2020/05/16

2020年5月16日(土)昨日15日、海外市場の動き

2020年5月16日(土)昨日15日、海外市場の動き

週末金曜日は、ダウはなんとかマイナスを脱却し前日比+60.08(+0.25%)と小幅高。原油価格(WTI)は29.65ドルと続伸中。米10年債利回りは0.647%と小幅上昇しているが安定推移の範囲内で、2年債も0.149%でいつも通り動かず。

発表された欧米の経済指標は予想通り極めて弱く、独GDP速報は過去10年間で最悪、米小売売上高、鉱工業生産も過去最悪、JOLT労働調査のレイオフ・解雇件数も過去最悪(求人件数は2017年5月以来の低水準)で、唯一ミシガン大学消費者信頼感指数は予想外に強い数字で、新型コロナの景気対策が功を奏しているらしい。

ポリティカルにも対立が目立つ。トランプ大統領の強硬発言が目立っており気になっていたが、米国はファーウェイの締め出しを強め世界的な半導体サプライヤーへアクセス阻止に動き、中国は対抗措置として米企業を「信頼できない企業」のリストに加え、クアルコムやシスコ、アップルなどにサイバーセキュリティ―関連規則や制限を課する可能性を示唆。

リスクを懸念するなら株安+円高なのだが、共にその通りに動かず。USDJPYは一時106.86まで円高が進むも逆に107.37まで上昇(EURJPYの買い?)から、結局は107.08と小幅円高で終了。市場は弱すぎる米小売売上高と強い米ミシガン大学消費者信頼に惑わされながらも米株がマイナス圏からプラス圏へと反発終了したことでやや安心感が残るも中国の出方次第ではリスクを考えたポジションを意識せざるを得ず。

別途、パウエルFRB議長は18日、日本時間午前8時にTVに出演、19日に議長とムユーシン財務長官が上院銀行委員会で証言する予定となっており、気になる。

英国とEUでも対立が目立つ。両社の交渉担当者は漁業と公平な競争条件に関するバランスの取れた合意がなければ、合意はあり得ないだろうと強調。交渉にもタイムリミットがあるらしく6月の英EU首脳会議が法的期限とのことで残り少なく、交渉如何ではEURUSD、GBPUSDの売り材料にされやすい。

独連邦憲法裁判所長官はECBのQEの一部憲法違反の判断の対象は従来の公的部門証券買い入れプログラム(PSPP)でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)は含まれていないと確認。EURUSDはEURGBPの買いも強く一時1.0850まで上昇した後に1.0804まで下落し1.0817で終了。同時にGBPUSDは1.2110台まで下落し、結局は1.2100まで値を下げて終了。EURGBPは一日を通じて0.8829→0.8940まで上昇と、この通貨ペアの動きとしては大きく、ブレグジットリスクを意識しているように思えてならない。

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21:30    USD 5月 NY連銀製造業景気指数=-48.5(予想-63.5 前回-78.2)

21:30    USD 4月 小売売上高=前月比-16.4%(予想-12.0% 前回-8.7→-8.3%)、除く自動車前月比-17.2%(予想-8.6% 前回-4.5→-4.0%)→ 予想外にマイナス幅が拡大し、統計を開始した1992年以来の過去最大の下落幅で、新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた外出制限が響いた。第2四半期の米経済成長は1930年代の大恐慌以来最大の縮小となる見通し。

22:15    USD 4月 鉱工業生産=前月比-11.2%(予想-11.5% 前回-5.4→-4.5%)、設備稼働率=64.9%(予想64.0% 前回72.7→73.2%)→ 前回から大幅にマイナス幅が拡大し、101年前の統計開始以来となる過去最大の落ち込みへ

23:00    USD 5月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値=73.7(予想68.0 前回71.8)→ 予想外に上昇し、新型コロナウイルス感染拡大後の景気対策としての国民への現金支給や、高額商品の値引き販売が消費者心理を支えた。一方で、収入と景気の長期見通しに対する悲観は強まった。

23:00    USD 3月 企業在庫=前月比-0.2%(予想-0.2% 前回-0.4→-0.5%)

23:00    USD 3月 JOLT労働調査(求人件数)=619.1万件(予想 前回688.2→700.4万件)→ レイオフ・解雇件数が950万件増の1140万件と、集計を開始した2000年以降で最高水準となった。求人件数は2017年5月以来の低水準に減少したほか、自発的な離職件数は4年半ぶりの低水準となった。新型コロナウイルス危機が雇用市場の動向を急速に変化させている。

4:00    USD 長期TICフロー(純額)=-1126億ドル(予想 前回494→496億ドル)、ネットTICフロー合計=3499億ドル(予想 前回-134→-143億ドル)

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米商務省は、ファーウェイへの半導体輸出規制を強化。ファーウェイによる世界的な半導体サプライヤーへアクセス阻止に動く。華為が海外で半導体を製造・設計するため米国の技術とソフトウエアを利用するのを制限し、米国の国家安全保障を守る措置を産業安全保障局(BIS)が取ったと発表した。輸出規則を変更し、すでに禁輸措置対象に指定されている同社が米国の技術やソフトを利用した半導体を間接的に取得できないようにする。→  中国側はすぐに反応し、中国共産党系メディアの環球時報は、対抗措置には米企業を「信頼できない企業」のリストに加えることや、クアルコムやシスコ、アップルなどにサイバーセキュリティ―関連規則や独占禁止法などに基づいた調査を行ったり、制限を課したりすることなどが含まれる。

ドイツ連邦憲法裁判所のフォスクーレ長官は、先に下したECBに対する一部違憲判断について、対象はあくまで従来の公的部門証券買い入れプログラム(PSPP)であり、新型コロナウイルス対策として新たに導入されたパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)は含まれていないと確認した。

ドイツ政府、新型コロナウイルスの危機に対応するために憲法に定められた債務上限規定を今年に続き2021年も停止する見込み(独紙)→ 報道について質問された財務省の報道官は、政府は今年の対応に取り組んでいる

英EU通商交渉は、今後の関係を巡る交渉は、ほとんど進展の兆しが見られないまま来月の重要な期限へと向かっている。 直近の交渉ラウンドは15日に終わるが、英国はEUが通商合意と引き換えに受け入れを迫っている諸条件のほか、漁業権やEU司法裁判所の役割など主要分野で妥協を拒否し続けている。 交渉継続の是非を判断する6月の英EU首脳会議まで、交渉ラウンドはわずか1回しか残されていない。ジョンソン英首相はこの首脳会議までに十分な進展が見られない場合、交渉を打ち切る姿勢を打ち出している。

フロスト英EU交渉担当責任者は、英EU離脱後の新たな通商関係を巡る3回目の交渉について、ほぼ進展が得られずに終了した、双方は、相手が譲歩しなければ交渉に大きな打撃となるリスクがあると警告。残る最重要課題の合意に向けた進展はほとんどなかった→ バルニエEU主席交渉官、非常に失望した、漁業と公平な競争条件に関するバランスの取れた合意がなければ、合意はあり得ないだろうと強調。英国との関係は、かなり悪化しつつある、英国とのブレグジット交渉について楽観視していない→ 交渉継続の是非を判断する6月の英EU首脳会議まで(6月30日が法廷期限)、交渉ラウンドは1回しか残されていない。ジョンソン英首相はこの首脳会議までに十分な進展が見られない場合、交渉を打ち切る姿勢を打ち出している。英政府関係者によると、英金融企業のEU市場アクセスを巡っても、双方は一致できていない。EUが「同等性評価」の認定取り消しを計画する場合には、事前警告を義務づける条項を英国は盛り込みたいが、EUは抵抗している。この条項なしではEU市場へのアクセスが突然制限されることもあり得るとして、英国の金融企業は懸念を表明している。

中国環球時報は、ファーウェイに対する米国の措置に対抗し、米企業を「信頼できない実体の一覧表」に加える用意がある。中国が導入する可能性がある措置として、アップル、シスコシステムズ、クアルコムなどの米企業に対する調査開始や規制導入のほか、米航空機大手ボーイングからの購入停止などが挙げられるとしている。

中国環球時報は、米国を批判した社説を掲載。「科学が政治に敗北、だから米国はウイルスに負けた」「中国に責任を押し付けることで政治バランスを取ろうとしている」「米政府は謙虚にこれまでを振り返り、改めて科学を政治の上に置くべきだ」とした。前日には、「中国は米国の個人・団体・州を対象に痛みを感じさせることが可能な対抗措置を検討している」と関係者の話として社説を掲載した。

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