反面、円高傾向が強まっていることがわかる
USDJPY-0.44→-0.49と、円高方向でやや強まっている。
EURUSD-1.05→-0.90と、圧力は若干弱まるも、ユーロ安方向で変わらず。
GBPUSD-075→-0.65と、圧力は若干弱まるも、ポンド安方向で変わらず。
AUDUSD-1.45→-1.45と、豪ドル安方向で前週と変わらず。


それでは次に主要3通貨ペアで、今週の動きを考えてみた。

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USDJPY(予想レンジ 109.80~111.20)

USDJPYは一体どうなってしまったのであろうか? 市場参加者の興味の外に完全に取り残されてしまい、米中、米EUや米国と他国の追加関税措置の実施にも変動幅は限らており、米国を含めた他の主要国の緩和縮小の観測期待の増減にも大きな動きは見られない。実在する他国との金利差による円安相場の支持派と、不安定な株価と貿易戦争のリスクによる円高相場の支持派に分かれ綱引き状態の均衡がいつになったら崩れることであろうか?

それまでは、狭いレンジに甘んじて小幅な取引を繰り返すか、多くを考えず変動幅がより大きい円クロスでの取引に特化するか、他の主要国にシフトするかの覚悟が必要。

BBのDailyは、109.77-110.35-110.94のレンジを示唆。
MVは22日109.94-110.28-110.57、200日109.77-110.14-110.50のレンジを示唆。
PivotPointsは、P110.12、S1・109.27 R1・110.95と、どれを見ても代わり映えはしない。


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EURUSD(予想レンジ1.1600~1.1800)

3週連続の上昇で勢いが最も高いが、上昇幅は限定的で市場が驚く様な変動もなく、ベア相場からブル相場へと変化するような値動きに至っていない。メイ独連立政権の危機はひとまず脱しており、イタリアの政局も今のところ安定。ECBの米EU関税問題のリスクをはらみながらも、年内にQEを脱却し来年夏以降の利上げ期待は残る状況は変わらず。懸念のブレグジット交渉は不透明要因として残っている。

EURUSD相場は1.1500のポイントを下限に下げ止まったと思われる。振り返ると、6月13日のFOMCで利上げを決め、段階的な引き上げを示唆し、声明文から「FF金利は当面中立水準を下回る見通し」の文言が削除され、本格的な引き締めへの移行期待にドルが全面高となった当時のEURUSD1.18台を目指す動きとなっている。しかし、この水準はオプションを含め大口の売りが控えている可能性も高く、簡単にクリアできるとは考えにくい。

BBのDailyは、1.1513-1.1653-1.1794のレンジを示唆
MVは22MAが200MAを割り込んだ5月17日からダウントレンドを維持しているが、22MA1.1620-1.1665-1.1712の上限を上抜け、上昇トレンドへ移行している可能性を意識。
PivotPointsは、P1.1680、S1・1.1549、R1・1.1803と、1.1680~1.1800のレンジに入りやすいと思われる。


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GBPUSD(予想レンジ1.3200~1.3380)

いつもながらではあるが、ブレグジット交渉を巡る展開がネックとなりGBPUSD主導の本格的なGBP高相場を期待できにくい。最もEURUSDが主導しドル全面高で、EURGBPが上昇するかなで緩やかな上昇に転換する可能性は否定できないが、可能性はブレグジット交渉の評価次第。

6日には懸念された「ブレグジット後の通商関係の包括的プランを閣僚と協議」も強硬派を説得できたのか合意し、9日には白書という形で発表する。問題はこの結果を受けてEU側が納得し「めでたし、めでたし」で終わるのか? それとも拒否するのか? その動きでGBP相場も大きく変わっている可能性もあり油断はできない。もちろんBOEの政策にも影響を与えることは間違いない。

BBのDailyは、1.3076-1.3234-1.3393のレンジを示唆。
MVは22MAが200MAを割り込んだ5月24日からダウントレンドを維持している。22MA1.3203-1.3251-1.3302とこのレンジ内での動きが目立つが、1HのMAは上抜けし上昇傾向にあり、1.3300の大台が意識される可能性は高い。
PivotPointsは、P1.3243、S1・1.3081、R1・1.3405 とワイドで1.34を意識。


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