2018/12/21

2018年12月21日(金曜)20日、海外市場の動き(午前5時半ごろの動き)

2018年12月21日(金曜)20日、海外市場の動き(午前5時半ごろの動き)

米株も弱く世界的な株安は止まらず、原油価格の下落も止まらず。リスク回避に円とスイスが選好。アジア・欧州のドル売りは米国市場の後半でようやく収まる。

スウェーデン中銀は7年ぶりに利上げを実施し欧州市場でドル売りの流れをリードする中、米製造業景気指数も弱い。世界的な懸念材料も多く、①米国連邦政府の閉鎖を懸念、②「可能性は低い」が削除された準備書にハードブレグジットのリスクを懸念、③米中対立?米検察当局はサイバー攻撃で中国人の2人を起訴、④欧州委員会は中国の技術移転でWTOに提訴範囲を大幅に拡大。

FOMC後の世界的な株安は止まらず米株も下落。弱い製造業景気指数もあり、米株は下げからスタートしダウは一時600ドル超のまで下落、終盤に下げ幅を縮めるも前日比では-350ドル安の水準で推移。米10年債利回りは2.78%(前日2.755%)、2年債は2.667%(前日2.646%)と小幅上昇。原油価格(WTI)は一時45.67まで低下し46.00ドル近くで推移。

為替市場は、株安が止まらず、リスク回避に円とスイスの上昇が目立ち、USDJPYは一時110.81まで続落し久しぶりに1%超の円高へ。欧州市場ではアジア・欧州株安が続く中で、スウェーデン中銀は金利据え置き予想に反し、7年ぶりに政策金利を0.25%引き上げ-0.25%に決定し、USDSEKは9.0768→8.9247まで急落。EURSEKが下落するなかでも、ドル売りの流れをリードし、EURUSDが1.1480台まで上昇する引き金ともなる。

米国市場の序盤では、米製造業景気指数は弱く株安が強まる中、「米検察当局はサイバー攻撃で中国人の2人を起訴」し、トランプ大統領は「メキシコ国境の壁建設費用がなく署名せず」連邦政府の閉鎖懸念が強まりドル売りの流れが続く。ただ、米株安が加速するとAUDUSDが0.7148の高値からと売りへと変化し0.7096まで下落、原油安にUSDCADが続伸し一時1.3530台へ上昇しドル売りも弱まる。また、GBPUSDは1月14日の週に予定しているEU離脱案の議会採決を前にして、弱気ムードが強く1.2700台超えの上値は重くなっている。

米国は連邦政府の閉鎖の懸念。ライアン下院議長は、「トランプ大統領は上院で可決したつなぎ予算にメキシコ国境の壁建設費用がなく署名せず」、トランプ大統領は「完璧な国境警備なしでは署名せず」 → 連邦政府の閉鎖の可能性を懸念。

ハードブレグジットのリスクを懸念。英政府は合意なきEU離脱の混乱に備えた準備書から「可能性は低い」との文言を削除し「合意がない場合」と表記。EU離脱担当省の報道官は、英政府が合意なきブレグジットの計画を立て始めた後で、文章が更新したという → 市場はハードブレグジットのリスクを懸念。

米検察当局はサイバー攻撃で中国人の2人を起訴。中国国家安全省と関係があり、少なくとも45の政府機関や企業から知的財産のほか、企業や技術関連の秘密情報を盗んでおり起訴したと表明。米国は同日、友好国と共に中国がサイバー攻撃によって企業秘密や技術を盗んでいると糾弾する見通し。日本、オーストラリア、英国、カナダ、オランダ、NZ、スウェーデンなどが連携する見通し。

欧州委員会は、中国の技術移転に関する法令を巡り、WTOでの提訴範囲を大幅に拡大・深化させると発表。EU当局者によれば、欧州委は提訴範囲の拡大・深化について日米に伝えたが、共同のものではない。

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17:30    SEK スウェーデン中銀金融政策発表=-0.50%の据え置きを予想に反して、7年ぶりの政策金利に0.25%を引き上げ-0.25%に。

18:30    GBP 11月 小売売上高=前月比1.4%(予想0.2% 前年比前回-0.5→-0.4%)、前年比3.6%(予想2.0% 前回2.2→2.4%)、除自動車・前月比1.2%(予想0.2% 前回-0.4%)、除自動車・前年比3.8%(予想2.5% 前回2.7→2.8%)→ 予想を大幅に上回る

21:00    GBP BOE金融政策委員会=政策金利0.75%、資産買い入れ限度額4,350億ポンド、社債買い入れ枠100億ポンドの据え置きを9対ゼロで決定、予想通り。
22:30    USD 週間新規失業保険新鋭件数=21.4万件(予想21.9万件、前回20.6万件)

22:30    USD 12月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数=9.4(予想16.0 前回12.9)→ 前回と予想を下回る

22:30    CAD 10月 卸売り売上高=前月比1.0%(予想0.4% 前回→-0.7%)

0:00    USD 11月 景気先行指数=前月比0.2%(予想0.1% 前回0.1→-0.3%)→ 前回が下方修正され予想を上回る

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ゴールドマン・サックス・グループ=①米中両国が貿易摩擦を巡る行き詰まりを真に打開する合意に至れば、2019年最大の経済イベントになる可能性がある。「意味のある変化が起これば、マクロ経済面で19年における最重要の世界的展開となる可能性がある」、②中国の経済成長は来年第1四半期終盤もしく第2四半期まで底入れしない公算が大きい。

BOEは金融政策を据え置く。政策金利0.75%、資産買い入れ限度額4,350億ポンド、社債買い入れ枠100億ポンドの据え置きを9対ゼロで決定、予想通り。議事録では、①ブレグジットを巡る混乱を憂慮。②ブレグジットの不透明感が前回会合以降に急速に高まった。③これらの不透明感が英金融市場を圧迫している。④第4四半期GDP成長率予想0.3(11月時点)→0.2%、⑤最近のポンド安、株下落、ボラティリティの高まりに留意、⑥原油価格下落で総合CPIの上昇率が来年1月に1.75%前後に押し下げられる見込み。⑦離脱後の状況によって政策金利は上下どちらにも振れる可能性がある。

BOJ_日銀金融政策決定会合は、短期の政策金利を-0.1%、長期金利である10年物国債金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和策(長短金利操作)の現状維持を賛成7、反対2の賛成多数で決めた。金利操作のための国債買い入れについては、保有残高の増加額が「年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買い入れを実施する。国債以外の資産買い入れ方針については、上場投資信託(ETF)の保有残高を年約6兆円、不動産投資信託(REIT)を年約900億円に相当するペースで増加するよう買い入れることなどを全員一致で決めた

日銀は20日の金融政策決定会合後に公表した声明文で5つの要素を挙げた ①米国のマクロ政策運営が国際金融市場に及ぼす影響、②保護主義的な動きの帰すうとその影響、③新興国・資源国経済の動向、④英国のEU離脱交渉の展開やその影響、⑤地政学的リスク→ 一番目は金融政策をはじめとする米経済政策がもたらす円高・株安といった市場変動のリスクだ。そして2番目に挙げたリスクが「保護主義的な動きの帰趨とその影響」。前回10月末と同じ順序を維持したことになる。激化する米中の貿易戦争を背景に保護主義に真っ先に言及することも検討されたもようだが、あえて見送った。そこには相応の意味がある。

黒田日銀総裁、景気は穏やかに拡大、海外経済は総じて着実な成長が続いている、物価は2%に向け徐々に上昇率をたかめていく、為替市場は比較的安定した動きを続けている。必要なら追加緩和を検討する、長期金利の今低下は問題ない、欧米に連れて長期金利が低下することはおかしいことではない、長期金利が仮にマイナスになっても問題ない。

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