2018/06/10

今週の為替相場を考える(6月11日~15日)

今週の為替相場を考える(6月11日~15日)

シャルルボワG7サミットはホスト国のトルドー・カナダ首相が何とか取りまとめ、首脳宣言を何とか採択して閉幕。と思ったが! 米朝首脳会談のため途中で退席したトランプ氏は豹変、「トルドー首相の発言は間違いと非難」し「首脳宣言は受け入れられない・認めない」とツイート。貿易戦争のムードが広まる。(注意、状況が変化している可能性もあり、自身でニュースを確認して下さい)

この動き一つを見ても「G6対米」の対立が激化する可能性が高く、どこまで深化するかは別として、早朝から株が売られ安全資産としての円買いが強まる可能性も意識せざるを得ない。

今週の主な材料でも示しているが、今週は重要なイベントがあまりにも多く、どこで、どのように相場の流れが変化するのか? または、一時的に方向転換して結果的に元の流れにもどるのか? テクニカルベースだけでの取引も難しく予断を許さず。

冒頭にある関係各国と米国との通商政策の違いは修復できるのか? 米中通商協議は? イタリア・スペインの政局は何とか安定を維持しているが止まらぬイタリア債の上昇と株安は! 米債の動きは? 米株の動きは? 原油価格の動きは? 米ドル高の影響ではTRYは猛烈な利上げにTRYは持ちなおしているが、相変わらずARS、BRL、ZARはリスクを抱えたまま! 

英国ではメイ首相が、EU離脱(Brexit)法案に対する下院の改正案について投票するが、EUが認めない北アイルランドのみを『共通規制地域』として単一市場・完全同盟に留める「バックストップ」オプションをどうするのか?

今週の主な材料で記載しているので詳しくは割愛するが、◎12日の米朝首脳会談+英雇用統計+英国のBrexit法案に対する下院の改正案について議会で投票。◎13日の英CPI+FOMC、◎14日の豪雇用統計+ECB理事会、◎15日の米中通商協議の500億ドルの輸入品公表の期限+ユーロ圏CPI+日銀金融政策決定会合等々、全てが重要!


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USDJPY (予想レンジ 円高へ←108.00~110.00)

シャルルボワG7サミットのトランプ大統領の豹変に週明け月曜のオセアニア市場からリスク回避の流れが強まる可能性が高く、円高がどこまで進むのか? 市場がトランプ氏の発言を「「ディール」として無視するとは思えず、側近がこの話を否定しない限りリスクは円高。また、米朝首脳会談ではその結果による影響が大の円相場の変動も気になってしかたがない。

4月終盤から先週までの動きを見ても、108.00~111.50のレンジで推移し、CFTCのIMMポジションでも円のポジションの前週比で週替わりとなりポジションの偏りは極めて少なく、上下共に動き安いことに変わりない状況となっていたが、今週もこの108.00を意識した動が復活するのか?

オプションのデータからは円コール・ドルプットオーバーの傾向は前週からやや弱まっているも変わらず、市場センチメントがドル売り傾向を意識していることを裏付けている。

Dailyテクニカルでは先週は200日SMAの110.17近辺を高値に上げ止まり、円高から円安基調の変化も叶わず失敗。DailyBBからは108.50~109.85のレンジに入りやすい。


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EURUSD(予想レンジ1.1600~1.1850)

シャルルボワG7サミットのトランプ氏の豹変は、EUと米国の通商協議で米国の制裁発動の動きに対して、制裁することを宣言している当事国として暗雲が立ち込めEURUSDの相場をより複雑にさせる。

6月22日は、欧州連合(EU)と米国は貿易摩擦問題で協議する枠ぎみを2週間以内に作ることで合意したタイムリミット。ちなみに7月から 欧州委員会は米国からの一部輸入への追加関税を7月から開始予定となっている。どうなることやら。トランプ氏の発言はいつもながらの単なる「ディール」で終わることを願いたい。

また、イタリア・スペインの政局が現時点では安定を取り戻してはいるも、イタリア債は売り圧力を解消できず利回りは上昇傾向で、イタリア株も低下傾向は止まらず。

14日のECB理事会では直近の通貨当局者によるタカ派発言に、ガイダンスを見直す討議を期待したいが、通商問題が混とんとし、イタリアが不安定で、ブレグジット交渉も不透明な中では、具体的な話し合いを期待するのも難しそう。CFTCのIMMポジションでもユーロはロング傾向を維持するも、減少は止まらず。

オプションのデータからは短期がEURプット・ドルコールから、EURコールへ変化し短期から長期までその傾向が強まり、ユーロ売りのセンチメントが変化し始めていたが、通商問題がその動きを妨げる可能性も。

Dailyテクニカルでは2週間前の1.1500の大台をボトムに売りから買いへの流れが変更することが期待できる。22日SMAの高値ベースでは1.1803にあり終値ベースではこの水準を超えられず、大きなポイントになっている。ちなみに安値ベースでは1.1712で、このレンジに収まる可能性も意識。BBではベース1.1735~Upper1.1904のレンジで推移しているが、StochRSIはKとDは97台でEUR売り変化も意識。


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GBPUSD(予想レンジ1.3250~1.3500)

まずは何が問題を長くなるが説明したい。 WSJ紙の抜粋となるが、英政府=EUとブレグジット交渉の合意を目指す上で、最も大きな障壁は、アイルランドと北アイルランドの国境問題といわれている。アイルランドと北アイルランドとの国境線は約 500 キロであり、現在は物理的な国境検査がない。フェンスや通関等のハードボーダーを設置しない状況で不法移民や密輸出入を防ぐことは現実的には不可能といわれている。英国政府は、アイルランド国境問題について、テクノロジーを活用した解決策4などを提案しているものの、上手く機能する証拠が示されていないと EU 側は懸念を強めている。さらに EU 側は、仮に明確な解決策が最後まで提示されなければ、ハードボーダーを避けるため北アイルランドのみを“共通規制地域”として単一市場・完全同盟に留める「バックストップ」オプションを提案している。当初、メイ首相は、このオプションを「英国の首相が誰であってもこれに合意することはできない」と拒否していたものの、結果的に今回の離脱協議で受け入れを表明した。ただ与党保守党と閣外協力関係を結んでいる北アイルランド地域政党の民主統一党(DUP)は、国境問題は簡単に解決できることではなく、「バックストップ」オプションに合意したメイ内閣への批判を強めているのが実情である。

6月7日には英政府は「EU離脱時に関税同盟から離脱することを公式発表」している。メイ英首相とデービスEU離脱担当相は話し合いの結果、バックストップ期間を2021年末で終了と期限付きとすることで双方の妥協が図られたもようで、閣僚辞任の事態は回避されているがポンド売りプレッシャーは変わらず。

将来の話となるが極論は、ブレグジット交渉がすんなり決まり離脱するか? 何も出ず離脱する「ハードブレグジット」になりGBP急落するか? 国民投票のやり直しで国人の判断を仰ぎ=GBP暴騰するか? この三択!!!

オプションでは短期がポンドコール・ドルプット変化し、長期までもややこの傾向がみられ、市場はポンドの先安リスクを弱めていることになるが、はたして?

Dailyテクニカルでは、EURUSDと同様に2週間までの安値1.3200をボトム2週間続け陽線引けで底打ち感が強まっているが、需要な1.3500のポイントを上抜けできるかがポイント。22日SMAの安値ベース1.3403~高値ベース1.3458のレンジで推移。BBはベース1.3390を中心とした動きとなり、StockRSIはKとDは93超で売りの変化も意識へ。


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