2018/12/02

今週の為替相場を考える(12月3日~7日)パート2

今週の為替相場を考える(12月3日~7日)パート2

米中首脳会談は共に勝利を誇示できる内容で最終結論を先延ばしに、為替相場への影響は限定的と思われる。

トランプ大統領は「素晴らしく生産的な会合で、米国と中国の双方に無限の可能性をもたらす」との声明を発表。中国は米国から追加関税の先送りを得、米国は中国へ圧力と影響力を維持し農産物の拡大を得た。

米国は中国製品2000億ドル分の関税率10%を据え置き、来年初めから25%に引き上げる予定を90日先送りし、猶予期間中に合意できなければ原案通りに引き上げると中国へのプレッシャーを残す。

中国は対米貿易黒字を減らすため、米国産の農産品やエネルギー、工業製品などを「大量に購入する」ことでも合意。農産品については「すぐに購入を開始」へ。

中国は米国が不満を抱いている5分野の市場を開放へ。(1)米企業への技術移転の強要(2)知的財産権の保護(3)非関税障壁(4)サイバー攻撃(5)サービスと農業の市場。

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今週も引き期続き、以下の3点が相場変動要因。
①米金利の行方(パウエルFRB議長を筆頭に通貨当局者のハト派発言を受けた、楽観的な米金利の続伸に注意信号が点灯している米金利)。
②ブレグジットの行方(先にEUとメイ英首相が合意したブレグジットの合意案の議会採決で「12月11日午後7時(日本時間12日午前4時)」に向けた駆け引き)。
③イタリア財政赤字(イタリアの2019年予算案で財政赤字のGDP比がEU基準に違反するため制裁が執行されるのか、それとも改善案を再提出するのか)。

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以下は今週の予定から相場に特に与える影響が大きい材料で、その中でもパウエル議長の議会での経済見通しに関する証言と米雇用統計が主テーマとなる。
12/4 豪中銀金融政策、カーニーBOE総裁(英議会で発言)
12/5 豪第3四半期GDP、カナダ中銀金融政策、パウエルFRB議長(上下両院合同経済委員会で、経済見通しについて証言)、
12/6 OPEC総会
12/7 独与党・キリスト教民主同盟(CDU)党首選、カナダ雇用統計、米雇用統計

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USDJPY 
米中首脳会談の結果を受け、米国の中国制裁に90日間の猶予期間が設定されたことで、リスク回避の円買いに動くことも考えにくい。また、ブレグジットでは12月11日の合意案をめぐる議会での採決リスクは残るが、日程的に喫級な円買いも期待できないとなると円安傾向が考えられる。また、米株と米金利の動向が相変わらず潜在的なテーマで、パウエルFRB議長の証言と米雇用統計がカギとなりそう。

4週間続いている、大枠112.50~114.00のレンジの上限を試しながら、円安水準を探りながら上昇しやすい。ただし、日米株価が上昇し、3.0%を割り込んでしまった米10年債利回りの反発がなければ、10月3・4日の高値114.50台を上回る円安もすぐに期待できにくい。

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EURUSD
イタリア予算案をめぐる欧州委員会との対立は改善傾向を示すニュースもあるが確定できず。ブレグジットをめぐる英議会の議会採決のリスクは目の前に迫っており、独CDU党首選では実質的にメルケル独首相の後継者選びと目されており、この結果をめぐる動きや独を含む欧州経済のピークアウトを考えれば、積極的にEURを買う材料は見えてこない。

下限と思われていた1.1300を割り込み一時1.12台まで下落しながらも、その後1.1450超えまで反発、ボトムアウトかと期待しながらも、Weeklyベースでみると上値が切り下がりEURの弱さが見えてくる。ボトムが見えない。

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GBPUSD
ブレグジットの行方次第。先にEUとメイ英首相が合意したブレグジットの合意案の議会採決で「12月11日午後7時(日本時間12日午前4時)」に向けた駆け引きで相場が上下変動することは避けられず。引き続き、合意なきEU離脱となる最悪の状況を意識しなければならない。(気持ちだけは、それを避けてほしいと願っているが)

8月15日の1.2662をボトムに、直近では何とか1.2700をボトムに下げ止まってはいるが、上昇力は限定的でGBP売りに変化は見られず、ボトムが見えない。

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AUDUSD
米中首脳会談からは米中貿易戦争の激化はひとまず回避。中国経済の鈍化によるAUD売りもしばらくは弱まる可能性が期待でき、最近の米豪10年債利回り金利差が縮小傾向にありAUDフォローの材料として期待したい。

Dailyベースでみると大枠で0.7200~0.7350のレンジに収束し、Weeklyベースでも大枠0.7200~0.7350のレンジが4週間続いている。長期的なAUD売りの流れに決定的な変化は見られないが、0.7350~00を上回る動きとなれば相場の変化を意識したくなる。

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