2020/05/17

今週の為替相場を考える(5月18~22日)

今週の為替相場を考える(5月18~22日)

新型コロナウイルスの感染防止による閉鎖的な措置も、ようやく緩められ、経済活動も仮死状態から緩やかな復活が期待したい。

今週の経済指標の予想数字を見るとボトムかボトムアウトしたような数字となっているが、金融政策はゆるゆる状態を解除する動きはまったく見えず、さらに国によっては追加緩和を期待する声も多く、財政措置も垂れ流し状態も変わらず。その中で、FRBだけはマイナス金利を阻止することがコンセンサス。

トランプ大統領は11月の大統領選があるいみでは最優先課題で、通商問題や新型コロナウイルス感染防止対策や経済対策も何となく選挙対策を含みながら実施しているように思えてならない。

トランプ大大統領は最近では生産拠点の国内回帰を促進することを目的に、海外で製造を手掛ける米国企業を対象に新たに課税する可能性を指摘。側近からは法人税減税について、海外から米国内に事業を回帰させる企業に対し、税率を現行の21%から10.5%と半分に引き下げる案を検討していると明らかにしている。

中国と断交すれば5000億ドルを節約できるとか(無理でしょう!)、米国で上場しながら米国の会計規則に従わない中国企業を厳しき注視していると発言し従わなければ上場先を海外に変更させる可能性も示唆。米連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)は一部中国企業への投資を無期延期すると発表。

米商務省はファーウェイへの半導体輸出規制を強化。輸出規則を変更し、米国の技術やソフトを利用した半導体を間接的に取得できないようにしたことで、中国は中国共産党系メディアの環球時報を通じて、米企業を「信頼できない企業」のリストに加えることや、クアルコムやシスコ、アップルなどにサイバーセキュリティ関連規則や独占禁止法に関連した対応をとる可能性を示すなど対抗措置を示している。(もっとも、ムニューシン財務長官、ライトハイザー通商代表部代表は、第1段階」通商協定は決して崩壊しておらず、両国は引き続き貿易問題に取り組んでいると強調)

このことから、保護主義的な動きが強まると仮定すれば、為替相場も中長期的にその影響を受ける可能性を意識せざるを得なくなり、どうしてもドルに分がありそうなのだが。また、新型コロナウイルスによる経済対策で信じられないほどの財政支出を拡大させた世界各国。財政的に余裕がなく外からドルを調達している新興国や先進国の一部はネガティブな反面、今なお世界の基軸通貨のドルに分があり、国内で賄える日本の円にもまた分がありそうに思えるのだが?

もっとも、今週の為替相場の動きを考えるにそのようなことを考えてもあまり意味がないことなのであろう。

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相場の動きを振り返ると、過去5週間の相場を振り返ると、3月の新型コロナウイルスの影響による超乱高下からワイドながらレンジ相場が続き、次の方向性を探る前哨戦となっている。

USEDJPYは、106~108円のレンジが4週間続き、EURUSDは、1.0750~1.1000のレンジが6週間、AUDUSDは0.63~0.66が5週間、NZDUSDは0.58~0.62が7週間、USDCADは1.39~1.43が7週間。ただし、GBPUSDは6週間続いた1.22~1.2600のレンジの下限を先週割り込み、英EU離脱協議の進展の遅れが意識されている。

さて今週は、USDJPYは、106.50~107.50のコアレンジ(±50ポイント)が予想される。日本のGDPの悪化やそれを受けた日銀の追加緩和の可能性も既に織り込み済みで、日本株と円相場動きは以前ほど連動性が高くない。本邦の機関投資家がどの水準でドル買いを入れていくか注目したいがヘッジを入れてくれば上値も重くなり、レンジ相場に落ちる大きな要因となっており、外圧がなければ国内要因だけでこのレンジを抜け出せる可能性は低いのでは(あればサプライズでその方向に動きが加速することも)。

円クロスで見ると、EURJPYは続落傾向が続き弱さが目立っており、戻り売りの流れは変わらず。先々週は終値ベースでサポートされた116円の壁を割り込み一時114.397まで下落と、2017年4月のボトム114.85割り込み、2016年11月の水準へと軟化中。GBPJPYは130円の大台を先週割り込み大幅安となっている。今週も6月末に期限が迫っているEUと英国の離脱協議で早期な合意の見込みは薄く、下値を狙われやすいのでは。AUDJPYは高値70円で上値を抑えれており、この水準を打超えると70~75円の新たなAUD高のレンジに戻ることができるのだか、現状は65~70円のレンジの上限がどうなるか? CADJPYは75~78のレンジを8週続けており今週も変わらず。