2018/12/09

今週の為替相場を考える(12月10日~14日)

今週の為替相場を考える(12月10日~14日)

今週の主な材料と重複するかもしれないが、市場参加者の思考はそれほど大差があるとは思えない。逆に言うと多くのエコノミストや市場参加者のコメントは右倣えで大差があるとは思えない。

日米貿易戦争は90日間の休戦を迎えて様子見、ファーウェイCFO逮捕劇に米中政府は表面上し冷静を保つも本心は不明。次は12日の米CPIの結果から19日のFOMCへ思惑へと移り、米国の金融政策と世界的な株価の下落と金利低下に集約。

付け加えるなら、11日の英議会下院はメイ首相がEUと合意した離脱案を採決の結果を受けたGBPUSDの変動で市場は否決を予測、ハードブレグジットか国民投票の再開、解散総選挙の実施、離脱交渉の期間を来年3月29日から延長を期待へと移りつつある。仮に可決しても共に大相場(時間軸の長短は別)で、GBPJPYの急激な変化がUSDJPYにも影響を与える可能性がある。

イタリアは下院が7日に2019年度予算案を可決、上院は年内に採決する。週末ごとに大規模なデモが発生しているフランス、政局が混迷し極右政権が台頭するのか? この結果を受けたEURUSDの変動の有無と、ECB理事会・ドラギ総裁の記者会見で資産買い入れを終了し来年の終盤に利上げを実施することを示唆するのか? EURJPYの相場に影響を与えることは考え安い。最近の予想外のEURUSDの底堅さは何を意味するのか?

USDJPYは、先週の結果を見ても、株価と円相場の連動性は高い反面、米債利回りの低下にも拘わらずUSDJPYの下げ幅は比較的限られていることから、USDJPY単体では年末を迎えたドル需要によるドル買いが112円台前半をボトムとしてサポートしていることは間違いなさそう。一方、113円台前半(20超え)をトップとして円ショートの切りが引き続き大きく上値を抑えており、12日の米CPI数字にもよるが、このレンジを抜け出す抜け出すことは難しそう。ただし、方向性だけを考えれば円高が続いている。

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USDJPY 

円高の方向性は変わらず。中期的なトレンド判断は日米通商協議の再開待ちで来年に持ち越し。

先週一週間を通じて112.50アンダーは買となっていることは10月31日以来変わりない反面、上値は114円台、113.50台、113円台と重くなっている現状を見ると下値リスクが気になる。

9月下旬以降では大枠111.50~114.50のレンジ相場が継続しており、大きな変化を期待することも難しく、ニュートラルと判断せざるを得ないが、直近のリスクは円高が円安を上回る。

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EURUSD

ブレグジットのリスク、イタリア・フランスのリスクは存在。ただし、テクニカルで次の大きな変化の始まりを期待したくなる。

先週一週間を通じて、大枠1.1300~1.1400の100ポイントと狭いレンジで上下変動が激しい相場が続いており、EURUの買いと売りが拮抗し方向感見られず。

11月中旬に昨年6月中旬以来の安値となる1.1216まで急落しながらも、Weeklyベースの終値ではその後も1.1300の重要なポイントを回復し、1.1300~1.1500のレンジ相場が続いている。ブレグジットのリスク要因と、イタリア予算案、フランスの政局不安を考えれば、予想外に底堅いとしか言いようない。これが次のEUR売りの一時的な反転なのか、EURの買い戻しの始まりなのか? テクニカルでは買変化もあり、取り巻く情勢は売りなのだが? 迷うところ。

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GBPUSD

11日の英議会下院はメイ首相がEUと合意した離脱案を採決の結果次第。ただし、市場は否決を予想し、否決後の対応策を次の相場の判断材料にしているように思えてならない。

先週一週間を通じて、4日に8月15日の安値1.2662を割り込み1.1259まで下落(ほぼ同水準)しながらも、終値ベースでは1.2700~1.2800の100ポイントレンジで収れん。

5週連続し前週比で下落(陰線引け)し、続落傾向は止まらず。オシレーター系は買に変化するも、移動平均線からは中期的なGBP売りは変わらず。

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AUDUSD

「政策金利の次の変更は利下げより利上げ、そうならなかった場合は、政策金利を一段と引き下げる余地はある」と、デベル豪中銀副総裁。いったいどっちなの? 「豪経済は好調でトレンドを上回るペースでの経済成長が見込まれ、失業率は一段と低下する公算が大きい」とロウ豪中銀総裁! なのに世界的な株安=リスク回避にAUD売り止まらず。

先週一週間を通じて、5日続落。0.7393→0.7192まで下落と、米中貿易戦争の休戦を受けた期待感の買いから、株安の実質的な売りへと予想外の急落。これが現実。

過去4週間の安値を塗り替え11月上旬の水準へと逆戻り。一時下げ止まりと反発期待も空しく再び、0.7200の水準へと逆戻り。株価の下落が止まればAUD買への変化が期待できるのだが? また、米10年債の利回りと豪10年債の利回り格差が縮小するとAUD買の変化が期待できるのだが? 


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